GIII新潟2歳S(新潟・芝1600m)が8月28日に行なわれる。

 過去10年の結果を振り返ってみると、ハープスターやロードクエスト、ケイデンスコール、セリフォスなど、その後も重賞戦線で活躍している面々が勝ち馬に名を連ねていることもあってか、1番人気は4勝、2着3回。ここ最近は4年連続で連対を果たすなど、安定した成績を残している。

 ただ、かつては18頭フルゲートで行なわれることが多かった一戦だが、近年は出走頭数が減少。そうしたことも、人気馬の好成績につながっているのかもしれない。

 そして、今年も出走馬はわずか11頭。その理由について、デイリー馬三郎の木村拓人記者はこう説明する。

「今年に関して言えば、新馬戦で上がり31秒4という強烈な数字を叩き出したリバティアイランドが出走するかも、という話が大きく影響したかもしれません。同馬との対戦を避けたいがため、登録すらしなかった陣営も少なくなかったようです」

 しかし蓋をあけてみれば、リバティアイランドは出走を回避。その結果、「連闘で挑んでくる馬や、ダートの短距離戦から臨んでくる馬など、いつもの新潟2歳Sとは違ったメンバー構成になってしまった印象があります」と木村記者は言う。

 おかげで、予想に関しては「難しくなった」と、木村記者は顔をしかめた。

「メンバーを見渡して、『どの馬が走るのかな?』という感じ。たとえば、人気の一角となりそうなシーウィザード(牡2歳)にしても、前走の新馬戦(7月3日/函館・芝1800m)を勝ったあと、鞍上の浜中俊騎手が『折り合いが課題』とコメント。新潟・芝1600mという舞台は2歳戦ではあまり流れが速くならないゆえ、その点が懸念されます」

 そうした状況にあって、どういった馬が狙い目になるのだろうか。木村記者は頭を抱えながらもこんな見解を示す。

「本当に難しいメンバー構成で、シーウィザード以外の馬も、新馬戦で『おおっ』と思わせるようなレースをして勝ってきた馬はいません。そうなると、新馬から直行してくる馬より、初戦で負けていても経験を積んでいる馬、このコース向きの追って味がありそうな馬に食指が動きます」

 そこで、木村記者はまずはグラニット(牡2歳)の名前を挙げた。

「新馬戦(6月19日/東京・芝1600m)の段階で、陣営の評価は『まだまだ足りないし、よくなる余地しかない』というものでした。それでも、勝ち馬からコンマ1秒差の3着。16頭立てのしんがり人気を覆す走りを見せました。

 そこから、前走の未勝利戦(7月3日/福島・芝1800m)では型どおりの良化を見せて、2着にコンマ5秒差をつけての楽勝。それでいて、陣営は『まだまだ』と思っているようで、さらなる上昇があるならば、このレースに最もハマる馬なんじゃないかと思っています。

 オーナーの(有)ミルファームは、GIIIアイビスサマーダッシュを所有馬が勝って勢いがあります。グラニットの手綱をとる嶋田純次騎手も、同オーナー所有の馬に騎乗する機会が多いですから、そうしたことも刺激になっているのではないでしょうか。

 また、父ダノンバラードは、一度は海外に売られるも、逆輸入で買い戻されて今年の2歳馬はその1世代目。すでに4頭が勝ち上がって、5勝を挙げています。その勢いにも乗らない手はありません」


新潟2歳Sでの大駆けが見込まれるキタウイング

 木村記者はさらにもう1頭、ミルファームが所有するダノンバラード産駒に注目する。

「キタウイング(牝2歳)です。前走の未勝利戦(8月21日/新潟・芝1600m)では、バロックダンスが番手から抜け出して完全に勝ちパターンに持ち込んだところを、最後までしっかりと伸びてハナ差とらえました。

 追って味のある馬ですし、このコースと距離は合っていると思います。同じ連闘組ではウインオーディン(牡2歳)のほうが人気になりそうですが、この勝負服は人気の盲点になりやすいので、ここは狙い目です。

 前走で2着に下したバロックスダンスは、仮に今回のレースに出走してきたら、本命にしてもいいと思っていた馬。前走にしても、2頭で3着以下を大きく離していますし、キタウイングの能力も相当高いと見ています」

 少頭数のうえ、やや地味なメンバー構成となった今年の新潟2歳S。しかしながら、波乱ムードは例年よりも増している。人気の盲点となるダノンバラード産駒2頭の大駆けに期待してみるのも悪くない。