ネット選挙運動解禁を日本の民主主義を変える第一歩に - BLOGOS編集部
※この記事は2013年03月22日にBLOGOSで公開されたものです
３月１日に民主党とみんなの党が、続く13日に自民党、公明党、日本維新の会が、インターネットによる選挙運動を解禁する公職選挙法改正案を衆議院に提出。これまで候補者が選挙期間中に行える活動がガチガチに縛られていた日本で、夏の参院選からネット選挙運動が解禁される見通しとなり、各党による協議も大詰めとなっている。
こうした動きを受け、2012年５月に誕生し、ネット選挙運動解禁を目指して活動してきた『One Voice Campaign』が主幹事となってシンポジウムを開催。当日は各党の議員が参加し、国会に提出された２案の違いなどについて説明。また、（株）ドワンゴ夏野剛 取締役をはじめ、選挙プランナーの三浦博史氏なども登壇し、インターネットを使った選挙運動が、どうこれから政治に影響するかなどについて話し合われた。当日の様子をレポートする。（編集部：濱田敦子）
ネット選挙運動解禁は、やっと出てきたブレイクスルー
原田謙介（One Voice Campaign発起人、以下原田）：まずは、夏野さん。ネット選挙運動解禁への今までの流れを見ていて、どういう感想をもっていますか？
夏野剛（株式会社ドワンゴ取締役、以下夏野）：もう「やっとかよ！」の一言ですよ。むしろなんでこんなに遅れたのか、解禁後に検証しないといけない。日本の政治や経済がボロボロの失われた20年が起こった理由は、世界中で進行しているIT革命に、社会や政治や会社のシステムが追いついていなかったということに尽きます。そういう意味でネット選挙運動解禁は、やっと出てきたブレイクスルーですね。
でも、これで今度の選挙は面白くなるのではないかと期待しています。選挙期間中って、報道されないのをいいことに、一国の議員が口にしていいの？と思うようなことや、いい加減なことを結構言っているんです。解禁されれば、きちんと意見をもっている人とそうじゃない人との差が一気に見える。そのことが選挙を面白くするし、有権者が国のことを考える大きなステップになるはずです。それに、組織票に依存していた地方選挙のあり方が変わるかもしれません。
原田：自民党として解禁に向けて動かれていた平井議員は、今回の流れをどう見ていますか？
平井卓也（自民党衆議院議員、以下平井）：ソーシャルメディアやインターネットって、今も「政治活動」では使われているんですね。ところが日本の選挙制度は「政治活動」と「選挙活動」を区切っている珍しい国なので、それまでバンバンつぶやいていたのを選挙期間突入と当時に急停車しなければならなかった。だから、ネットを活用している候補者は、選挙期間中に見てもらうためにコンテンツを溜め込んで見てもらうしか手がなかったわけです。
解禁への流れは時代の要請だったと思います。混乱を避けるために周知期間を設けることを考えると、国政選挙に間に合わせるには今月中にでも法律を成立させていきたいと思っています。
今回は選挙に関する決めごとに党利党略があってはまずいということで、10会派の協議会を作り、議論を進めてきました。その結果、民主・みんな案と、自公・維新案の２案を送りだすことになりましたが、方向性は一致しています。違う点は、段階的か、一気に解禁かという点です。苦労した点は、各党の違いより、議員間のデジタルディバイドですかね（笑）。
インフォメーションテクノロジーの変化は、我々の想像を超えるスピードで進んでいます。22年度に案を出したときは、ソーシャルメディアと言えばTwitterぐらいしかなかったのが、今は20以上ある。これからも目まぐるしいスピードで進むことを考えると、基本的な考え方を各党で合意しながら変化に対応しながら、見直していく必要があるわけです。これからも協議会は常設して、話し合っていくことになるでしょう。
有権者のメール使用を解禁するべきか
原田：松田議員にうかがいます。現在２案出ているとのことですが、自公・維新案とは別に、民主・みんな案を出した経緯をお聞かせください。
松田公太（みんなの党参議院議員、以下松田）：自公・維新案は、有権者のメールを解禁していません。みんなの党と民主党が出した案と、自公・維新案とでは理念が違うのだと思います。みんなの党は昨年ネット選挙運動解禁に関する法案を提出した時から、一般有権者に対してメールの使用も含めて解禁しましょうと明記していました。なぜなら、みんなの党の結党の理念にも繋がりますが、国民のみなさんの多様な意見を徹底的に出してもらい、それを吸収してこそ政策は成長するもの。だからこそ、一般有権者がメールを制限されるのはおかしいという考えです。
