皆が驚いた「西武不参加」への思惑は?

新幹線直結で「西」も「東」も便利に


「S-TRAIN」に使用される西武鉄道の新型40000系電車(2017年2月、恵 知仁撮影)。

 2022年1月27日、東急線と相鉄線を連絡する新線「相鉄・東急直通線」の開業予定が2023年3月と発表され、さらに、東急東横線をはじめ東京メトロ副都心線や東武東上線、東急目黒線、東京メトロ南北線、都営三田線の列車が新線を通じて新横浜方面へ乗り入れることも明らかになりました。

「相鉄・東急直通線」は東急東横線・目黒線の日吉駅から、新横浜駅を経由し、相鉄・JRの羽沢横浜国大駅までを結ぶ10kmの新路線です。JR横浜線と横浜市営地下鉄しかなかった新横浜駅へのアクセスが、東京方面および相鉄沿線と直結することで、大幅に向上します。

 一方、現在の直通運転ネットワークのなかで、東武東上線と同じく副都心線経由で東急線に乗り入れている西武池袋線は、相鉄・新横浜方面との直通運転が行われません。新線開通後も引き続き、東横線を通じ横浜方面へ直通すると思われます。ネット上では「相鉄20000系と西武特急『Laview』の共演も見てみたかった」などファンの困惑も。

 西武鉄道は「西武線沿線からの相鉄・東急新横浜線方面へは、横浜駅方面と比べ利用が少ないことが見込まれるため、S-TRAINも含め直通運転は行いません」と話します。新横浜方面への利便性については、武蔵小杉などでそちらへ向かう列車と対面乗り換えが可能であるため、「菊名でJR横浜線に乗り換えている現状に対して、アクセスは良くなります」としています。

 一方、東武鉄道は「東海道新幹線へのダイレクトアクセスが実現し、東上線沿線の利便性が拡大します。直通運転により相互に人の行き来が生まれ、沿線活性化につながると考え、直通を行う方針としました」と話しています。

 どちらも新横浜駅直結による新幹線アクセス向上に期待を持っていることは確かですが、実際に自社の列車を新横浜方面へ送り込む東武と、乗り換えにより利便性を確保しつつ横浜、みなとみらい方面への自社直通も重要視する西武。戦略の違いが明確に表れた格好となっています。