歯が折れた・抜けた場合どうする? 歯の外傷への対処方法

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こんにちは。日本歯周病学会認定歯周病専門医の飯島佑斗と申します。

ぶつかったり転んでしまった時に歯が折れたり、抜けてしまうことがあります。もしかしたらそのような経験がある方もいらっしゃるかもしれません。実際そのような場面にでくわしてしまった場合どのように対処すれば良いのでしょうか?

今回は、そんな「歯の外傷に対する対処法」についてお話ししていきたいと思います。

執筆歯科医師:
飯島 佑斗(日本歯周病学会認定医)

東京歯科大学卒業。日本歯周病学会認定医。慶応義塾大学病院歯科口腔外科所属。日本口腔インプラント学会会員。

歯の外傷とは?

歯の外傷とは、ぶつかったり、転んでしまったりすることで歯に対して外力が加わりダメージを負ってしまった状態のことを指します。歯の周囲には唇や歯茎、頬などの粘膜もあり歯以外の外傷も合わさって起こることが多いです。

歯の外傷と一言で言っても色々な種類があります。その種類によっても治療方法が変わってくるので、まずは外傷の分類について説明していきます。

①破折性外傷歯の分類

エナメル質(歯の表層)の亀裂

歯冠(歯の頭の部分)の破折(エナメル質に限局)

歯冠破折(歯の神経に及ばないもの):単純歯冠破折

歯冠破折(歯の神経に及ぶもの):複雑歯冠破折

歯冠・歯根(歯の頭の部分と歯の埋まっている根っこの部分)破折

歯根(歯の根っこの部分)破折

②脱臼性外傷歯の分類

震盪:歯の変位や動揺揺れのないわずかな傷害

亜脱臼:歯の変位はないが、多少揺れがあるもの

挺出性脱臼:完全には抜けてはいないが歯が抜けかけている状態

側方性脱臼:歯が横方向に変位しているもの変位している方向の顎の骨が一部折れている

脱離:歯が完全に抜けてしまった状態

埋入:歯が骨の中にめり込んでいる状態

歯が折れた・抜けた場合の対処法

続いては、歯が折れてしまった・抜けてしまった場合のその場での対処法についてお話していきたいと思います。歯が折れてしまったり、抜けてしまうととても動揺されてしまうかと思いますが、できる限り冷静に対処していただけると良いと思います。

まず、先ほどの分類で順に説明していきます。

震盪や亜脱臼の場合

特にその場での特別な対処は必要ありませんが、可能な限り早い歯科医院への受診をお勧めします。

明らかに歯の位置が変わってしまっている場合

目に見えて明らかに歯の位置が変わってしまっていたり、かみ合わせがおかしい場合にはあまり刺激せずに早めに歯科医院へ受診をしてください。

歯冠破折や歯根破折

歯の破片がある場合は持ってきてください。また、歯の神経が見えている場合(歯の神経が見えている場合は歯の内部から出血している様子が見られます)は、可能な限り早急に歯科医院への受診をお勧めします。

歯が大きく揺れている場合や歯が抜けてしまっている場合

大きく揺れている場合は、極力揺れている歯に力をかけないように早急に歯科医院へ受診してください。また、抜けてしまった場合は必ず持参して、早急に歯科医院へ受診してください。

歯が抜けてしまった場所が屋外などでなく、歯が汚染されておらず、そのまま抜けた部分に戻せるようであれば、抜けた部分に戻した状態できていただけると良いでしょう。

戻せない場合は、歯の保存液牛乳生理食塩水などに入れていると良いでしょう。そのようなものがない場合は、口の中の歯茎と唇の間の口腔前庭と呼ばれる部分に入れておくようにしてください。その際、抜けた歯が汚れていて、綺麗にするためにゴシゴシ磨いてしまうと歯の根っこの部分の歯根膜という組織がなくなってしまうので、ゴシゴシ磨いたりせずにお持ちください。

抜けてしまってすぐに牛乳で保存された場合は6時間から12時間、歯の保存液であれば24時間以内、口腔前庭であれば数時間は歯の歯根膜と呼ばれる組織の生活力を保存できると言われているので、これを目安に極力早めに受診してください。

また、転倒などで頭部にもダメージが疑われる場合は歯科医院でなくまず病院への受診をお勧めします。脳への何らかの致命的なダメージを負ってしまっている場合もあるためそれが問題ないのが確認でき次第、歯科医院へ受診してください。

まとめ

今回は外傷によって歯が折れた・抜けてしまった場合のご自身での対処法についてお話させていただきました。外傷の状態によってご自身での対処法も変わってきますので今回のお話がひとつ参考になればと思います。

何よりも早めに歯科医院へ受診することがその歯を残す一番重要なことになるかと思いますので、このような場面にでくわした場合は早めに受診してください。また、それぞれの治療法に関しては改めて記事にしていきたいと思いますのでそちらも参照していただければと思います。