他の党は２案のどちらかにつこうかという流れなのですが、有権者のメールの解禁について、共産党は独自の考え方をもっているんですね。せっかくなので、今日ご登壇されている佐々木議員に是非お話いただきたいと思うのですが。
佐々木憲昭（共産党衆議院議員、以下佐々木）：参政権の拡大は、国民の権利の拡大になるので、全面解禁つまり、「有権者個人」がウェブもメール自由に使えるように解禁したいというのが共産党の考えです。しかし文言にある「第三者による」は果たして「有権者」だけなのか？
質問しました所、どちらの案も第三者には企業団体も含まれているとの回答でした。ですから、選挙は有権者のための運動であるにも関わらず、有権者の個人情報を多数所有しているような組織が選挙運動の主体に入ってくるのはおかしいと問題提起をしています。私たちは、有権者個人、候補者本人、政党が主体になるための解禁としたいため、誰のための解禁かというところを考えたい。個人の自由化は大いに賛成です。
Eメールは密室性の高いツール？
鈴木寛（民主党参議院議員、以下鈴木）：民主党は民が主役の党と書きます。総選挙の敗北を受けて党名を変えようという議論も出ましたが（会場：笑）、議論してやっぱり皆が主役の党として出直すことを決めました。ネット選挙でいえば、主役は一般有権者ですから、メールも含めてOKとした案を出したわけです。
インターネットが解禁になったと聞いたら、普通の有権者は日常的に使っているネットツール全てを思い浮かべませんか？細かい条文を読んで使用する人はほとんどいないでしょうから、「SNSはOKだけど、メールはアウト！」などと言われたら、まじめな人は「違反になるかもしれない」と委縮してしまう可能性があり、逆の人はどんどんグレーを渡るというようなことが考えられる。共産党さんの案に関しては、例えば個人アドレスで送った時はOKで、たまたま会社のアドレスから送っちゃったときに「それは会社の名前を使ったからアウト！」というのも変だと思うんです。せっかくの解禁なんだから、普段使っているツールを利用したコミュニケーションはOKにしたいんですよ。
原田：自公・維新案では、この部分を徐々に解禁していくということですが、参議院選挙後の展開についてどんな風に考えていますか？本当に解禁されていくんでしょうか？
平井：「成立させたい」という思いから、我々の案に妥協している部分があるのは事実です。でも、メールの使用については、みんな・民主案にもルールがあって、誤った使い方をすると処罰される。政党や議員はルールをしっかり学んで対策しますが、一気に解禁した場合に一般の有権者が公民権を失うという恐れがあることをどう考えるのか。我々も苦渋の決断の中で、参議院選挙でネットがどう使われるかを見た上で、段階的に広げて行こうということにしたんです。
今回使えないメールも「Eメール」「Cメール」だけで、ソーシャルプラットホームの中のメールは全て使えることになっています。ソーシャルプラットホームのメール機能は、改ざんのリスクをみんなが監視してくれますが、Eメールは密室性が高いんです。だからそこだけを段階的にしましょうとしただけで、２案にそんなに大きな違いはありません。
松田：みんな・民主案も確かに表示義務違反をつけましたが、これは悪意をもって行った場合のルールなので、普通のユーザーが罰金刑・禁固刑になるということはほとんど考えられません。大量に送る迷惑メールと言うのも、プロバイダーが1日に送れるメール総数を規制しています。私はなるべく広くオープンにすることが、一般の選挙期間のネットの使い方に対するリテラシーを高めることに繋がると思う。最初から解禁しませんとしてしまうと、いつまでもリテラシーは高まらず、また「それをいつ解禁するのか」という話し合いの時に、「きっとこうだ」というフィーリング論での話し合いを繰り返すことになりますよ。
ハリス鈴木絵美（Change.org日本キャンペーンディレクター、以下ハリス）：なんでメールがダメで、FacebookやTwitterはOKなのか。変な縦割りをやめてほしいと思います。ソーシャルも広まってきていますが、情報を拡散するとき一番普通の人に使われているのはメールです。それを法律でダメとされてしまうのはとても残念でなりません。
有料バナー広告をどう考えるか
