横浜F・マリノスが優勝へ視界良好か。引いた相手をこじ開けたゴールシーンが鮮やか
Question
水沼宏太が内側にボールを運んだ次の場面で、横浜F・マリノスはどう崩したか?
Jリーグ第29節、横浜F・マリノス対アビスパ福岡が行なわれ、ホームの横浜FMが1−0で勝利。8月は公式戦4連敗と苦しんだ横浜FMだったが、前節から2連勝で調子を取り戻してきた。
試合開始から横浜FMが素早いプレスと縦に速い攻撃で相手を押し込み、ゲームの主導権を握った。そして前半14分、アンデルソン・ロペスが早々と先制点を奪取。その後も横浜FMがペースを握ってゲームを進める。後半の福岡のパワーを生かした攻撃もしのぎ、クリーンシートでゲームセット。横浜FMの1−0の勝利となった。
今回は決勝点となったアンデルソン・ロベスの得点シーンを取り上げる。
前半14分、横浜FMは相手のクリアボールを拾った左の渡辺皓太が、右ワイドからうしろのスペースに下りた水沼宏太へ展開。そこへ福岡の志知孝明が詰めてくる。
ボールを受けて内側に運んだ水沼から、横浜FMはどうやって相手の守備網をこじ開けたか
それに対して水沼は内側へボールを運び、ルックアップして前線を見ると西村拓真とアンデルソン・ロペスがいる。
次の瞬間、水沼はなにを選択して崩したか、というのがQuestionである。
Answer
ライン間に入った西村が縦パスを受け、ワンタッチでアンデルソン・ロベスに落としてシュート
福岡はミドルサードから自陣に引く時は5−4−1の布陣で、ゴール前のスペースを消すように守っていた。
それに対して横浜FMは西村やアンデルソン・ロベスがDFとMFのライン間に顔を出して起点を作り、サイドで数的優位、あるいは質的な優位を取って福岡を押し込んだ。
そうして縦と横に揺さぶりながらギャップを見つけようとする横浜FMが、一瞬の隙を見出したのがこのシーンだ。
水沼は前方の西村へ縦パス。西村が斜め前のアンデルソン・ロペスへワンタッチで落とし、ゴールが決まった
得点シーンの前に左サイドでエウベル、小池龍太、西村のコンビネーションで進入するが、最後のところで福岡の三國ケネディエイブスがクリアする。そのクリアボールを拾った渡辺は、右サイドの水沼に展開し、福岡の守備の意識を左から右へと動かした。
その揺さぶりで福岡は全体がボールウォッチャーになり、人数がいながら狭いスペースのなかでマークを見られていない選手が出ていた。そこで浮いたのが西村だ。
ボールを受けた水沼が中へ入りルックアップすると、前線で浮いた西村が相手DFとMFのわずかなライン間のスペースに顔を出し、パスを呼び込んだ。この「相手の間」でボールを受けるうまさは、西村がトップ下で重宝される理由のひとつだ。
水沼から西村への斜めのパスが、ドウグラス・グローリの目の前を通過。西村にグローリが釣り出されると、マークされていたアンデルソン・ロペスが浮き、西村がワンタッチでラストパス。アンデルソン・ロペスの決勝点となった。
スペースを消されるなかで、左から右、右から左と揺さぶり、巧みに福岡守備の歪みを作り出した横浜FMの見事なコンビネーションだった。
横浜FMは水曜に行なわれた第26節・京都サンガF.C.戦にも勝って3連勝を達成。リーグも残り6節。3季ぶりの優勝に向け、横浜FMのラストスパートに注目だ。