ついに「賃貸 VS 持ち家」議論に終止符！「都内に住むなら、家を買うべき」と断言できるワケ
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▶前回：永遠のテーマ「賃貸 VS 持ち家」の議論に隠されたカラクリとは？なぜ、結論がでないのか
宅地建物取引士の資格を持ち、「住宅購入エージェント」としてYouTubeで発信をする水智氏の動画を紹介する。
水智 崚（みずちりょう）
不動産業界が大嫌いな住宅購入エージェント
「後悔しない住宅購入」の方法を追求＆発信
SNS
YouTube：Tokyo Residential Academy
Instagram：@tra_miz
Twitter：@tra_miz
永遠のテーマ「賃貸 VS 持ち家」を考えるときのポイント【後編】
前回は、東京に住む想定で、下記にあてはまる人以外は“持ち家の方が良い”という話をした。
・「単身者」かつ「家賃補助が充実している会社に勤めている人」
・収入が著しく不安定な人
・どちらが得とか気にするほどもない富裕層の人
そして、持ち家のメリット1つ目、費用対効果が高いことについても説明した。
今回は、「持ち家のメリット」の続きをみていこう。
持ち家のメリット2つ目「資産になる／老後の資金対策になる」
この話は、「長い目でみて、賃貸と持ち家は金銭的にどちらがお得なのか」という話だ。
結論からいうと、特別な事情がない限り、東京で条件を揃えて比較すると、持ち家の方が得になる可能性は非常に高い。
その根拠を見ていく。
前回も述べたが、「賃貸 VS 持ち家」の議論をする場合、多くの記事が35年で区切っている。なぜなら住宅ローンの最長借入期間だからだ。
そこで、まず35年で区切って賃貸と持ち家を比較してみる。
これは、東京23区の平均的な家賃と物件価格で計算している。それぞれ35年でかかる費用を想定して作った表だ（※動画が作成された2020年4月時点の情報です）。
【賃貸】
・東京23区、60〜70平米 築15〜20年の物件の平均相場の場合
・ホームズ調べ
・35年間家賃の変動はないものとする
・住み替え回数は平均（3年に1度）ではなく、家族世帯を想定した回数
【持ち家】
・東京23区 60〜70平米 築15〜20年の平均相場の場合とする
・業者間専用サイト調べ
・金利1.3% フラット35の全期間固定金利 35年返済で試算
・管理費1万/月、修繕積立金1万/月 35年間の平均値と想定
・固定資産税は、毎年12万円で計算
この例だと、35年で区切ると、持ち家の方が約1,200万円お得だという結論になる。
ただ35年で1,200万円くらいの差だと、身軽な賃貸の方が魅力的だという人もいる。メディアで目にする多くの比較だと、ここで話がうやむやに終わることが多い。
しかし、ローンを完済した35年から先どうなるのか、というのが、賃貸と持ち家の最大の違いだ。
住宅ローンを完済しても、居住費はかかる。厚生労働省が2022年に発表した、現在の日本人の平均寿命は、男性81.47歳・女性87.57歳（2021年分）。
人生100年時代といわれている今、ローンを完済したその先まで考える必要がある。
持ち家の場合、ローンを払い終えると、月々の支払額は減少する。
しかし、賃貸住まいを続ける場合、同じ住まいのグレードを保つなら、同じ額の支払いを将来にわたって続けなければならない。
今後平均寿命が延びることなどを鑑みると、老後にいくら必要なのか計算して、その金額を準備しておかないと悲劇が訪れることになる。
仮に、平均寿命に近い85歳まで生きる想定で計算にしてみた結果が下記だ（※動画が作成された2020年4月時点の情報です）。
30歳で家を買い、ローンを完済し終える65歳から85歳までの20年間を見比べる。
賃貸だと、20年でかかる費用は、約5,610万円。