三浦：もう１つ、２つの案の違いに選挙運動用ウェブサイトに直接リンクした有料インターネット広告の掲載を自公・維新は政党のみ、民主みんな案は政党と候補者もOKとしている点があげられます。個人に有料バナー広告を今認めてしまうと、お金がある人は多く出すなど、投票誘導に差が出ると思うため、僕は自公・維新案に賛成です。政党にのみ認められているテレビCMも、金額は別として個人だってOKじゃないかという理論になってしまいます。
佐々木：「○○に一票を」という選挙運動の有料ネット広告を出せるか出せないかですが、個人に許すとその落差が非常に大きく出ます。資金力によって選挙の公平性が損なわれる可能性があるものには、共産党は反対です。自民党も原則反対ということなので、珍しく自民党と一致しております（笑）。
松田：私たちが候補者の有料バナーもOKとしていますが、候補者の名前が書いてあるバナーをクリックしたら、候補者のサイトに繋がるという程度のことはOKしてもいいんじゃないでしょうか？資金の格差の話ですが、選挙運動で使っていい限度額が定められた「法廷選挙費用」がありますから、その範囲内のやりくりなら問題ないと考えています。
鈴木：私は、みんなの党の川田龍平が初出馬の時に同じ選挙区で戦ったことがあるんですが、彼は当時無所属で、政党所属議員しか公開討論会に出ることができないため、会場の前に旗を立ててやっていたんです。それを見て、政党に入っていない候補者にもツールを作りたいなと思っていました。可能性を広げたいんですよね。
大谷広太（BLOGOS編集長、以下大谷）：もう１つ考えたいのは「バナーを大量に出すと、果たしてそれが当選に繋がるのか？」ということですよね。解禁するしないとは別の角度となりますが、ネットの良いところとして効果を測定できる点があげられるので、データやノウハウを蓄積し、現実として使う使わないという判断材料をどんどん作っていく必要があるでしょう。
夏野：細かな点でいろいろありますが、僕が主張したいのは、ネット選挙運動をいざ開始したら絶対に色々な問題が出てくると思うんですよ。そして、問題が起こったら党内から突き上げを食らうのが、今登壇されている議員の皆さんだと思うんですね。そこで、めげずに次のステージにいってほしいですし、皆さんにも応援して頂きたいです。
双方向コミュニケーションツールとして機能させる
原田：さて、ここからはネット選挙運動解禁後、どう政治が変わるのかについて話し合っていきたいと思います。三浦さんはどんな風に考えていますか？
三浦博史（選挙プランナー、以下三浦）：一番は、演説会や集会への動員が大きく変わると思います。これまでは、後援会など内部に呼び掛ける程度しかできなかったのが、解禁になって公に呼び掛ければ参加者の顔ぶれに新しい人が加わるでしょう。それから、例えば企業がホームページに無料で候補者のバナーを貼るなど、選挙期間中の支援や応援のカタチも多様化するなど、選挙を楽しくする要素が出てくる可能性がある。
この話の延長で「本家の公職選挙法は規制がひどいのに、ネットは比較的自由」というアンバランスになっていった時に、公職選挙法改正の問題にまで流れが進むことにも期待したいですね。
原田：政治家の皆さんに聞きたいのですが、解禁されたときに有権者にどういう情報を見てほしいという希望はありますか？
遠山清彦（公明党衆議院議員、以下遠山）：解禁されたら政治家は何種類かに分類できると思います。１つは解禁されても一切利用せずアナログ一本で勝負する人。2つ目はネットに存在示さないとまずいと思いつつ、やる気はないのでアリバイ的にやる人。3つ目は積極的にネットを使って発信する人。
いずれにせよ、候補者もそれを見る有権者もメディアリテラシーが問われるでしょう。発信は自由ですが、何を発信するかですよ。おそらくある候補者は「何時何分どこに立っている」という情報しかつぶやかない。立っているだけならポストの方が偉い！自分の日程だけを通知していても、政策議論は深まりません。候補者と有権者とのコミュニケーションをどうするかが大事です。ですから、どういう情報が欲しいのかを、有権者側から発信して頂いて、それに候補者が政策で応えるというような双方向のコミュニケーションの中で初めて、政策を深めていくことができると思います。
佐々木：遠山議員のおっしゃる双方向というのがポイントですね。ネット選挙が解禁されれば、選挙中も発展する論戦を、有権者がネット上で追いかけることができるようになります。有権者が候補者に、「こういうことをやってほしい」と伝えることができるようにもなります。そういう訴えは候補者の政策を豊かにしますので、どんどんやっていただきたいですし、国民の政治参加、選挙の自由が発展して意識が高まるステップとしたい。
