英国で「生け花」がブーム! イングリッシュガーデンと何が違う?
5月下旬に開催された「マンチェスターフラワーフェスティバル」では、生け花のワークショップが大盛況でした。英国では現在、生け花が日本の代表的な文化としてブームになりつつあります。どうして英国で生け花が好まれるのでしょうか?
生け花は花を飾るだけではなく、草木の美しさや植物そのもの、ありのままの自然を表現しようとする独特のスタイルとして英国で注目を集めています。
西洋のフラワーアレンジメントは花をメインとし、緑を添えることで華やかさを演出するというのが主なスタイル。一方で日本の生け花は花だけではなく、草木の美しさを表現することを大切にしています。曲がった茎でも枯れかけた花でも、“わび・さび”として美を見い出します。
ワークショップに参加した英国人のフォトグラファーは、「英国であまり見かけないアレンジメントの色合いに惹かれた」とコメント。他の参加者も「独特で個性的なデザイン」「花や植物そのままの形を生かしていて、自然からのメッセージを感じる」と語っていました。
英国では、人の手を加え過ぎずにありのままの自然を生かす「イングリッシュガーデン」が愛されています。そのような国民性から、生け花が英国の草花愛好家に受け入れられたのも不思議ではありません。
生け花はできるだけ少ない花数や草木で、空間も上手に使って美を表現します。さらに、花の数が少なくても構わないうえ、スポンジではなく花を刺して繰り返し使える剣山を用いる点が「エコ」に通じるとことも英国で受け入れられている理由です。
人々が大量生産や大量消費に疑問を感じ、サステナブル意識が高まっている現代社会において、華美から離れ、質素な形で心の美しさを表現することができる生け花。そこから学ぶ日本文化の精神的な価値に、若者を含めて英国人は注目しています。