「お会計の方、一万円になります」 ←この敬語、おかしくない?専門家に聞くと...
[ちちんぷいぷい−毎日放送]2021年1月13日放送の「へえ〜のコトノハ」のコーナーでは、丁寧すぎる「バイト敬語」は文法的に正しいのかを専門家に聞いていました。
バイトしているときによく使う「お弁当の『方(ほう)』温めますか?」「ご注文は『よろしかった』でしょうか?」「こちらハンバーグに『なります』」などの言い回し。文法的に間違っているのでは?と違和感を感じる人も多いようです。
2013年度の文化庁の世論調査では、「お会計の方、1万円になります」が「気になる」という人は63.5%いたそう。
そこで番組では敬語の専門家、同志社女子大学の森山由紀子先生に取材。すると、森山先生は「おかしいと思うこともありますが、丁寧さの方向性としてはおかしくない」と話しました。
「バイト敬語」はおかしくない?(画像はイメージ)
二つの法則「ふんわり化」と「あたかも化」
森本先生によると「〜の方(ほう)」は「ふんわり化」という「人と丁寧に接するための法則」に当てはまるそう。例えば、レストランで「メニューをお持ちします」ではなく「メニューの方、お持ちします」と言うことで、対象をぼやかした丁寧で柔らかな表現になるとのこと。
「よろしかったでしょうか」はもう一つの法則である「あたかも化」。「よろしいですか?」だと「本当にそれでいい?」と問い詰められた感じを受けますが、「よろしかったでしょうか」だと「私合ってる?」と、あたかも自分の責任にすることで丁寧な印象に。
「○○になります」も「ふんわり化」で、「です」には話し手の「意見・判断」が入っているように聞こえるところを、「なります」にすると「事実を説明しているだけ」に。
例えば「店内全面禁煙です」だと「直接注意している印象」になるのが「店内全面禁煙になります」だと「ただお店のルールを伝えているだけ」に。面と向かって「です」と言うより柔らかくなり責任回避にも...。
「言葉は変化するもの。数十年後には『バイト敬語』が定着している可能性もあります」(森山先生)
「バイト敬語」は、まさに人との摩擦を生まないコミュニケーション方法だということがわかりました。
(ライター:まみ)