一発試験のメリットは時間の節約につながることだ

 運転免許を取るには大きく分けてふたつの方法がある。ひとつ目はもちろん教習所に行って、習いながら取る方法で、実技と学科を学びながら段階を踏んでいくので安心感がある。もうひとつはいわゆる一発や飛び込みと呼ばれる方法で、各都道府県にある警察が運営する運転免許センターで試験を受けるというものだ。こちらも実技と学科がある。

 もともとは試験場で取るのが本則で、それでは運営する警察も対応できないので、公認自動車学校制度を作って、そこでしっかりと講習を受けて完了すれば実技を免除するというシステムが出来上がった。その完了というのが卒業検定で、要は一発試験の内容はこれと同じこと。

 極端な言い方をすれば、練習しようがしていまいが、技術があって卒業試験にパスすればいいという考え方というわけだ。普通はそのような技能もないので、自動車学校で学ぶということになる。

 全員が自動車学校に行けばいい気もするが、一発のメリットはなんだろうか? じつは筆者も普通二輪は一発で習得していて、実際に感じたことも含めて整理すると、まずは時間が節約できる。運転免許試験場の場所にもよるし、受験者が多いと待ちの時間もあるが、試験自体は10分ぐらいで、あっという間だ。落ちればがっくりだが、いずれにしてもすぐに帰れる。

 また、教習所の教官には失礼だが、いちいち細かいことを注意されたりしないのもいい。とにかくすべてが自己完結だ。ちなみに、一発でも落ちた際にアドバイスはしてくれるし、練習がてらちょっと余計に走って戻ってくればいいと言ってくれることもあって、完全放置でもない。

費用面でもメリットはあるが実力による

 一番気になるのは費用だろうが、もちろん実力によりけりで、仮免、本免ともにまさに一発で受かった猛者が知り合いにいるが、そうなると普通免許の場合、約2万5000円しかかからない。もちろん1回ではほぼ無理だが、それでも1回あたり2000円ちょっと(免許による)なので、相当落ちないと教習所と同じぐらいかかることはない。つまり、本番が練習という捉え方もできる。

 時間と費用の節約が一番のメリットなのだが、デメリットも当然あって、こちらのほうが多いかもしれない。まずは単純に技術の問題で、運転したことないのにいきなりは無理。バイクは小さい排気量からのステップアップができるので、比較的容易だと思うが、普通車だとかなり厳しい。練習ができる非公認の教習所があるが、費用は安いとはいえ、コストメリットが薄れていくのは事実。

 ただ、運転免許センターのなかには土日にコース開放していて、知り合いに協力してもらって車両持ち込みで練習ができるところもあるし、なかには指導サービスもあったりするので、これを活用するといいだろう。

 じつは時間的な部分でもデメリットというか、注意しないといけない点があって、現在は一発ではないということ。その昔は、試験に受かるとその場で免許を発行してくれたが、現在は取得時講習を近所の教習所で受けなくてはならない。内容は免許更新のときのような内容で実技もあったりして、けっこうな時間がかかるし、費用も必要。さらに教習所にとって、一発で取るというのは営業に差し障りがある行為ともいえるからか、どの教習所もあまり積極的でないようで、受けられるところを探すのがひと苦労だったりする。

 そのほか、デメリットとしては平日しか受けられないことは、何度か受ける前提だと意外に大きな問題かもしれない。最近はコロナの影響で、実施日や受験者数を絞っているのもつらいところだ。ただ、実際に受けた人間としては、平日に休めて、運転に自信があったり、試験自体を練習の場と気楽に考えられる人なら向いているかもしれない。なにより、安く済むのはいい。普通車の場合、うっかり失効や免許取り消しからの復活であれば技術もあるので、とくにおすすめだ。