地元民ならすぐに分かるモノでも、他県の人にはまったく分からないモノがある。例えば、これ。2021年1月12日に投稿されたツイートだ。宮崎県民ならおなじみのモノらしいが、読者のみなさんはご存じかな。

「宮崎の道端でよく見かける物」というコメントが添えられている。

その姿を見た他県民は、「動物の死骸の一部?」「大きな甲殻類の殻?」などと、あらぬことを想像して、ギョッとすることが多いという。

実はこれ、街路に植えられたヤシの木(ワシントニアパーム)の木から落下した、木の皮だ。

宮崎と聞くと、ヤシの木がズラリと並ぶ光景を思い浮かべる人が多いだろう。そのヤシの木から、こんなモノが道路に落ちているらしい。

ツイッターには、「一瞬おっきいベーコンに見えた」「たまに小動物と勘違いして驚くこともあります」「台風通過後、めっちゃ見るやつじゃないですか」などといった声が寄せられている。

Jタウンネット記者は、投稿者・愛する故郷 宮崎県(@Miyazak_Lover)さんと、宮崎県庁県土整備部に詳しい話を聞いてみた。

「年中落ちています」


愛する故郷 宮崎県(@Miyazak_Lover)さんのツイートより

冒頭ツイートの投稿者・愛する故郷 宮崎県さんによると、この写真を撮影したのは、2020年11月頃だった。木の皮は、「年中落ちています、道路脇だけでなく、道路のど真ん中に落ちている時もあります」とのこと。別に珍しいことではないそうだ。

Jタウンネット記者は、次に宮崎県庁の県土整備部に電話取材した。


宮崎市内、国道220号宮崎南バイパス(Sanjoさん撮影、Wikimedia Commonsより)

県土整備部の担当者はこう答えてくれた。

「宮崎市内の国道10号線と220号線の街路に、ワシントニアパームというヤシの街路樹が植えられています。植えられてから50年以上経っており、木の皮が朽ちて、落下するケースがあります。毎日巡視しており、また通報があれば回収作業を行っています」

落ちる木の皮の大きさは30センチほど。外見は硬そうだが、実際は柔らかいので、事故につながったという報告はあまり受けていないとのこと。しかし「車を走行中は、なるべく避けた方がよろしいでしょう」と担当者。


宮崎市堀切峠付近(Sanjoさん撮影、Wikimedia Commonsより)

ワシントニアパームが植樹されたのは、1960年代。「宮崎観光の父」と言われる宮崎交通創業者の故・岩切章太郎氏が市内に植えたのが始まりとされている。南国ムードの演出に効果を発揮し、当時の「新婚旅行ブーム」に貢献した。

50年前には4〜5メートルだった木も、現在は20メートルを超えるという。「高所作業車でも、枝葉の剪定作業はなかなか難しくなってきました」と、担当者は語る。樹齢を重ねたことによる立ち枯れや、強風による倒木の危険性も出てきたそうだ。

そこで2017年から、国土交通省によって、ワシントニアパーム約840本の植え替え工事が進められている。ただこの工事は、かなり長期間に及びそうだ。