新横浜線開業で、平均賃料に変化?

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 3月18日、横浜市を中心に運行する相鉄線と、横浜〜東京間を走る東急東横線がつながる「相鉄・東急新横浜線」(以下「新横浜線」)が開業しました。交通利便性の向上に伴い、沿線の平均賃料にも変化が起きているようです。「LIFULL」(ライフル、東京都千代田区)が運営する不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」が、相鉄本線・相鉄いずみ野線各駅の賃料上昇率を調査。その結果を「賃料が上がっている相鉄線の駅ランキング」として発表しました。

トップ5中4駅が「相鉄いずみ野線」の駅

 データ抽出期間は、2021年12月〜2022年2月と2022年12月〜2023年2月。対象物件は不動産サイト「LIFULL HOME’S」に掲載されていた「築30年以内」「30平米未満」「駅徒歩10分以内」「賃料1万〜100万円」の条件に当てはまる居住用賃貸物件。ランキングは、昨年(2022年)からの賃料上昇率を高い順に並べたものです。

 新横浜線は「羽沢横浜国大駅」〜「新横浜駅」間の相鉄新横浜線と、「新横浜駅」〜「日吉駅」間の東急新横浜線で構成され、東急東横線・目黒線から直通運転をする東京メトロ南北線・副都心線、都営三田線、埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線、東武東上線まで乗り入れを行います。

 相鉄線沿線に居住する人の都心方面へのアクセスが飛躍的に高まるだけでなく、「新横浜駅」へもダイレクトアクセス可能となり、東海道新幹線も利用しやすくなります。これを受けて同社は、「交通利便性が高まれば当然、居住ニーズも高まることが想定され、住宅価格や賃料にも影響が出ます」とコメントしています。

 調査の結果、「賃料が上がっている相鉄線の駅」1位となったのは「ゆめが丘駅」(相鉄いずみ野線)。賃料上昇率は+24.6%、平均賃料は「5万4975円→6万8493円」となっています。

 同社が運営する街情報サービス「まちむすび」によると、ゆめが丘駅は「田んぼや川が近くにあり、静かに暮らしたい人に向いている」一方で、住んで残念だと思ったところに関して「娯楽施設が少ない」「買い物が不便」という回答が見受けられたといいます。新横浜線の開業に伴う駅周辺の開発が期待される一方で、「自然豊かな環境を残しつつ開発を進める」との意向もあるといい、当面は交通利便性が向上した長閑な街を楽しむことができそうです。

 2位は「相模大塚駅」(相鉄本線)。賃料上昇率は+23.7%、平均賃料は「5万1960円→6万4297円」です。トップ5の中で唯一、相鉄本線の駅としてランクインしています。同駅は小田急江ノ島線も通り、交通利便性の高い「大和駅」(平均賃料6万3429円)まで1駅という立地条件で、これまで大和駅より賃料水準が安価でしたが、今回の開業に合わせて賃料が急上昇。大和駅とほぼ同じ水準まで上昇しています。また同駅は、ファミリータイプの賃貸物件が多いことも魅力の一つです。

 3位は「南万騎が原駅」(相鉄いずみ野線)で、賃料上昇率が+19.6%、平均賃料は「4万6595円→5万5710円」でした。同駅は横浜市と相鉄グループによるリノベーションプロジェクトによって駅周辺の開発が進められており、豊かな自然と良好な住環境の双方を享受できるのが魅力となっています。

 なお、ランキングトップ5のうち、4駅が「相鉄いずみ野線」の駅という結果となっており、同社は「特に相鉄線の支線である相鉄いずみ野線は、『湘南台駅』が終着でその先の接続がなく、横浜方面に出る以外の移動手段がありませんでしたが、今回のJR線および東急線との一連の相互乗り入れにより、飛躍的に交通利便性が向上したことによって、特に賃料の上昇率が大きくなったことが分かります」とコメントを寄せています。