土地を購入して家を建てる場合、選んだ土地によって家にかけられる予算や、プランが大きく変わってきます。3年前にハウスメーカーでオール電化住宅を建てた日刊住まいライターは、日当たりはいいものの、割安ないびつな形をした傾斜のある土地を購入しました。家づくりでは、土地の形で建築費が上がることはありませんでした。ところが傾斜があることで、想定外に出費が!

土地探しで重視したのは形より、日当たり

わが家は夫婦と娘2人(小学4年生と未就学児)の4人家族。3年前にハウスメーカーで家を建てました。土地を探し始めたのは、家が建つ1年ほど前のことです。

いくつもの売地を見に出かけ、最終的に絞ったのが、3区画に分割して売り出されていた土地でした。そのうち2区画は、上の写真のように長方形の四角い土地、残り1区画は四角ではないいびつな形をした土地(右下の土地は建売住宅が建つため売却ずみ)。

それだけでなく、道路側から奥に向かって、少し高くなっていく土地でした。

仲介してくれた不動産業者の話によると、四角い土地の方がムダなく活用できるので売れやすいし、いびつな土地よりも少し値段も高いとのこと。実際そのとおりだと思いました。

しかし、「日当たり」がいちばんよかったのが、いびつな形で、少し傾斜のある土地だったのです。じつはオール電化住宅にしようと考えていた筆者が、もっとも重視していたのは、この「日当たり」でした。

四角い区画の南側には、すでに高い擁壁の上に家が建っています。家を建てても十分な日当たりが得られない可能性がありました。同行してくれたハウスメーカーの担当者も「私ならこの土地を選びますね」と話されていたことも後押しとなりました。

土地を紹介してもらってから何度かその分譲地へ行き、冬でも十分に日当たりが得られることを確認し、筆者はいびつな土地の購入を決めました。いびつというだけで値段も周囲の分譲地より割安でした。

筆者の住んでいる場所は比較的雪がよく降る地域です。いびつとはいえほかの土地と比べると、接道部分が狭かったこともメリットに感じました。接道の雪かきの手間が少なくてすむはずだからです。

 

土地の形により建築費用アップは回避

土地の形が整形ではないので、家の形にも制限が出てきます。

当初、筆者は四角い家を想定していました。四角い家であれば、オプション費もかからないからです。そもそも家の形には、あまりこだわりがありませんでした。

しかし、購入した土地は南側に広く北側が細い南北に長い形。そのため筆者が想定していた、延床35坪ほどの四角い家を建てるのには適していません。

LDKは建物の南側に配置しました。敷地の南側をあけて、日が入るようにしています。それ自体はいいのですが、おかげで、南側の庭へアクセスする通路もつくらなければいけなくなりました。

そのために、建物北側の一部を削る形で、通路幅の確保(上図面、右の注意書き参照)しています。ということで、結局、わが家は四角ではなく、北側がでこぼこ変形した形になりました。

ちなみに、筆者が選んだハウスメーカーでは、「家の角が7か所以上になるとオプション費発生」という規定が。しかし、その規定にもなんとか引っかからずにすみました。なので土地の形により建築費用が上がる、ということはありませんでした。

傾斜軽減工事が発生。その分、費用はかさむ結果に

筆者宅の土地は形がいびつなことに加えて傾斜があります。

じつはわが家の場合、外構はハウスメーカーとは別の業者に発注することにしていました。外構業者も自分で探したので、ハウスメーカーは関与していません。ですから家は無事に建てられたものの、外構は整え終わっておらず、駐車場の傾斜がきついまま。

外構業者に見てもらったところ、勾配は5〜6度ほどとのこと。生活するにはかなりきつい傾斜と言われました。

今考えると、土地選びのときに同行してくれたハウスメーカーの担当者は、外構工事まで請け負っていないので、傾斜で余計な工事費がかかる可能性があることを、教えてくれなかったのだと思います。

この傾斜のせいで、外構工事を行うまでは、クルマのエンジンをふかさないと敷地に入れませんでした。駐車するときもクルマを斜めに停めないと心配な状態。

 

そこで、傾斜軽減工事を行うことに。実際に行った工事は、以下の3点です。

・駐車場部分の土を削って段差を軽減する
・駐車場は1台分コンクリートに。そのほかは砂利敷きにする
・できた段差は擁壁で土留めをし、階段をかけて玄関へのアプローチを整える

見積もりを取って、初めて金額を知り驚きました。

これらにかかった総額は110万円ほど。そのうち、擁壁や階段の施工など、傾斜がなければやらずにすんだ工事費が約70万円もあったのです。

いびつな形ということで、周辺の形のいい土地よりも数十万円安く購入できたものの、住みやすくするために、追加工事をしたことでお得感はなくなりました。見た目も整い住みやすくなりましたが、複雑な心境です。

いびつな形については、家づくりにおいて大きな支障なくことが進みました。しかし、傾斜については、費用がかさむという結果となりました。

傾斜した土地の場合、住みやすくするためには、やはり階段をつける、土を削るなどの工事が必要となるケースがあります。「お得かも?」と思っても、土地選びの際、傾斜の有無や程度を、しっかり確認することが重要だと感じました。