砂糖は料理に欠かせない調味料の1つであり、人間にとってはエネルギーを生み出す燃料となります。しかし、摂取しすぎると健康に害を及ぼすこともあり、特に砂糖を幼い頃から過剰に摂取すると学習や記憶に大きな影響を及ぼすという研究もあります。ルーヴェン・カトリック大学経済ビジネス学部の研究者であるフリッツ・シルツ氏が、子どもに与える砂糖の影響を調査する実験結果を発表しました。

Sugar rush or sugar crash? Experimental evidence on the impact of sugary drinks in the classroom - Schiltz - - Health Economics - Wiley Online Library

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/hec.4444



Sugary drinks impact girls and boys differently in preschool - Scimex

https://www.scimex.org/newsfeed/sugary-drinks-impact-girls-and-boys-differently-in-preschool

What is the short-term impact of sugary drink | EurekAlert!

https://www.eurekalert.org/news-releases/933378

シルツ氏は研究動機として、「学校での甘い飲み物は、肥満率の上昇に長期的に寄与する可能性があることで実証されています。ただし驚いたことに、学校での甘い飲み物の直接の影響に関する証拠はほとんどありません」と語っています。

シルツ氏は462人の就学前の子どもをランダムに2グループに分け、一方のグループは砂糖入り飲料を、もう片方のグループは対照群として人工甘味料入り飲料が与えられました。そして、子どもたちは摂取前に算数のテストを受け、飲料を摂取した30分後・45分後・60分後・120分後に再び算数のテストを受けました。

実験の結果、砂糖入り飲料を摂取したグループでは男の子はリラックス効果を得た後に落ち着きがなくなる傾向があり、女の子の行動には大きな影響は見られなかったとのこと。また、男の子の場合は摂取してから60分後には数学の成績にマイナスの影響があり、反対に女の子の場合は摂取後45分以降のテストでプラスの影響が見られたそうです。



シルツ氏は「今回の研究は、砂糖入り飲料が就学前の子どもに与える影響について、大規模な実験的証拠を示した初めての研究であり、砂糖入り飲料が子どもたちの行動やテストの成績に与える因果関係を明確に示しています」と述べています。

また、論文の共著者であるクリストフ・デ=ヴィッテ氏は「砂糖入り飲料が学校で広く販売されていることや、砂糖入り飲料の消費量が低所得世帯の子どもや男児に多いことを考えると、授業中の成績への影響は政策的にも大きな意味を持ちます」とコメントしました。