肺炎対策の効率を高めるために

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仕事の合間の喫煙は不健康に引きずり込む休憩です

 たばこを吸わない人はたばこのニオイに敏感です。私事ですが、ジョギングしている時でもニオイを感じて、ニオイの元はどこなのかと辺りを見回す時があります。風上に火の点いたたばこを指に挟んでいる人がいる。車の窓を開けて、悠々と満足気にたばこを吸っている人を見付けることもあります。

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 もしも喫煙所から漂うけむりの行く先に保育施設があるとしたら・・・。

 園児たちが野外でシャボン玉を追い掛け、暑い日には水遊びをして遊んでいます。クーラーを掛けるまでもない心地よい日中は、3密を避けるためにも窓を大きく開けて外の新鮮な空気を取り入れようとしています。しかしその子たちは副流煙によって健康を損なうかも知れません。保育士の中にはたばこのニオイ(副流煙)が気になる方もいらっしゃるはずです。

 高年齢者雇用安定法の施行によって、定年が60歳から65歳に引き上げられました。労働人口が減って人手不足の世の中だから、定年後も多くの方が再雇用や再就職する。働き続ける高齢者が益々増加するのです。

 仕事の合間の休憩時間。せっかくもらった自由なひとときなのだから、リラックスしたい気持ちは分ります。だけど人に迷惑を掛けながらの休憩は勘弁して欲しい。

たとえば従業員の通用口のすぐ横に喫煙所が幅を利かせている事業所があるとします。営業開始まで正面玄関から出入りはできません。従業員は通常表からは目立たない通用口から出入りします。だから必然的に喫煙所も通り過ぎます。たばこを吸っている人がいれば、当然濃淡は別としてもけむりの中に入って行かざるを得ません。なぜ嫌煙者が肩身の狭い思いをしなければならないのでしょうか?定着しない従業員が多い(俗にいう出入りの激しい)業態にとって、「健康経営」は他所のことなのでしょうか?これだけたばこの害について語られているのに、今までの価値観に捉われた執着心。もう改めるべきだと思う。一部の満足の代償として、周囲の人が我慢しなければならない環境は、もはや不当なのです。

 令和2年(2020年)人口動態統計月報年計(概数)の概況によると、肺炎は死因の第5位です。65歳を過ぎると肺炎に罹り易くなる。65歳はひとつの変わり目になっているようです。厄介なことは、肺炎は身体機能や認知機能を衰えさせて、そして繰り返し罹ってしまうことです。

 インフルエンザウイルスに感染したことで気管の起動粘膜がダメージを受けて、肺炎球菌が体内に入り込む確率が高くなる。そして重篤な肺炎症状になるのです。(※1)

 だから肺炎を予防する必要があるのです。肺炎球菌による二次感染を防ぐため(※2)にも、インフルエンザワクチンだけでなく肺炎球菌ワクチンも接種することを日本呼吸器学会が推奨しています。

 インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスのワクチンを接種する目的は、感染を予防するだけではありません。死亡,重篤化を防ぐためだとしっかりと理解することです。(※3)そしてたばこを吸っている人は肺炎に罹るだけでなく、重症化し死亡に至るリスクが、たばこを吸わない人と比べると高まるのです。前述の通り、新型コロナ感染症でも同じことが言えます。

 より重要なことは、たばこを吸っていない人でも、副流煙によっても同じリスクを抱えてしまうことをしっかり認識して欲しいのです。(※4)

 インフルエンザや新型コロナに罹るのが怖いからワクチンを打つ。怖いのは肺炎の重篤化に代表される病態の悪化。新型コロナのワクチンは、従来のワクチン効果がなくなってしまったり変異株の流行もあって、複数回接種されています。

 せっかくワクチンを打つというひとつの予防策を、人々は受け入れているのです。副反応が表れる可能性があることを承知の上でです。なのに片や肺炎対策の効率を減衰させてしまう、不心得とも言える喫煙はなくすべきだと思って止まないのです。

 【参考】
(※1)「市民公開講座 今だから知っておきたい肺炎予防
    −ヒトの免疫機能・ワクチンの役割・肺炎球菌性肺炎−」
(※2)健検公式テキスト増補改訂版 毎日の生活から改善する
(※3)厚生労働省Webサイト 新型コロナワクチンについて
(※4)一般社団法人 日本呼吸器学会発行「ストップ 肺炎」

[文:健康わくわくサイト]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

株式会社SOily 代表取締役 岡本 頼幸

幼少時代から生命の不思議に取り付かれてきました。
生体の分化発生の不思議を研究 〜 免疫検査を通しての患者様への想い 〜 医療・健康機器のユーザー様から頂いた奉仕の心・・・。
これらのことから医療・健康の大切さを、長年にわたって実感して参りました。
今、予防医療というポピュレーションストラテジーが重要になっています。
更に「競技スポーツ」に「健康スポーツ」という親しみ易い概念も取り入れようとしています。
みなさまが人生の目的を達成するために大切な、「健康」についてのトレヴィアをお届けしたいと思っています。
みなさまの目となり耳となりそして足となって得た豆知識を、私の経験を交えてできるだけ分かり易くお伝えできれば幸いです。