薄着の季節になり、ダイエットを意識する人も多いのではないでしょうか。

ここでは、食事制限もストレスもなしでやせられると話題の書籍『「凍らせしじみ」ダイエット』より、無理のないダイエットのコツと「凍らせしじみ」のつくり方をご紹介します。教えてくれるのはこの本の著者で、糖尿病や脂質異常症など生活習慣病に詳しいダイエット外来医師の工藤孝文先生(みやま市工藤内科院長)です。

ストレスなし、食事制限なしでやせるカギは「基礎代謝」にあった!

毎年、流行のダイエットのメソッドを試してみるも、なかなかやせない…と悩んでいませんか? じつはダイエットとは単純なもので「摂ったカロリー」より「消費したカロリー」が多ければ、ほぼ全員が成功するもの。

ではなぜ多くの人が失敗するかといえば、気づかないうちに「摂ったカロリー>消費したカロリー」となっているからです。脂肪を1kg落とすには、7200kcal分を消費する必要がありますが、それをカロリー制限や運動だけで消費しようとするのは現実的ではありません。運動や食事制限によるストレスで余計に食べてしまったり、停滞期で気持ちが折れてしまうなど、なかなか続けることが難しいのです。

でもじつは、人間はじっとしていてもカロリーを消費しています。心臓を動かす、呼吸をする、体温を保つなど、生命を維持するためです。このときに消費されるエネルギーを「基礎代謝」といいます。そして「基礎代謝」は、人間のすべての代謝のじつに60%も占めている、とても高いエネルギー消費。

この「基礎代謝」が、ストレスをためずにやせるために重要なポイントです。

●「基礎代謝量」が高い臓器って?

臓器のうち、基礎代謝量1位の臓器はなんでしょう? 臓器でいちばん重いとされている脳だと思いがちですが、正解は、脳についで2番目に重い「肝臓」で、基礎代謝量は全身の21%を占めます。

この肝臓の力を利用すれば、ダイエット成功のゴールは見えてきます。肝臓の機能を高める主役になるのが、アミノ酸の一種である「オルニチン」。

このオルニチンの宝庫といわれているのが「しじみ」です。100gあたりのオルニチン含有量は、チーズや魚肉などオルニチンを含むとされている食品の、じつに18〜38倍もあるとされています。

●美容や健康維持にも効果的な「しじみ」を最大限活かす方法

オルニチンには皮膚の新陳代謝、脂質代謝、ミネラル代謝などの効果があるとされていますが、しじみにはもうひとつありがたい成分があります。それが「コハク酸」です。コハク酸は脂肪燃焼促進をはじめ、血行不良改善、肌荒れ改善の効果が期待できます。

そのしじみの効果を最大限活かすのにいちばん簡単なのが、「凍らせ」ること。しじみは生命の危機にさらされると、自らが持つオルニチンとコハク酸の含有量を多くして身を守ろうとします。

食品は冷凍すると栄養素が壊れるといわれますが、しじみの場合は逆。栄養素は壊れませんし、オルニチンは約8倍、コハク酸は約3倍も増えたという報告があるくらいです。加えて、うまみ成分のグルタミン酸とアラニンも吸収しやすくなり、おいしさもアップします。

「凍らせしじみ」のつくり方

「食品をおいしく保つには急速冷凍は必須」が定説ですが、しじみの場合は例外。やや高めの温度でゆっくり凍らせることがキモです。

●しじみの下ごしらえ

(1) しじみをザルにあける。その際、殻が割れているもの、口が開いているものがあったら、取り除いておく。殻どうしをやさしくこすり合わせるようにしてよく洗う。

(2) 塩分濃度1%の塩水をつくる(水の量が500ccなら塩小さじ1)。海水よりもやや濃い塩分濃度にすると、しじみがアラニンやコハク酸などのうまみ成分をつくりだすため、塩と水の量はきちんと計量する。

(3) バットなどにザルを置き、しじみ同士が重ならないようにして並べ、(2)の塩水をしじみ全体がかぶるくらいに入れる。バットに直接しじみを入れると、吐いた砂を再び吸い込んでしまうことがあるので注意。

(4) バットに新聞紙などをかぶせて光をさえぎり、夏なら3〜4時間、冬は4〜5時間冷暗所に置いて砂を吐かせる。水の温度が冷たいとしじみが口を開かなくなってしまうので15〜20℃が目安。

