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今年も夢はつながった！

欧州競馬のクライマックスを飾る凱旋門賞。日本時間3日の深夜に行なわれた第100回には、日本からクロノジェネシスとディープボンドの2頭が参戦。さらにディープインパクト産駒として欧州で活躍をつづけるスノーフォール、武豊騎手が騎乗するブルームなど日本に縁のある馬が多数出走し、大きなワクワク感を提供してくれました。

結果は人気薄のドイツ馬・トルカータータッソが勝利し、JRA発売の馬券は単勝万馬券となる大荒れとなりました。日本に縁がある馬ではスノーフォールが6着、クロノジェネシスが7着となり、相応のチカラは見せるも欧州の重い馬場がさらに道悪ということで勝ち負けには及ばず。ディープボンドは前の馬と30馬身差がつくしんがり負けとなりましたが、故障などではないとのことで、その点ではひと安心というところ。昼のスプリンターズステークスで当てたぶんも、気持ちよくスッてやりました。





現地ロンシャン競馬場は完全にアフターコロナの雰囲気。イギリスからアン王女が来訪するなど、まさに欧州競馬の祭典といった華々しさです。現地ではBCターフなどを制したタルナワ、GIを3連勝して臨むハリケーンレーンあたりが人気しているとのことですが、クロノジェネシスもまずまずの評価を得ている模様。現地でレースを走っていないぶっつけ本番で、歴代の日本馬と比べて際立って実績があるほうでもありませんが、それでそこそこ人気するというのは日本競馬を見る立場の者としても誇らしいところがあります。

↓クロノジェネシスはそこそこ人気！


↓フランスは完全にコロナ終わってる感じです！武騎手もノーマスク！


パドック、返し馬と順調にこなし、ゲート入りも大きな問題はありません。雨もあって馬場は相当にぬかるんでいますが、武騎手の言葉を借りるなら「予想通り」の状態。今さら足元がぬかるんでいて走るコンディションじゃないですねなどと言っても始まりません。こういう競馬を好きな欧州の人の祭典で、パンパンの高速馬場が大好きな日本の馬を勝たせようというのですから、ある程度の不得手は飲み込むしかありません。

迎えた発走、まずオッと思わせたのはクロノジェネシス。集団が内ラチに固まるのを無視して、大外を単独で走っていきます。騎乗するマーフィー騎手は2015年勝ち馬のゴールデンホーンの名前を挙げていましたので、あえて外を選んで走ったということの模様。さらに、逃げるのではないかとも予想されたディープボンドは後方に控える競馬となり、日本馬はいずれも「オッ」という動き。はたしてこれが吉と出るかどうか。

レースは人気の一角アダイヤーが先頭を走り、クロノジェネシスが追走するという格好に。逃げ馬不在でスローとなるなか、馬群のなかに入れられなかったクロノジェネシスが自然と先行策を取る流れになりました。武豊騎手のブルームはその2頭を見ながら控え、人気のタルナワ、ハリケーンレーン、スノーフォールは中団から後方で待機しています。

フォルスストレートから直線へと入るあたりで、一瞬ディープボンドが上がっていく素振りを見せますが、すぐに失速。クロノジェネシスも一瞬伸びかかりますが、手応えはありません。武豊騎手のブルームも絶好の位置取りから勝負を仕掛けますが、こちらは力量不足かすでにいっぱいいっぱい。先行馬が失速していくなか、その後ろで控えていたグループでの勝負となっていきます。

まず上がってきたのはハリケーンレーン、タルナワは内へと入れて隙間を縫うようにして上位進出してきました。そして外から力強く伸びてきたのがトルカータータッソ。この3頭が競り合いながら抜け出していきます。スノーフォールはクロノジェネシスをかわすところまでで、抜け出した3頭には届きそうもありません。そして前3頭の競り合いを制したのは、道悪歓迎のドイツ馬トルカータータッソ！JRA発売の単勝馬券は1万1050円という大穴決着でした！

↓あー、これは穴狙いで単勝100円なら買えたかもしれないヤツ！

ドイツ馬ってだけで切ってしまったけれど、

ドイツ馬ってだけで買えばよかった！



とまぁ、あまり見せ場もなく日本競馬の悲願は今年も成就しませんでした。しかし、残念だなと思う気持ちはさほどなく、むしろ嬉しいなと思う気持ちが強くあります。凱旋門賞制覇という目標が来年もまた残り、これを目指していけるというのは、縦に長く伸びる素晴らしい「夢」です。競馬を始めた頃、ゲームのなかでこのレースを制した頃、エルコンドルパサーの2着で夢を目標として意識した頃、そこからつながった一筋の夢がそのまま生きつづけていることを喜ぶ気持ちのほうが強くあるのです。

今夏の東京五輪、野球日本代表が五輪を制したときには喜びもある反面、「あぁ、野球が勝ってしまった」という喪失感も強くありました。北京五輪の残念無念怒りの敗戦からつながってきた「いつかここで勝たねば」という熱い気持ちが途切れてしまったことを感じました。自分自身も老け込むような年ではないものの、若く青い情熱を生み出すのは日々難しくなりつつあります。ただ、かつて燃やした炎は、変わらない熱さで燃えるのだとも感じます。夢が叶わない限り、その炎は燃えている。夢が叶わないのは「今日の残念」ではあるけれど、それ以上に大きな「未来の楽しみ」なのです。

凱旋門賞という夢がつづく限り、またこの気持ちを燃え上がらせることができる。その夢に連なった、エルコンドルパサーやディープインパクト、オルフェーブルらの記憶を反芻しながら、あの馬を超えてゆけと始まりの気持ちを取り戻すことができる。そのことが負けた悔しさ以上に嬉しく感じられる、そういう負けとなりました。レース後に武豊騎手が語った「ここにいないとダメだなと思いました」「また戻ってきたいですね」という言葉にうなずきながら、来年もまた夢を見たいなと思います。

なので、「馬場でしたね」と毎年繰り言をしているくらいがちょうどいいのかなと思います。日本では日本人が好む競馬があり、それは率直に言って凱旋門賞には合っていません。だからこそ、このレースを勝てたら、日本の好む競馬を制しつつなお欧州の競馬も制してしまうほどの一番大きな夢が見られるのだとも思います。「毎年道悪巧者だけを送り込めばそのうち勝つのでは？」と思ったりもしますが、どの馬でもいいわけではなく、日本最強馬を送り込んでなお勝つ、そのことに意味があるのだなと。それが最初に見た「夢」なのですから。

日本のホースマンの皆さん、コロナ禍のなか欧州へ向かい、そこで競馬をするというのは大変な労力でしょうが、来年以降も最強の馬を連れて、この舞台に挑んで欲しいなと思います。いつか「コイツはディープより強いぞ」と思って送り出せる馬を見守り、そして勝ちたい。ただ勝てばいいのではなく、すべての夢を締めくくるだけの大きな勝利を見たい。生きている間に叶うかはわかりませんが、テニスもゴルフも同じような夢が叶いました。競馬だってできるはず。そう思って、来年もまた見守ります！今年もありがとうございました！


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さすがギャンブル、負けが重なるほどに勝ちたい気持ちは膨らんでいきます！