まぐろづくしの丼ぶり、刺身、炙り焼き……。今、まぐろ専門店が人気になっている。

そんな流行の店もいいが、大塚に知る人ぞ知る名店があるのをご存じだろうか?

江戸前の味わいを忠実に守る、伝統の「ねぎま鍋」を名物にする店だ。

上品なカツオだしとねぎの甘み、まぐろのほっくりとした食感に心解れる鍋の魅力をご紹介しよう。



※まん延防止等重点措置期間中につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。



まぐろは信頼する業者から部位を指定して、仕入れ。ねぎは東京の千住ねぎなど、その日によって変わる。甘みと柔らかさが出る切り方もこだわりのポイント

名店の系譜を受け継ぐ逸品で、まぐろとねぎの真価を知る


ねぎま鍋は、江戸時代に生まれた鍋料理。その味を現代に受け継ぎ、磨きをかけたのが『ねぎま』店主の長橋公代さん。

今では高級魚のまぐろだが江戸時代は下魚。保存がきかないトロを千住ねぎと合わせて庶民が鍋にしたのが始まり。

その味を料理店の逸品にしたのが、かつて大塚にあった江戸料理の名店『なべ家』。

長橋さんは、そこで9年間にわたって仲居を務め、同店が閉店した後の2017年に、この『ねぎま』を開店した。



ねぎま鍋コースの一番人気は「ねぎま鍋・燻製盛り・鯖焼付コース」6,270円(1人前/写真は2人前)。主役のまぐろとねぎ以外の具はセリとわかめ。『なべ家』時代から贔屓にしていた、栃木の酒・四季桜と共に味わいたい

「ねぎま鍋があまりに美味しくて。その流れを受け継ごうと試行錯誤していたら、美味しい鍋ができました」と笑うが、もちろん本家も認めた味わいだ。

出汁は江戸前を忠実に守り、昆布やみりんは使わず、極上のカツオ節と酒を使用。すっきりしながら旨みのある出汁を完成させた。

まぐろは、大トロよりも脂ののったカマトロとハラモを使っているため、煮込んでもねっとりした食感。

柔らかなねぎに出汁が染み込んで、体中に美味しさが広がる。


― CLOSE UP!―

江戸前の出汁には、極上の本枯れ節を使用。

この鰹節は築地・秋山商店から。店頭にないピンクがかった極上品だ。




店内はカウンターメインでテーブルがひとつ。

長橋さんの目の届く範囲の設えになっており、火加減を見たり、具材を入れたりと全て仕切ってくれる。


◎鍋のお供におすすめ◎


関西の出汁巻とは一線を画す濃厚な甘辛さと香ばしさが美味なる「江戸前玉子焼」(コースより)。

共に提供されるうるめいわしと一緒に味わえば、日本酒を欲すること請け合いだ。


店主に聞いた推しの〆
〜江戸から続く、伝統の胡椒飯〜





〆は「胡椒飯」。いわゆる汁かけ飯で、これが江戸時代に珍重された一品の再現だとか。

「こしょうは辛みにアクセントが出るよう1粒ずつペンチで潰します」と店主がこだわりを明かす。

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