おひとり様の機会が増えた今こそ、「身近で美味しい食」が大事になってきた。

高級レストランじゃなくても、ほっと満足できる食事が日常の小さな幸福感を高めてくれる。

そんな時にオススメしたいのは、こだわりのおかずでご飯が進む、今話題の「贅沢定食」だ。

今回は、明日にでも食べに行きたくなる絶品定食を紹介しよう。



※まん延防止等重点措置期間中につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。


1.大ぶりな三元豚とバターがもたらす幸福の極地
『食堂ぶた』

ボリュームのあるトンテキバターの脇を固めるのは、キャベツと小鉢2品、漬物、スープ。小鉢は5種類から2つ選ぶことができ、野菜もしっかり食べられる。

「三元豚厚切りトンテキバター定食」2,200円


定食界のマルチプレイヤーといえば、豚肉。どんな調理法でも美味しくなる逸材だ。

昨年12月にオープンし、話題の『食堂ぶた』は、そんな豚にこだわった贅沢定食が自慢。使われているのは、平田牧場の三元豚と金華豚。

揚げはトンカツ、煮込みは煮豚などとバリエーション豊富だが、なかでも豚の旨みをダイレクトに味わえるのが、200gのロースを焼いて仕上げた「三元豚厚切りトンテキバター定食」。



武蔵小山のパル商店街近くにできた『食堂ぶた』。平田牧場から直送される高品質の豚料理が楽しめる。木の温もりを大切にした空間が心地よい

濃厚な味わいの豚肉は、噛むほどに旨みが押し寄せてくる!


試行錯誤し辿り着いた調理の秘訣は、オーブンで10分ほどじっくり火を通すこと。

その後、フライパンでバターとタレをからめてグリルし、ガーリックチップとねぎ、バターをのせて完成!

口に入れると、しっとりした豚肉から凝縮感のある甘みと旨みが押し寄せ、そこにバターの風味が溶ける。

上質な脂身はエキスのように体に染みわたり「脂身から食べてほしいくらい」と、店長の山谷 豪さんが推すのも納得。



使われている部位は、肩ロース。脂身と赤身がほどよく合わさっているのがわかる。厚みは3cmほどあり、食べ応えも十分


上質な豚は、ここまで甘いのかと思う旨さ。

さらに、豚との相性を考えて選んだ羽釜炊きの福島県産ひとめぼれも、甘みたっぷり。セットの汁ものの参鶏湯ならぬ「参豚湯(サムブタン)」も遊び心満載で、豚の旨みを楽しめる。

茶碗片手に豚肉とバターの味わいを堪能すれば、白米がいくらあっても足りることはない。


One more 贅沢!


プレーン、行者にんにく、チーズの3種が一皿にのった「三元豚ソーセージ」700円。

素材本来の良さが引き出された粗挽きタイプ。肉の美味しさをダイレクトに感じられる。


コンクリートと木の温もりが感じられる店内


店内のテーマは「大人の給食室」。コンクリート打ちっぱなしの壁をベースに、テーブルやカウンターには木を使用。

円卓の上には豚のマスコットが置かれ、ほっこりさせてくれる。


目の前でハンバーグを焼き上げる臨場感たるや!吉祥寺で話題の店が渋谷に進出


2.目の前でハンバーグを焼き上げるご馳走感に、おかわりが止まらない!
『挽き肉と米 渋谷店』

数種類の部位をブレンドした国産牛100%のハンバーグ。1個90gと小ぶりなサイズを3つまで楽しめる。「おかわり肉」は一個400円

「挽き肉と米」1,500円


ど直球な店名よろしく「ハンバーグ」と「米」を突き詰めた一軒『挽き肉と米 渋谷店』。

コンセプトは“挽きたて、焼きたて、炊きたて”。それぞれを最高の状態で味わえるとあって、行列ができる人気ぶりだ。




定食は一種のみ。1人前を頼むと、早速目の前にご飯と汁物が置かれ、ハンバーグの焼き上がりを待つ。

ほどなくして、目の前の専用炭火台に焼きたてのハンバーグが到着。米にバウンドさせてガブリと頬張れば、肉汁が溢れ出し口の中が旨みの大洪水に。

強火で外側を焼き上げ、中は弱火でじっくり。ジューシーな焼き上がりに「これこれ!」と満面の笑みで頷く。

小ぶりなサイズのハンバーグは、最後の一口まで熱々を提供できるサイズ感と好みの個数を選べるよう調整してある。

1人前で3つまでのハンバーグを食べられるが、おかわりして4つ以上食べる人も。


噛み締めた瞬間に溢れる肉汁とご飯の最強コンビ!


米も秀逸で、ゲストのペースに合わせて15分おきに出来立てを提供する。

羽釜で炊いた米は粒立ちと甘さが抜群で、肉の旨みと相まって無我夢中で1個と1杯を完食!

2個目では大根おろしと自家製ポン酢でさっぱり、3個目は卓上の6つの薬味をお好みで、とゲストを飽きさせない。



肉の鮮度を落とさず、ジューシーに仕上げるため、厨房で挽きたてのミンチを提供する直前に成型。また、挽き肉に牛脂を混ぜて肉の甘みとジューシーさを強調させている


ハンバーグは都度、絶妙のタイミングで提供されるため、最後の一口まで熱々を味わえるのも贅沢だ。

毎朝9時に配られる整理券をゲットするハードルが立ちはだかるが、その苦労を超える価値は存分にある。


One more 贅沢!


定食のご飯はおかわり自由なので、単品のおばんざいをおかずに満腹になるまで楽しむのもよし。

「挽き肉とポテトサラダ」、「コッチョリ生キムチ」各600円。


オープンキッチンの店内は、全席カウンター仕様!