一方持ち家の場合、ローン完済後にかかってくるのは、管理費、修繕積立金、固定資産税そして内装リフォーム費で、約1,320万円。
その差は4,300万円にもなる。
30歳からの居住費のトータルは、賃貸住まいでは、1億5,774万円に対して、持ち家は、1億300万円。
さらに持ち家の場合、売るという選択がある。
5,560万円の家を購入した場合、最終的に65％価格が下落して2,000万円で売れたとしても、その金額が手元に入る。
何十年先に最終的にいくらで売れるのか誰にも予想できないが、東京だといくらかの金額で売れる。
また、持ち家を担保としてお金を借りるというリバースモーゲージ（＊）という手段もある。（＊リバースモーゲージとは、自宅を所有しているが、現金収入が少ない高齢者世帯が、住居を手放すことなく生活資金を確保するための手段）
いずれにせよ、売却価格を仮に2,000万円とした場合、賃貸と持ち家の生涯的な居住費の差は7,474万円にもなる。
ネガティブに考えて、売却価格が1,000万円だったとしても、6,500万円の差になる。
仮に、老後に住む賃貸の賃料を下げて計算しても、この差は埋まらない。
さらに言うと、85歳まで生きた場合を想定しているが、平均寿命が今後延びた場合この差はもっと開く。
また、住宅ローンを35年かけて支払う算段で計算しているが、25年で完済というのが平均データだ。繰り上げ返済をすると、利息が低くなりトータルの支払い額が下がるため、この差はもっと大きくなる。
以上により、東京の家事情を考えると、金銭面だけなら持ち家が圧倒的に有利だといえる。。
もう1つ、知っておくべき現実をお伝えする。
老後賃貸住まいをしている想定で、ある程度豊かな生活（贅沢とはいわないが、切り詰めるわけでもない生活）を送るのに必要な金額は、いくらか？
総務省が集計したデータによると、2人以上の世帯で1ヶ月に必要な金額は、月29万円。
しかし、こちらは日本の平均だ。東京の賃貸事情を考慮すると約40万円だと考えられる。
多くの人は年金で賄うことになる。
では、年金はいくらもらえるのか。
こちらも多くの人が該当する層だと、月20万円といわれている。
不足している20万をどう補うかを考えると、貯蓄を切り崩すことになる。
仮に85歳まで生きるとして、20万円×12ヶ月×20年＝4,800万円。65歳以降に4,800万を調達しなければならない。
切り詰めて30万円で生活しても、2,000万円必要だ。。
さらに厳しいことをいうと、この計算は現在の平均寿命と年金額で計算している。
今後平均寿命は延び、年金額は減る可能性が高い。
そうなると、もっと不足することになる。せめて居住費を抑えておきたい。
本来であれば、ここまで考えて賃貸か持ち家かを考えるべきだ。
さらに追い討ちをかけるようだが、老後に仕事がなくなっても賃貸住まいを続けられる経済力があるとしても、実際に賃貸物件を借りられるかは別問題だ。
高齢者が賃貸物件内で孤独死した場合、その物件は、事故物件扱いになる。賃貸オーナーからすると、その可能性は減らしたいと思うだろう。
残念ながらその可能性が高い高齢者は賃貸で部屋を借りるのは、若い時に比べて大変になってくるのが現実だ。
では、最後に持ち家のもう1つのメリットについてお伝えする。
こちらを読めば、家賃補助が充実している会社に勤めている人も、世帯持ちは家を買った方が良い理由がわかる。
持ち家のメリット3つ目「保険になる」
「家を買うことが保険になる」ということはなんとなく知っていても、それがどれだけ大きなメリットなのかを知らない人は多い。
東京は家賃が高いからこそ、家を買った方がお得になると先ほど述べた。しかし、持ち家のメリットはそれだけではない。
例えば、会社の家賃補助が厚い場合、家は買わなくてもよいのでは、と考える人もいるかもしれない。
しかし、会社の家賃補助が厚い場合でも、世帯持ちの人は、家を買うことを勧める。
