音声SNSアプリ「Clubhouse(クラブハウス)」が、いま話題となっている。

音声で会話できるチャット(ボイスチャット)が楽しめると、注目を集めているのだ。しかし実際に「Clubhouse」を試した人となると、まだまだ少ないようだ。

ツイッターユーザーの中には、「クラブハウス」というネーミングだけに誘発され、暴走を始めた人々もいたようで、その大喜利状態が笑いを誘い、大草原が広がっている。

彼らが「クラブハウス」という言葉で思い浮かべたものとは、例えば、こんな画像だった。


「越前蟹の坊」外観(画像提供:越前蟹の坊)

全身真っ赤な巨大なカニが、屋根から2階に襲いかかっているではないか。まるで怪獣映画の一場面のようだ。

カニの脚の動きもリアルに表現されており、生々しい迫力にあふれている。子どもが見たら、泣き出すかもしれない。いったいこれは何だろう?

「Clubhouse」ならぬ、「Crabhouse」?

発音は違うようだが、たしかにここもクラブハウスかもしれない。

水槽の蟹を3Dで撮影して...


「越前蟹の坊」外観(画像提供:越前蟹の坊)

この建物は、福井県坂井市にある越前がに専門店「越前蟹の坊」だ。

北陸の観光名所である東尋坊近くの三国港駅前にある。三国漁港のセリ市の目の前に位置している。なんだか美味しそうな雰囲気が漂っている。

招待されるなら、こんなクラブハウスの方がいい......Jタウンネット記者はそう思ったが、なにか? 

とはいえ、なぜ巨大なカニのオブジェを掲げたのか?

北陸のクラブハウス「越前蟹の坊」に、詳しい話を聞いてみることにした。


Crabhouseに招待されたい(画像提供:越前蟹の坊)

九頭竜川の河口に位置する、坂井市三国町の「三國湊」は、古来より海運・水運の要衝として繁栄した歴史を持つ。江戸時代には、「北前船交易」の拠点として賑わい、廻船問屋が軒を並べていたという。

そういった廻船問屋をルーツに持つ老舗の料理旅館「望洋楼」が、2010年10月に開店したのが、「越前蟹の坊」だ。

「なぜ巨大なカニの看板を?」というJタウンネットの質問に、「越前蟹の坊」の広報担当者はこう答えた。

「三国では毎年皇室に越前蟹を献上されますが、以前の三国には『三国=蟹』のイメージが薄かったため、大きな蟹のモニュメントを作り、三国と言えば蟹の街にしたかったためです。その象徴の一つとして巨大な蟹の飾りを看板にしました」

三国のシンボルとして、蟹の飾りを看板にしたというわけだ。三国の市場の目の前に、いかに本物に近い越前蟹の看板を作るかということにこだわったという。

看板の素材は、FRP(繊維強化プラスチック)。製作したのは、地元の大きなオブジェを作る専門業者だった。

リアル感を出すために、水槽の中にいる蟹を3Dで撮影し、再現したという。

強風、豪雪など、天候に影響を受けていないのだろうか?

「素材にFRPを使うことによって強度・耐久性があり、軽量、塩害・水による腐食の影響を受けにくいため、強風・豪雪などに耐えられるようになっています。そのため特にメンテナンスはしておりません」(広報担当者)


三国湊甘海老てんこ盛り丼 2150円(税抜)(画像提供:越前蟹の坊)

「お店のコンセプト、特長はずばり何ですか?」と聞くと、担当者は

「地元の最高の食材を地元ならではの鮮度で、もっとも美味しい状態で楽しんでいただくことに強くこだわり、皆様をおもてなしすること」

と答えた。

「越前 蟹の坊」の人気のメニューは、通年メニューでは、甘海老てんこ盛り丼・海鮮ちらし丼。また、蟹解禁後は蟹のお料理も好評だという。


旬の海鮮ちらし丼 2600円(税抜)(画像提供:越前蟹の坊)

ツイッターで反響があったことについては、「当店の蟹の看板の写真が大きく話題になり、大変嬉しく存じます。福井にお越しいただいた際には、当店自慢のお料理をぜひ一度お召し上がり下さいませ」と、コメントした。