上野駅周辺の商業施設で配布中の「魚の免許証」風カード

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飲食店に「魚の免許証」が置いてあったとSNSで話題になっている。カツオやマンボウといった魚の免許証風のカードで、国立科学博物館が住所として記されている。実は、同館で開催中の特別展「海 ―生命のみなもと―」(以下「海展」)の入場割引券だという。上野駅周辺の商業施設で配布されている。

J-CASTニュースの取材に対し、考案者は2023年8月3日、シークレットカードに「ゴールド免許」を用意していると明かす。

免許の種類は「鰹」「外洋」「スズキ目」

商業施設「アトレ上野」のスペイン料理店で割引券を目撃したとする人が2日、ツイッター(現X)で驚きとともに紹介し大きな注目を集めた。

割引券のデザインは運転免許証のようで、魚の名前、学名、住所、交付日、使用条件などが書かれている。例えばカツオについては、学名は「Katsuwonus pelamis」、使用条件は「生息域は世界中の温帯〜熱帯域 初鰹は春から初夏に限る」という分布などが記されている。大型、中型など運転免許の種類を示す部分には、「鰹」「外洋」「スズキ目」と生き物の分類などを伝える。

割引券を紹介する投稿は1万1000件を超えるリツイート、3万2000件を超える「いいね」が寄せられるなど大きな反響があり、「これ全部欲しい」「集めたい!」といった声が寄せられている。また1980年代ごろから流行した暴走族風の猫「なめ猫」の免許証風カードを想起したという声も多い。

考案したのは、展覧会主催の広報宣伝担当者だという。特別展「海」広報事務局を通じて、免許証風の割引券を考案した理由を次のように回答した。

「担当者が『なめ猫世代』ではないか?との声がSNSでありますが、担当者は20歳代で『なめ猫世代』ではありません。担当者が『魚が身分証を首からかけていたら面白いのに』と思っていたところ、駄菓子屋で集めた『なめ猫』免許証が頭をよぎり、今回の割引カードを発案しました」

全5種類!採用した魚は「顔」で選んだ

割引券は、シイラ、マンボウ、カツオ、インドネシアシーラカンスと、シークレットカードとしてマリアナスネイルフィッシュの全5種類が用意されている。シークレットカードはゴールド免許風のデザインとなっていて、考案者は「見つけた人がいれば、ぜひSNSなどで発信していただきたい」と呼び掛ける。

5種の魚を採用した理由については、次のように説明する。

「魚は全身で認識されることが多いので、『顔』に特徴がある魚を選びました。マンボウは担当者の好みで選びましたが、横顔では分かりにくいため、マンボウだけ全身の画像にしています」

魚の学名や分類、特徴などは、魚類の研究者が監修している。裏面には割引カードを利用するための条件や「クーポンコード」が記されており、オンラインチケット販売システム「ART PASS」で用いることができる。

東京・上野にある国立科学博物館周辺のアトレ上野・エキュート上野・上野マルイ・松坂屋上野店・パルコヤ上野の5つの商業施設で配布中だ。入手の条件については、各施設に問い合わせるよう呼びかける。

「割引カードが注目を集めたことは、大変うれしく思います。ぜひ、カードを集めて、お友達や家族とご一緒に特別展『海 −生命のみなもと−』へ遊びに来てください。カードは回収されませんので、来場の思い出にしていただければうれしいです」

海展は、7月15日から10月9日にかけて国立科学博物館地球館特別展示室で開催されている。地球上のあらゆる生命のみなもとと言われる「海」の誕生から現在にかけての、多様な生物や人と海のかかわりを紹介し、海とともに歩む未来について考える展示を行うという。国立科学博物館、海洋研究開発機構、NHK、NHKプロモーション、読売新聞社が主催している。