川崎フロンターレが得点力復活で巻き返し開始。攻撃のコンビネーションが鮮やか
Question
右サイドの家長昭博から川崎フロンターレはどのように崩したか?
Jリーグ第26節、アビスパ福岡対川崎フロンターレが行なわれ、アウェーの川崎が4−1で勝利。川崎は前節の横浜F・マリノスとの神奈川ダービーに続いて連勝し、勝ち点を43に伸ばした。
川崎は前半7分にマルシーニョが早々と先制点を奪取。22分に福岡の山岸祐也に1点を返されるが、前半終了間際にマルシーニョが追加点で再びリードする。
折り返して後半19分、マルシーニョがハットトリック達成の3点目で福岡を突き放す。最後は家長昭博がPKを決め、4−1の快勝となった。
今回は、マルシーニョの先制点のシーンをピックアップする。
前半7分、福岡のクリアボールを拾ったレアンドロ・ダミアンが右サイドでフリーの山根視来へ展開。
右サイドでボールを持った家長昭博から、川崎はどのように崩しただろうか
そこへ福岡の左センターバック(CB)宮大樹が出てくると、山根はタッチライン際の家長へボールをつなぐ。同じタイミングで、2列目から脇坂泰斗が走り込んできた。
次の瞬間、ルックアップした家長から川崎はどのように福岡の守備を崩したか、というのがQuestionである。
Answer
脇坂がパスを受けて、裏へ抜け出した山根へスルーパス
山根と脇坂のイメージがシンクロした、コンビネーションによって崩した場面である。
レアンドロ・ダミアンからフリーの山根にボールが渡り、そこへ左CBの宮が釣り出された。宮が空けたスペースへ脇坂が抜け出そうとしたところへ、福岡はボランチの前寛之がカバーに入り、裏へ抜け出せないと感じてからの脇坂の判断がポイントになった。
家長は中の脇坂へパスを出し、脇坂が裏へ抜けた山根へスルーパス。クロスからゴールが決まった
脇坂は前のマークを剥がすように手前に下がり、家長からのパスを受けられる位置にポジションを取る。そしておそらく山根はルックアップした家長の視線を見て顔を振り、後方の脇坂の存在を見た瞬間に裏へ走り出した。
この山根の判断が非常に早く、マークに付いていた宮はボールウォッチャーになった一瞬の判断の遅れによって山根に振りきられた。
次の瞬間、家長が脇坂にパスを出すと、脇坂はワンタッチでスルーパスを通した。山根が横パスをスルーして、脇坂が折り返すというスルーワンツーのような崩しとなった。この時、脇坂は前と宮の間にポジションを取り、2人の間にパスを通しやすい位置にポジションを取っていたこともポイントだ。
そして、それまで湯澤聖人の背中側に隠れながら、山根が抜け出した瞬間に前を取ったマルシーニョの駆け引きも見事だった。
川崎は順位こそ4位だが、2位サンフレッチェ広島、3位鹿島アントラーズとは3試合、首位横浜F・マリノスとは1試合消化が少なく、その上で横浜FMとは5ポイント差である。新型コロナウイルスの影響により苦戦が続いた昨季王者・川崎が、この2連勝の勢いでどう巻き返すか注目である。