オープンキッチンの店内は全席カウンター。1席ごとに保温用の網が用意される徹底ぶり。

ガラス張りのクロークに上着をしまえるので、アウターに匂いがつく心配もなし。


分厚く切られた極上牛タンを恵比寿で!副菜は13種から選べる


3.分厚く切られた極上牛タンを独り占めする幸せたるや!
『釜元たん米衛』

タンの薬味としてニラやコチュジャンが入った自家製出汁醤油と、タンが70%も入ったタンラー油も用意。セットの牛すじ煮込みにも上質な肉がたっぷり入る。

「上タン定食」2,700円


東京に“旨い厚切りタン”と“釜炊きの白米”という、究極の組み合わせがそろう店は、探してもそう見つからない。

その両者を心ゆくままに味わうことのできる、ありそうでなかった店が昨夏、恵比寿に誕生。『釜元たん米衛』は、グルメ界隈で話題を呼んでいる。



タンは1本丸ごと仕入れ、肉のカットのノウハウを熟知するスタッフが仕上げる。「上タン定食」には喉元に近い柔らかい箇所を使用


食券機で「上タン定食」を選ぶとカウンター内の焼き台で、厚さ2cmはあるタンが網にのる。

キッチンに並ぶ一合釜で炊かれているのは、祇園の米料亭『京都 八代目儀兵衛』のブレンド米だ。

米の炊ける香りを感じながら少々待てば、登場するのは焼きたてタンと蒸気をあげる白ご飯。

さらに13種から選べる副菜2種におかわり自由の牛すじ煮込み、味噌汁等も付くので、御膳の並びは高級旅館のもてなしのよう。


ジューシーな焼きたてのタンに心が躍る!


熱々のタンをがぶりと噛むと、外はサクッと歯切れよく中はジューシー。すぐさま米をかき込めば、肉汁ともちっとした米の甘さが一体化し、本能が満たされる。

厚切りタン6枚はステーキに匹敵する充足感もあり、気付けば釜は空っぽに。

ここまで豪華な牛タン定食が実現するのは、和牛焼肉店を多数展開する会社が手がけているから。

肉に精通するプロがタンを磨き、火入れをするのだから間違いない。独自の仕入れルートもあるゆえ、2,700円におさめられるのだ。

食後の満足度は、店を出たあとの足取りの軽さが物語っている。


One more 贅沢!


写真は選べる副菜13種の一例、右上から時計回りにキーマカレー、山椒ごぼう、ひじきの煮物、じゃこと塩昆布と鮭ハラス。

内容は3ヶ月に一度変わる。追加1品ごとにプラス100円。


焼き場を囲む白木のカウンターがおすすめ


より早く焼きたてを提供できるように、焼き場を囲む白木のカウンター席を2つ用意。

牛タンをのせる銅板を置くカウンター前方は90℃に保たれ、最後まで熱々を食べられるのだ。


米を知り尽くす店が提案!贅沢な白米と鮭いくらが味わえるおひつ膳


4.鮭といくらの贅沢丼が、お茶漬けに変化!
『おひつ膳 田んぼ』

炊き立ての白米が入った檜のおひつは、この道60年の職人による銘品。本日の米は岩手県の「江刺金礼米」で、粒がしっかりして噛むほどに味わいがでる。

「鮭いくらおひつ膳」2,200円


“親子”といえば鶏と卵が思いつくが、日本人にとっての究極の“親子”といえば、鮭といくらに行きつくのではないだろうか。そして、それに寄り添う米が最も重要ともいえる。

では、その組み合わせはどこで出合えるかといえば、米を炊き続けて26年の老舗『おひつ膳 田んぼ』。

そんな老舗が、今回4店舗目として三軒茶屋に店を構えた。



米糠がきれいに抜ける精米機で優しく精米し、黒い皿の上でチェックしてから欠けた粒を取り除く。この作業が米の食感を左右する


米を知り尽くす店主の岡野真吾さんが扱うのは、全国を食べ歩き惚れ込んだ自然農法に近い米。その良質な米の味わいを最善にすべく、こだわるのは店舗で行う精米だ。

米は白くするため強く精米するのが主流だが、それでは粒が欠けて炊飯時に米同士がくっつきベタついてしまう。

毎日、炊く分だけを優しく精米し、欠けた米を選別すれば違いは歴然。口内でほろっと崩れ、ひと粒ごとの輪郭を感じながらも噛めばもっちりの炊き上がりとなる。

ガス釜で適度な圧力をかけているので弾力が巷の米とはまるで違い、甘い香りが鼻腔をくすぐる瞬間もたまらない。


鮭の塩気といくらの食感が、最高峰のお米をさらに引き立たせる!


12種あるおひつ膳の中で、一番人気はやはり「鮭いくらおひつ膳」だ。

皮を香ばしく焼いた鮭の脂といくらの旨みが米の芳潤さを引き立て、噛むごとに幸せが訪れる。

細部まで技が効いたこのおひつ膳は、米食大国・日本こそのプライスレスな贅沢を教えてくれる。


One more 贅沢!


お茶碗で2〜3杯楽しんだあと、最後は玄米茶をかける鮭茶漬けでフィニッシュ。

玄米茶とあられの香ばしさが鮭の塩気と重なり、米が具のスープのようにサラッとかきこめる。


ひとりで気軽に入りやすい、明るい光が差し込む店内


都内に4軒展開する『おひつ膳 田んぼ』のなかで、昨年11月にオープンした三軒茶屋店は最新の店だ。

明るい光の入る店は、ひとりで気軽に入りやすい。精米したての米や玄米も販売している。



ゆっくり過ごしたい週末はもちろん、忙しい平日にも食べたくなる贅沢な定食たち。

たまには、ちょっとリッチな定食を楽しんでみてはいかがだろうか。

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