今週は3日間開催となる中央競馬。最終日の9月19日には、GI菊花賞(10月23日/阪神・芝3000m)の前哨戦となるGIIセントライト記念(中山・芝2200m)が行なわれる。

 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は4勝、2着3回。比較的安定した成績を残しており、堅いレースといった印象のほうが強いかもしれない。

 ただ、昨年は9番人気のアサマノイタズラが大外一気の競馬で勝利。3連単で30万円超えの高配当が生まれているように、時に人気薄が台頭し、波乱が起こることも少なくない。伏兵の激走にも注意が必要だろう。

 また、日刊スポーツの松田直樹記者はセントライト記念の傾向についてこう語る。

「過去10年の結果を見ると、前走・日本ダービー組が6勝。過去5年に絞ってみても、春のクラシックを経験した馬が3着以内の15頭中、8頭を占めています。馬券的には、春の実績馬狙いがベターと言えるでしょう。

 しかし一方で、毎年必ず夏の上がり馬が馬券に絡んでくるのが、このレースの特徴でもあります」

 さらに松田記者は、馬場状態を踏まえての脚質的な傾向についてこんな見解を示す。

「春の皐月賞の週からおよそ5カ月も開催がないこともあって、例年この時期の中山の芝は絶好の状態。近年はシャタリングやエアレーションの時期に違いがあるものの、開幕週は間違いなく先行有利。今年も先週は、先行馬の活躍が目立っていました。

 2週目に行なわれるセントライト記念も、その点は同様。昨年はアサマノイタズラが直線一気の差しを決めましたが、基本的には先行有利と見ていいでしょう」

 そこで、注目を集めるのは、GI皐月賞(4月17日/中山・芝2000m)で5着と奮闘し、GI日本ダービー(5月29日/東京・芝2400m)でも番手につけて3着と好走したアスクビクターモア(牡3歳)だ。GII弥生賞(3月6日/中山・芝2000m)を制すなど、中山も4戦3勝と得意としている。その実績から松田記者も、「今回は断然の人気を背負う立場での出走となり、これまで同様に先行力を生かす形をとってくるでしょう」と、同馬を有力な1頭と見ている。

 だが、松田記者は「この馬以外にも狙いたい馬がいます」と言って、穴馬候補の名前を挙げた。

「ローシャムパーク(牡3歳)です。未勝利戦(2月13日/東京・芝1800m)、1勝クラスの山藤賞(4月16日/中山・芝2000m)と連勝中。どちらも折り合いを欠きながら、3角先頭から直線でさらに後続を突き放す圧巻のパフォーマンスを披露しました。

 自ら動いてそのまま押しきるのは、単純な能力の違いもあると思いますが、特筆すべきはノーステッキで2着に7馬身差をつけた前走です。当時の馬場はやや重。それでいて、良馬場だった翌日の皐月賞の勝ちタイムとの差がわずかコンマ6秒差。能力の高さは推して知るべし、です」


セントライト記念での一発が期待されるローシャムパーク

 今回、その山藤賞から約5カ月ぶりの実戦となるが、その辺りに不安はないのだろうか。

「デビュー時は心身ともに幼さがありましたが、そのどちらも夏を経て成長。前走から馬体重が20kg近く増えたことで、動きにも力強さが増してきました。その姿から、休み明けでも心配はないでしょう。

 春先は坂路中心の調整でしたが、この中間はウッドコース中心の調整にシフトしてきた点も成長の証と言えます。名牝ダイナカールの血を引く1頭。心身の成長が見込める今回は、少し"大人な"先行策ができそうですし、今の中山にぴったりな脚質ゆえ、一発の期待が膨らみます」

 そしてもう1頭、松田記者は気になる馬がいるという。

「キングズパレス(牡3歳)です。春先までは直線で内にもたれる難しさを見せていましたが、2走前のオープン特別・プリンシパルS(5月7日/東京・芝2000m)で2着、前走の古馬相手の1勝クラス(6月18日/東京・芝2400m)では快勝し、この馬のよさが出てきました。

 いずれも真っ直ぐ伸びてきたことを思うと、もしかしたら左回りの東京向きなのかもしれませんが、調教からは気性面の成長が感じられました。夏を挟んで走りが改善されている可能性は大きいです」

 ここ2戦、東京で好走を重ねてきたとはいえ、中山での戦績も3戦1勝、2着1回、3着1回と決して悪くない。

「確かに未勝利戦(4月17日/中山・芝2200)を勝ち上がったのは、今回と同じ舞台。後方から大外をまくって、最後は流す余裕がありました。当時やや重で上がり35秒3という時計は目立ちませんが、追えば追うほど伸びそうな勢いがありました。

 展開の助けがほしいタイプですが、先行馬が多数そろった今年のレースなら、強豪に割って入る可能性は十分にあると見ています」

 牡馬三冠最終戦へ向けての注目の一戦。春のクラシックには縁がなかった2頭が大駆けを見せるのか、必見である。