「市場衰退」の認識も、TCLがmini LED搭載QLEDテレビを続々投入する強気
中国の家電メーカー・TCLは、タイ・バンコク市でアジア太平洋地域全体の新製品発表イベントを開催しました。日本の家電量販店などですでに販売されている4Kテレビのほか、ホームシアタースピーカーシステムの新シリーズが発表されました。太平洋地域での発表会は珍しく、自然と期待がかかります。一体どんな製品を出したのでしょうか。
TCLは、小型化したLEDバックライトを部分制御することでコントラストをアップした「mini LED」と、色再現性を向上する「QD(量子ドット)」技術と、液晶パネルを組み合わせたQLEDテレビを展開。発表会ではその最新ラインアップである「TCL Cシリーズ」とプレミアムラインの「TCL XLコレクション」が発表されました。
最大輝度2000nitのmini LED搭載、クリアで優れたコントラストを実現
「TCL C845」シリーズは、mini LEDによって2000nitのピーク輝度を実現したTCL Cシリーズの上位モデルで、55、65、75、85インチの4サイズを展開。映像エンジンには、高コントラストを実現する「Ai-コントラスト」、色再現性を向上する「Ai-カラー」、はっきりとした色合いに加えてノイズを低減する「Ai-クラリティ」、高リフレッシュレートを実現する「Ai-モーション」、Dolby Visionなどの最新HDRフォーマットに対応させる「Ai-HDR」の5つの機能を搭載する「AiPQプロセッサー3.0」を採用しています。
TCL パン・スマートスクリーン プロダクト オペレーションセンター ジェネラルマネージャーのボブ・ズオ氏は発表会で、「画質を向上させるうえでmini LEDが重要な役割を示しています」と語りました。
「最新世代のmini LEDによって画質がさらに向上し、深い黒とより明るい白を得ることに成功しました。我々のmini LEDは非常に高効率かつ明るく、2000 nitのピーク輝度を達成。非常にクリアかつ優れたコントラストを可能にしています。
また『ダイナミックαテクノロジー』によって画像の明るさを向上したのと同時に、特に低照度時の光の漏れを減少しています。さらに(デジタルシネマ向け)『DCI-P3』の97%の色域と100%の色数をカバーすることで、実世界と同じような色合いを再現できます」(ボブ・ズオ氏)
ゲーマー向け機能コレクションの「Game Master 2.0」も搭載しており、HDMI2.1対応、最高144HzのVRR(可変リフレッシュレート)、低遅延モードと高画質モードを自動的に切り替える「ALLM(Auto Low Latency Mode)」、最新版のHDRフォーマット(HDR10+、HLG、Dolby Vision、Dolby Vision IQ)にも対応。高画質・高音質を認証する「IMAX Enhanced」も取得しています。
ゲーマー向けQLEDテレビとスタンダードモデルも登場
「TCL C745」シリーズは1000nitのピーク輝度を実現したTCL Cシリーズのゲーマー向けQLEDテレビで、55、65、75、85インチの4サイズを展開。mini LEDは搭載していないものの、映像エンジンの「AiPQプロセッサー3.0」やゲーマー向け「Game Master 2.0」などを搭載しており、最大144HzのVRRにも対応しています。
「TCL C645」シリーズはTCL CシリーズのスタンダードモデルのQLEDテレビで、43、50、55、66、75、85インチの6サイズを展開。上位モデルとは違ってGame Master 2.0は搭載していないですが、映像エンジンの「AiPQプロセッサー3.0」や最高120Hzで駆動する「120Hz Game Accelerator」などを搭載しています。
日本もグローバルも市場は衰退、状況打破の原動力は製品そのもの
TCL XLコレクションはmini LEDとQLEDを組み合わせたTCLのプレミアムラインで、最大98インチもの巨大サイズを誇るシリーズです。ほかに65、75、85インチも用意しています。98インチサイズの場合、3mほど離れた場所に座ると、映画館の中央の席から30m級の巨大なスクリーンを見るのと同じ、約60度の視野角で映画を楽しめます。
「98インチのTCL XLコレクションでは、あたかも映画館にいるような体験ができます」(ボブ・ズオ氏)
TCL グローバルマーケティングセンター ジェネラルマネージャーのアイリーン・スン氏はTCLの今後の販売戦略について次のように語りました。
「直近の日本市場は衰退している印象がありますが、それはグローバルでも同様だと考えています。その状況を打破する原動力は製品そのものだと思います。日本市場における戦略の1つはハイエンド向けにQLEDとmini LED、そして98インチなどの大画面製品に注力して良い製品を作ること。一方でコストパフォーマンスの高い製品を作ることも必要だと思っています」(アイリーン・スン氏)
TCL Cシリーズは日本でも発売予定となっており、98インチのTCL XLコレクションも「2023年8月に発売予定です」とアイリーン・スン氏は語りました。
TCL XLコレクションの98インチ現行モデルは現在米国において8499.99ドル(日本円で約118万4320円)で販売されています。日本で発売される場合はいくらぐらいになるのかは不明ですが、市場投入を楽しみにしたいところです。
そのほか、発表会場では7.1.4chから2.1chまでラインアップするホームシアタースピーカーシステムも展示されていました。
ホームシアタースピーカーシステムの日本市場への展開は未定ですが、Amazonなどでは従来モデルが販売されており、こちらの展開も待ち遠しいところです。
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