どんどん暑さが増すこれからの季節に気をつけたいのが、ときには命まで脅かすこともある熱中症。そこで、救命救急医・犬飼公一先生に、熱中症の基礎知識から、間違いがちな対策、さらに処置の方法まで教えてもらいました。

正しい熱中症対策はどっち?基礎知識編

熱中症対策のために知っておきたい基礎知識をおさらいしましょう!

●熱中症になりやすい場所は「屋外」vs「家の中」

→風がとおらなかったり、熱がこもりがちな家の中の方がかかりやすい

発生場所でいちばん多いのは家の中で、その大半が65歳以上の高齢者。そのほか、学校内などエアコンが適切に使用されていない屋内で多く発生しています。

●「気温が高い日」と「湿度が高い日」はどっちを注意すべき?

→気をつけるべきは湿度が高い日!

気温が低くても、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、熱中症の危険が高まります。過去には、気温11.7度(11月・埼玉県大宮市)でも発症した記録が残っているほど。

●熱中症で入院(1泊)するとかかる医療費は「6000円」vs「6万円」

→6万円かかることも! 対策しておけば、高額な医療費がかからずすみます。

救急車で運ばれ、1泊入院をした場合の総医療費は約6万円で、もっと高くなるケースもあるので要注意。

公的医療保険による保障で自己負担額は一部となる

●熱中症になりやすいのは「身長が低い子ども」vs「身長が高い大人」

→地面からの輻射熱の影響を受けやすい身長が低い子どものほうが発生率が高い。

地面の温度は気温よりも高く、身長が低いと照り返しによる温度の影響を強く受けてしまいます。また、子どもは体温調整が未発達のため、発症しやすい傾向に。

●年間の入院死亡率が高いのは「がん(大腸がん)」vs「熱中症」

→じつは熱中症の方が多いことも!

2018年の統計によると、熱中症の死亡者は1518人で、年間の入院死亡率は約4.7パーセント。これはその年の大腸がんでの入院死亡率を上回る結果に。熱中症は命の危険を脅かすことをぜひ認識し直してください。