マスクで合唱に違和感訴える声も(写真はイメージ)

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NHK・Eテレで放送された「NHK全国学校音楽コンクール」(Nコン)について、子供らがマスクで合唱する姿に違和感を覚えたとする声が、ツイッター上などで続出している。

マスクがずり落ちるたびに直す子供が相次ぎ、歌いにくそうだ、かわいそうだとの声も多い。なぜマスク着用をルールにしているのか、NHK広報局に話を聞いた。

いつの間にか、鼻マスクになっている子供も

歌っているうちに、マスクがずり落ち、その度にマスクを直す。中には、いつの間にか、鼻マスクになっている子供もいた。

Eテレでは2022年10月2日、Nコン関東甲信越ブロックコンクールのハイライトを放送した。このコンクールは、9月10・11日にさいたま市文化センターの大ホールで行われたもので、放送では出場校の合唱を部分的に紹介していった。

まず、新型コロナウイルス感染防止対策として、「ステージで歌うのは25人以内」「前後左右1.5メートルの距離を取る」「不織布マスクを着用して歌う」の統一ルールを紹介し、対策を徹底しているとアピールした。

小学校の部は、関東甲信越179校のうち13校がブロックに出場し、全国大会へ進める金賞3校を目指して競い合う様子が放送で流された。

学校紹介の集合写真では、子供らはマスクなしでピースなどのポーズを取っていた。しかし、ステージに上がると、みな白いマスクを着けながら、声を出した。そんな中で、鼻が出るとマスクを引っ込めたり、苦しそうな表情を時々見せたりする子供も多かった。子供へのインタビューでは、マスクなしで話す姿が映し出された。

放送中から、ツイッター上では、子供らがマスク姿で合唱する様子に、様々な声が寄せられた。

「歌いにくいだろうなー」「何ともかわいそうで切なくなる」「呼吸とかの状況を考えないんだろうか」と子供らへの同情が相次ぎ、「合唱の時くらいマスク外させてあげて」との要望も出ていた。

文化庁マスクを必ずして下さいとは通知していない」

合唱時のマスクをルールにしていることについて、NHKの広報局は10月4日、J-CASTニュースの取材に対し、その理由を次のようにメールで説明した。

NHK全国学校音楽コンクールは、学校における児童・生徒の音楽活動の成果を発表する場として実施しています。文部科学省のガイドラインで合唱活動の際はマスク着用とされていることや、専門家の助言等をふまえて、NHK全国学校音楽コンクールでは、感染対策としてマスク着用を統一ルールとしています」

Nコンでは、10月8・9・10日に、東京都渋谷区内のNHKホールで全国コンクールが行われ、Eテレでも生中継される。

このときの対応について、広報局は、「全国コンクールにおいても、マスク着用で歌唱していただきます」と答えた。

文科省のガイドラインが具体的に何を指すのか、NHKの回答では明確にされていない。合唱での感染防止を進める文化庁の学校芸術教育室は4日、取材に対し、このガイドラインは、4月1日に8回目の改訂版が出た「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」を指しているとした。

そこでは、「合唱をする際には、マスクを原則着用する」とし、児童・生徒ら同士の間隔は、マスクをしていても、最低1メートル、できるだけ2メートル開けるようにとある。

しかし、文化庁では、その適用について、こう説明した。

「各地域の感染レベルに応じて、マスクを推奨していますが、一定の距離を取っていればいいとしており、マスクを必ずして下さいとは通知していません。マスク着用について、ガイドラインのせいにされるのは困ります。マスク着用を求めているとすれば、認識が古いのではないでしょうか。NHKでは、『合唱をする際には、マスクを原則着用する』との文面から、着用した方がいいと判断したのではないかと思います」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)