(5) 砂抜きが終わったら塩水と吐いた砂を捨て、再度流水でこすり合わせるようにしてしじみをよく洗う。

(6) しじみを再びザルに入れてバットに置き、乾燥しないよう濡れぶきんをかぶせて3時間ほど置いておく。夏は冷蔵庫に入れる。空気に触れさせながら放置することで、しじみがエネルギーをつくりだすためにグリコーゲンを分解し、コハク酸を生成するので、さらにおいしくなる。

冷凍するとしじみは死んでしまうため、砂を吐くことができなくなります。砂抜きは必ず冷凍する前に行ってください。

 

●しじみの冷凍法(「凍らせしじみ」のつくり方)

(1) 下ごしらえしたしじみをファスナー付きの密閉袋に入れる。このとき、殻が割れていたり、触っても閉じなかったりするものは死んでいる可能性が高いので省く。

(2) しじみ同士が重ならないよう、できるだけ平らにして密閉袋の空気を抜く。量が多い場合は、1食分(ひとり分約50g・約20個)ずつ小分けにするとよい。

(3) 袋を新聞紙やふきんなどでくるみ、冷凍室の手前のほうに入れる。

(4) 2時間ほど経ったらいったん取り出し、袋全体を軽くほぐすようにしてしじみ同士がくっつかないようにすると、調理するときにバラバラにして入れられるので使いやすい。

袋をくるむのも、冷凍室の手前のほうに入れるのも、冷気の伝わりを遅くするため。つまり、食材を急速冷凍させたいときと逆のことをするのがポイントです。

しじみを味噌汁やスープの具材などにして使うことが多い場合は、水ごと凍らせた「氷しじみ」にするのもよい方法です。この場合、汁椀くらいの大きさの密閉容器を使うと便利ですが、ファスナー付きの密閉袋にしじみと水を入れ、凍らせるのもよいでしょう。1食分のしじみは約50gが目安です。

●「氷しじみ」のつくり方

(1) しじみ1食分を密閉容器に入れ、水をひたひたになるまで加える。

(2) しっかりとふたをしたら、新聞紙やふきんなどでくるみ、冷凍室の手前のほうに入れてゆっくりと凍らせる。

「凍らせしじみ」「氷しじみ」も冷凍庫で3か月程度の保存が可能です。両方を揃えておくと、さまざまな料理に対応できますよ。

おいしく食べられる「凍らせしじみ」を使ったレシピ

「凍らせしじみ」を使ったレシピをご紹介します。

●しじみの味噌汁

【材料(1人分)】

氷しじみ ひとり分
味噌 大さじ1
日本酒 小さじ1

【つくり方】

(1) 鍋に人数分の氷しじみを入れて火にかける。

(2) 沸騰したらしじみの口が開くまで煮立てる。

(3) アクをとり、日本酒を加え、再度沸騰したら火を止めて味噌を溶き入れる。

(4) 好みでねぎの小口切りを加えてもよい。

 

●しじみごはん

【材料(2人分)】

氷しじみ 2人分
米 2合
だし汁 2〜3カップ
ニンジン 10cm
油揚げ 1/2枚
しょうが(薄切り) 2〜3枚
しょうゆ 大さじ1
日本酒 大さじ1
みりん 大さじ1

【つくり方】

(1) 米は研いでざるにあげておく。

(2) 氷しじみは鍋に入れて火にかけ、氷が溶けてしじみの口が開いたらしじみと汁を分ける。

(3) しじみは殻から身をはずす。

(4) にんじん、しょうがは1.5cmの長さに千切りにする。

(5) 油揚げは熱湯をかけて油抜きをし、細切りにする。

(6) 炊飯器の内釜に米を入れ、しょうゆ、日本酒、みりんを加え、分けておいたしじみの汁を入れ、炊飯器の「2」の目盛りまでだし汁を加える。

(7) しじみの身、にんじん、油揚げ、しょうがを入れて炊く。

(8) 炊き上がったら具がまんべんなく混ざるように軽くほぐして茶碗に盛る。

(9) ごまや切ったみつば、しそなどをのせてもよい。

『「凍らせしじみ」ダイエット』は、無理なくやせる方法や肝機能を高め、脂肪を燃焼する「しじみ」を使ったレシピなど、失敗続きのダイエットを成功させるヒントが満載です。