住宅街に現れた超電導リニア関連施設 見た目は普通のマンション しかし居住者なしの謎
JR東海が、相模原市の住宅地に「さがみはら リニアブース」を開設。しかし周囲は普通の住宅街で、それがあるのも、普通のマンションです。なぜそうなり、またその目的は何なのでしょうか。
どう見てもマンションのエントランス…
それは神奈川県相模原市緑区の、JR・京王橋本駅から西へ約1km少々の場所、何の変哲もない住宅地にありました。
その見た目も、何の変哲もないマンションです。しかし、実は超電導リニア関連施設で、名前は「さがみはら リニアブース」。その建設をまず品川〜名古屋間で進めているJR東海が、2022年1月30日(日)にオープンさせるものです。
超電導リニアL0系と「さがみはら リニアブース」(恵 知仁撮影)。
その何の変哲もないマンションに入ると、まずクイズの解答用紙や、超電導リニアを描いた切り絵などが置かれていました。
そして、どう見てもマンションのエントランスな場所に、超電導リニアL0系と、タカラトミーが発売した実際に磁力で浮上走行する超電導リニアの模型、そしてリニア中央新幹線とその工事に関する資料、クイズの問題が掲示、展示されていました。
エントランスが超電導リニアに染まったこのマンション、実は、居住者がいません。築17年で、特に古いわけでもありません。
築17年でも居住者ゼロの理由
リニア中央新幹線では、橋本駅付近に神奈川県(仮称)駅を設置。この駅は地下にあり、その前後も、品川側が第一首都圏トンネル、山梨側が第二首都圏トンネルと、地下区間が続きます。
この神奈川県(仮称)駅前後でリニア中央新幹線は、大深度地下ではなく、比較的浅いところを通るのですが、そこで先述したマンションの基礎杭が、第二首都圏トンネルに支障することが判明。JR東海は、そのマンションを買い上げました。ちなみにこのマンション付近では、地下10〜20mあたりをトンネルが通るそうです。
こうした経緯で、そう古くないのに居住者がいない――となったのですが、第二首都圏トンネルの工事開始まで、まだ時間がありました。
そこで、リニア中央新幹線に関する理解を広めたいと考えていたJR東海は、この空きマンションを活用し、エントランスを「さがみはら リニアブース」にしたそうです。
シールドマシンの動く模型もある「さがみはら リニアブース」(2022年1月25日、恵 知仁撮影)。
リニア中央新幹線の建設にあたってJR東海は、沿線各所で説明会を開催していますが、こうした説明ブースを設けるのは今回が初といいます。
まず月に3回程度、この施設をオープンするとのこと。実際にリニア中央新幹線建設に携わっているJR東海の社員がおり、質問もOKです。
この「さがみはら リニアブース」についてJR東海は、説明会などとはまた異なる、家族連れでも気軽に訪問可能で、リニア中央新幹線を知ってもらえる場所にできれば、と考えているそうです。
実際にその建設に携わっているJR東海社員とリニア中央新幹線について話ができるのは、なかなかない機会です。子どもの社会科見学としても面白いかもしれません。
「さがみはら リニアブース」(緑区西橋本三丁目10番40号)はまず、1月30日(日)、2月2日(水)、5日(土)の10時から17時までオープンの予定。予約はいりません。今後のスケジュールについては、JR東海のホームページなどで告知するそうです。