まず、「家を買うことが保険になる」とは、どういうことか。
住宅ローンを組むためには、団体信用生命保険（団信）に入らなければならない。
これは、被保険者が死亡もしくは所定の高度障害が残った場合に、残りのローンを返す義務がなくなり、家を家族に残せるという保険だ。
例えば、4,000万円を35年ローンで組むとする。この保険は、ローンの残債に対しての保険だ。
だから、4,000万を借りた直後に死亡すると、ほぼ4,000万の保険金が下りる。ローンの残債が減ると、保障される額も減っていく。
こういうタイプの保険を逓減型（ていげんがた）という。
一般の保険でも逓減型の生命保険はある。例えば、子どものために入る生命保険だ。
子どもが小さい時は、支払われる保険金が高いが、子どもの成長に合わせて保険金が減っていくというタイプのものだ。
一般の保険で、最大4,000万円保障してくれて35年で保険金がゼロになるような逓減保険に入る場合、月々の保険料は、3,000円〜4,000円ほど。
仮に月4,000円だとすると、4,000円×12ヶ月×35年＝約170万円になる。
では、団信の保険料はいくらなのか。
実は、住宅ローンを結んだ金融機関が団信の契約者となり保険料を支払うため、団信への支払額はゼロだ。
しかも、一般の生命保険だと自分に何も起こらないまま35年が過ぎると、何も残らない。それに対して、団信の場合は、残債がゼロになったとしても不動産という資産が残っている。
例えば4,000万円で買った家が35年後に2,000万円まで下落していたとしても、2,000万円が手元に残る。つまり、月々の支払いなしで、2,000万円の貯蓄型保険に入ったのと同じになる。
それでは、一般の保険で2,000万円の貯蓄型保険に入る場合はいくらかかるのだろうか。
月10万円程度かかることもある。
そう考えると家を購入することは、お得だといえる。
次は、家を残せるという保険の話をする。
下記のような家族がいたとする。
夫婦が1歳の子どもと家賃13万円の1LDKに住んでいた。夫の会社から家賃補助が7万円出ているので、支払額は月6万円。
もう1人子どもが生まれることになったので、広い部屋に引っ越すという想定だ。
3LDKの部屋が仮に月20万円だったとする。家賃補助が7万円なので月々の支払いは13万円。
数年後、夫が突然不慮の事故で亡くなったとする。ちょうど妻は仕事を辞めて専業主婦になっていた時期だった。
これまで夫の会社から出ていた家賃補助はなくなる。さらに妻が専業主婦になっている場合、世帯年収はゼロになってしまう。同じ生活レベルを保つためには、仕事を探す必要がある。
子ども2人を養いながら生活レベルが保てる仕事を見つけるのは、なかなか困難だ。
家賃が安いところに引っ越す選択肢もあるが、都内だと家族3人でこれまで住んでいた家賃20万円の家のレベルと同じ環境の家を探すのは、ほぼ不可能だ。
では、夫がローンを組んで家を購入していた場合はどうなるか。
夫が不慮の事故で亡くなっても、ローンの残債なしで家族に家を残すことができる。
その家に住み続けることができるし、家を売却し引っ越すことも可能だし、賃貸に回して継続的な収入を得ることもできる。
これが、持ち家のメリット3つ目だ。
◆
前回と今回にわたり「賃貸 VS 持ち家」どちらが良いか、という議論について取り上げた。都内に住む場合は、金銭面を考えると持ち家の方が、メリットが大きいということがわかったと思う。
1人1人しっかりと自分のライフスタイルに合わせて、長期的視点を持ち、資金計画をしていくのが賢い選択だといえるだろう。
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賢い消費者になるために、マンション購入前に知っておきたいこと！
▶前回：永遠のテーマ「賃貸 VS 持ち家」の議論に隠されたカラクリとは？なぜ、結論がでないのか