三浦：2011年のソウルの選挙の際、SNS使ってタレントが投票を呼びかけたことで20・30代の投票率がグンとあがったんですね。これは、公明党さん等が強いと思いますが（笑）、期日前投票の呼び掛けなどを、影響力のある方がやってくれませんかね？
平井：大事なのは普段からどれだけ国民とコミュニケーションをとっているかですよ。選挙期間になって急に良い子ちゃんになって好まれるようなことを言っても、ネットの世界では絶対に見抜かれます。自分の主張を持っている議員は、賛否両論あっても日ごろから考えをオープンにしているので、そこを知ってもらえることが我々からするととてもありがたいことです。逆にそうじゃない議員にとっては、とても煩わしいものになるでしょうね。
もう１つ。今までは本人と直接触れ合う機会がなかった参議院の全国区の候補者も、ネットなら判断材料を得ることができるでしょう。もしかしたら、ネットの世界を主戦場にする候補者が出てくる可能性もあります。大統領選挙でオバマ氏の手法で、ネットのビッグデータを分析することにより、自分がどう戦うかという判断材料にする使い方もあります。こう考えて行くと、解禁が候補者の動きに変化をもたらすこともあり得るので、そこが楽しみです。
松田：以前One Voice Campaignでネット選挙運動解禁に賛成するかどうかのアンケートを取った際、１割程度しか回答を回収できなかったという事がありましたよね？昨年ダボス会議で会った人に聞いた話ですが、彼は全議員をウォッチするサイトを立ち上げ、それに賛同するメンバーが地道に議員にアプローチを続け、回収したアンケート結果をネットに公表するということを繰り返した結果、今ではドイツの国会議員9割が回答するようになったそうです。日本でも1カ月１つぐらい国会議員に質問してネットで公表するようなサイトを立ち上げていただいて、答えない方が少数派というような状況を作ってほしいですね。
メディアが作り上げたものではなく、ネット発の争点を
鈴木：私が選挙をやっていて１番思うのは、今は争点をテレビが決めているということなんです。政治家も本当にこれが争点なのかな？と思いながら戦っていたり、有権者ももっと大事なことがあるだろうと思っていたりする。そうじゃなくて、ネットで本当の関心事項をダイレクトにやり取りする中から争点が生まれれば、有権者も関心のあることだから「周りとしゃべろう」「１票を投じよう」という流れが起こりえるんじゃないかと期待しています。
遠山：今の話に同意します。昔、1度でも年金が未納だった議員は誰だと、魔女狩りのようにやっていた時期がありました。未納が発覚した当時官房長官だった福田さんが辞任したりして。ところが、数年後に福田さんが総理になった時にそのことを問うたマスコミはいなかったし、国民もそれが政治家の資質として必須と考える人が少数派になった。つまり、そういう空気を作ったのはテレビだったんです。ですから、一部メディアが流れを作ることに、ネットで「そうじゃなくて、テーマはこっち」と争点を作り上げるようなことができたら良い効果が生まれるように思います。
ほとんどの炎上は不注意で起こっている
原田：今度は江戸さんにおうかがいしたいのですが、ネット選挙運動が解禁されて、炎上が怖いという方もいらっしゃると思います。そういうマイナス要素について、どうお考えですか？
江戸浩樹（株式会社ガイアックス オンラインマーケティング部部長、以下江戸）：今は当たり前のように行われているメーカーによるFacebookでの商品アピールも、数年前は炎上が起きるのでは？と敬遠されていました。それと同じことが政治でも起こると思います。実際、ほとんどの炎上が単なる不注意で起こっていて、ガイドラインやポリシーをきちんと知るだけで防げることがほとんどです。
また、有権者が気づかないうちに違反してしまうという話については、教育で解決できる部分が大きいでしょう。私たちは学校向けにネットいじめを対策するサービスもやっていますが、大事なのはしっかりとモニタリングを行い、人を傷つけるのではなくこう使うといいということを教えていくこと。この点は政治も同じでしょうから、今後ネット選挙運動が続くことを考えて議論していくのが良いのではないでしょうか？
原田：そういったネットの防衛対策について、議員間ではどのような話が出ていますか？
