厳選!2歳馬情報局(2022年版)
第17回:バロッサヴァレー

 2016年から2019年にかけて活躍し、GI2勝を挙げているスワーヴリチャード(牡/父ハーツクライ)。その全妹となる2歳馬が、デビューを目前に控えている。

 栗東トレセンの高野友和厩舎に所属するバロッサヴァレー(牝2歳/父ハーツクライ)である。


スワーヴリチャードの全妹、バロッサヴァレー

 先にも触れた全兄のスワーヴリチャードは、2016年にデビュー。2戦目の未勝利戦を勝ち上がると、以降は重賞戦線で常に脚光を浴びてきた。

 2歳秋のGIII東京スポーツ杯2歳S(東京・芝1800m)で2着と好走したあと、3歳初戦のGIII共同通信杯(東京・芝1800m)で初の重賞制覇を遂げた。3歳牡馬クラシックではGI皐月賞(中山・芝2000m)こそ6着に終わったものの、次戦のGI日本ダービー(東京・芝2400m)では、勝ったレイデオロから4分の3馬身差の2着と奮闘した。

 さらに、暮れのGI有馬記念(中山・芝2500m)でも、歴戦の古馬相手に4着。世代上位の力を示した。

 そして4歳になって、初のGI制覇を果たす。GII金鯱賞(中京・芝2000m)を快勝し、その勢いのままGI大阪杯(阪神・芝2000m)で戴冠。向正面で後方から一気に先頭に立つ大胆な競馬で、見事に押しきった。

 その後は、GIタイトルにはなかなか手が届かなかったものの、GI安田記念(東京・芝1600m)をはじめ、GIジャパンC(東京・芝2400m)、海外GIのドバイシーマクラシック(UAE・芝2400m)、GI宝塚記念(阪神・芝2200m)で3着と健闘。ハイレベルな舞台で常に安定した走りを見せた。

 そんななか、迎えた5歳秋に2つ目のGIタイトルを獲得する。マカヒキ、レイデオロ、ワグネリアンら3世代のダービー馬が集ったジャパンCで、中団の内から鮮やかに抜け出して勝利を飾った。

 そうした兄の活躍もあって、注目度が高いバロッサヴァレー。現在は高野厩舎で順調に調教を重ねているが、間近で見ているスタッフはどれほどの手応えを得ているのだろうか。関西競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「スタッフの評価は、『(バロッサヴァレーは)肉体面にいいものを持っており、フットワークも上々で乗り味もいい』とまずまず。馬体重は440kgほどと、牝馬らしく小さめのサイズですが、『馬っぷりは悪くない』とのことでした。距離については、『長めが合いそう』とスタッフは見ています」

 この血統は気性の激しい馬が多いことでも知られるが、その点はどうなのだろうか。先述のトラックマンが続ける。

「スタッフからは、やはり『気性的に我の強さがある』というコメントが聞かれました。調教に騎乗した北村友一騎手も、同様の感触を抱いたようです。そのため、陣営は『バロッサヴァレーの気持ちを崩さず、デビューまでうまく調整していきたい』と話していました」

 デビュー戦の予定は、9月25日の2歳新馬(中京・芝2000m)。兄同様、早くから頭角を現わすことができるのか。初陣の走りに注目したい。