使い終わった電池はどうやって処分する?

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 使用済みの乾電池やボタン電池などの処分方法が分からないと感じた経験はないでしょうか。SNS上では、「乾電池の捨て方が分からない」「ボタン電池の捨て方も広報してほしい」といった声が比較的多く上がる一方で、「電池はセロハンテープを貼って捨てている」という意見も寄せられています。

 電池を処分するときは、必ずセロハンテープを貼らなければならないのでしょうか。もし貼らずに捨てた場合、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。パナソニック エナジー(大阪府守口市)エナジーデバイス事業部マーケティング部の藤本卓さんに聞きました。

発熱、破裂の恐れ

Q.まず、家庭向けの電池の種類について、教えてください。

藤本さん「次の4種類です。

(1)乾電池
アルカリ乾電池、マンガン乾電池、1.5Vリチウム乾電池

(2)リチウム一次電池
コイン形リチウム電池、円筒形リチウム電池

(3)ボタン形電池
アルカリボタン電池・酸化銀電池・空気亜鉛電池

(4)小型充電式電池
ニカド電池・ニッケル水素電池・リチウムイオン電池」

Q.リチウム一次電池の一種であるコイン形リチウム電池とボタン形電池は、何が違うのでしょうか。

藤本さん「どちらも腕時計や電子体温計などに使われますが、それぞれ電池の中の材料や性能が異なります。コイン形リチウム電池は、正極(プラス極)に二酸化マンガンやフッ化黒鉛、負極(マイナス極)にリチウムをそれぞれ使用しており、電圧は3ボルトです。CRもしくはBRという品番が付いています(例CR2032、BR1225など)。

一般的に、ボタン形電池に分類されるアルカリボタン電池、酸化銀電池、空気亜鉛電池の材料、性能は次の通りです」

■アルカリボタン電池
乾電池と同じ材料で、正極に二酸化マンガンを、負極に亜鉛をそれぞれ使用しており、電圧は1.5ボルト。品番はLR(例LR44)

■酸化銀電池
正極に酸化銀を、負極に亜鉛を使用しており、電圧は1.55ボルト。品番はSR(例SR44)

■空気亜鉛電池
負極に亜鉛を使用し、空気中の酸素と反応させて電気を発生させており、電圧は1.4ボルト。品番はPR(例PR44)

Q.乾電池、リチウム一次電池、ボタン形電池、小型充電式電池はどうやって捨てればよいのでしょうか。

藤本さん「電池の種類によって、処分方法が異なります。次の通りです。

■乾電池・リチウム一次電池
乾電池、リチウム一次電池を捨てる際は、電池の端子部分にテープ(セロハンテープ、ビニールテープ、ガムテープなど)を貼り、電流が流れない状態(絶縁)にしましょう。電気を通さない材質であれば、セロハンテープ以外のテープを使っても問題ありません。分別方法については、お住まいの自治体の指示に従ってください。

■ボタン形電池
ボタン形電池は、上下を包むようにテープを貼り、電流が流れない状態にしてください。その上で、家電量販店や眼鏡店などに設置されているボタン形電池専用の回収缶に入れてください。

■小型充電式電池
小型充電式電池は、電池の端子部分にテープを貼り、電流が流れない状態にしてから、家電量販店などに設置されている充電式電池のリサイクルボックスに入れてください」

Q.では、テープを貼らずにそのまま電池を捨てた場合、どのような危険性があるのでしょうか。

藤本さん「『電池と金属』あるいは『電池同士』が接触すると、電流が流れることがあります。その場合、ショートして発熱・破裂の可能性があるので危険です。先述のように、使い終わった電池は、テープを貼るなどして絶縁してから処分してください」

Q.使用済みの電池を自宅に長期間放置すると、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。

藤本さん「使用済みの電池を長期間放置しても破裂や発火に至ることはありませんが、液もれする危険性があるので、できる限り早めに廃棄することをお勧めします」

 事故を防ぐためにも、電池は必ずテープを貼ってから捨てるようにしましょう。