鈴木：ルール作りという意味では、公職選挙法に今もある虚偽表示罪をネットにどう適応するかという議論が１つ。それとは別に、ネットでの問題をモニタリングして、いかに早期にするかというのがこれからの課題としてあります。
誹謗中傷対策としては、そういったものを発見した場合、被害を受けた人等が削除依頼を出し、プロバイダが削除して良いかを情報発信者に問い合わせて７日間返事がなかった場合、プロバイダが該当情報を削除しても民事上の賠償責任を問われない「プロバイダ責任制限法」というのがあるのですが、選挙運動期間中は７日では遅いので２日返答がなかったら削除できるようにしようとしています。
遠山：「プロバイダ責任制限法」の特例については全党が一致していますが、ひとつ懸念していることがあるんです。それは、書き込んだ人がプロバイダに「これは絶対に本当なので、削除しないでください」と言って削除に同意しなかった場合。この場合は、削除されず放置されることになるんですね。根本的には、虚偽に基づいた誹謗中傷をしないという文化を少しずつ築いていく必要があるでしょう。
松田：遠山さんがおっしゃることはもちろんですし、政治家サイドとしては、そういう情報を見つけたらすぐに本人が反論文を書くことですよ。そして、有権者には情報を鵜呑みにするのではなく、当の本人は何を言っているのか見極めてほしいと思います。
政治にもっとネットの声を
平井：今回の解禁で、我々は怪文書や誹謗中傷があった時に、打ち返す手段を手に入れた。初めて選挙期間中にもの申す権利を手に入れたともいえるわけです。先ほど炎上の話もありましたが、Twitterのフォロワーを増やすには、関心を高めるという意味で炎上も多少必要ですよね（笑）。また、ネット上の情報を鵜呑みにしない、不用意に拡散しないと言うリテラシー教育はもちろん必要です。必ず本当かどうか確認することを習慣づけるような教育ですね。
大谷：ネットの炎上で言うと、今までもお茶の間で行われていたことが一気にネット上に出てくるのでびっくりするかも知れませんが、批判に対して恐れずにしっかりと政治家の皆さんに反論していただことで、活発化させてほしいです。それから、今後は官公庁の公式資料がPDFで拡散しにくいとか、これからネット選挙運動をうまく盛り上げていくための細かなスキルアップや、議論をしていく必要もあると思います。
ハリス：今回の解禁ですぐに変わるとは思っていません。アメリカも10年ほどの時間があって、オバマ選挙のような例ができましたから。
選挙ばかりが争点になりましたが、私は行政など根本的な政治の在り方が、これからはネットの声をもっと反映するものになってほしいと思います。なぜなら、国会で議員と直接面会しているような人は時間のあるご年配の方等が多く、子育て中のお母さんや、週５で働いているようなサラリーマンはそういう時間が取れないからです。そういう声を届ける手段として、ネットというチャンネルが開くことで、若い方も気軽に政治に参加できるようになってほしい。
それから、一方的に投げかける140字での議論を、ポジティブで生産的なディスカッションにつなげるのに限界があると思うので、もっと実名制が高い、公的な場で行われるような場を作り、市民の声が拾われるようにしていきたいですね。
有権者と政治家が議論を戦わせるような場づくりを
遠山：有権者と政治家が議論を戦わせるような場をネットで作ることが重要でしょう。議論の上で、投票するようになれば、有益なネットと政治の関係ができるんじゃないでしょうか。単なるやり取りじゃなくて政策課題ごとの議論の場づくりを、有権者と政治家が一緒になってやっていきたい。
鈴木：政治には政策作りと、選挙という権力獲得の２つの要素がありますが、日本はこれが何故かバラバラの方を向いている変な国です。これをもっと近づけたい。より良い政策を議論して、いろいろルールを考え、これを決めるのが政治。突き詰めれば選挙活動期間と言う考え方もおかしくて、ある意味ではずっと選挙活動期間であり、政策形成期間なはずなんですよ。
最後に、党首討論ばっかりやるけど、政策によって出る人が変わってもいいと思うんです。例えば、経済なら確かに海江田代表だけど、教育政策だったら僕の方が詳しい。でも、そういうことはテレビの枠ではやりきれません。ネットにはいろいろな可能性があるので、ネット選挙運動解禁を日本の民主主義を変えるきっかけとして行きたいと思います。
原田：：本日はありがとうございました。
