声優としても活躍中の鈴村健一(月〜木曜)と俳優の山崎樹範(金曜)、フリーアナウンサーのハードキャッスル エリザベスがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「ONE MORNING」。11月24日(火)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」では、BuzzFeed Japan News 副編集長・神庭亮介さんに「『Go Toトラベル』見直しとエビデンス(証拠・根拠)」について伺いました。

※写真はイメージです



菅義偉首相は11月23日(月・祝)、東京都内で企業経営者らを対象にした講演で、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府の観光支援事業「Go Toトラベル」の運用見直しを決めたことに理解を求めました。「Go Toトラベル」による感染者は約180人にとどまるとした上で「専門家会議の提案を受け、感染が相当拡大している地域に向けての新規予約を一時停止した」と説明。飲食業界の支援策「Go Toイート」についても同様の措置をとるとしました。

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鈴村:政府が見直しを決めたことについてはどうお考えですか?

神庭:この件について総論では賛成と考えています。そもそも「Go To」は、新型コロナウイルス感染の広がりが「ステージ2以下」で進めるということで、9月に(新型コロナウイルス感染症対策)分科会も、そのように提言していました。

今は残念ながら、北海道、東京、大阪などは「ステージ3」に近づきつつあるということで、一定の制限はやむを得ないのかなと。分科会の尾身茂会長も「政府の英断を心からお願い申し上げる」と仰っていましたし、その言葉は非常に重いのではないかなと思います。

一方で、当初から「秋冬になったら増えるのでは?」と言われていたなかで、「政府はどの段階になったら『Go To』をやめるのか?」「どれくらい増えたらやめるのか?」「キャンセル料の支払いはどうするのか?」といった話や、あるいは、そうなったときの「代替案プランBに切り替えよう」というような話がまったくなくて、今になってワタワタしているというのは、「きちんとシミュレーションできていたのかな?」と疑問を感じます。

鈴村:「そこの動きは鈍い」という意見も多いですよね。そんななか、菅首相は「『Go Toトラベル』による感染者は約180人にとどまる」と言っていますが、第3波と言われる今の感染拡大と「Go To」関係の因果関係はあると思いますか?

神庭:実は、専門家会議の尾身会長は「『Go To』が感染拡大の主要な要因であるとのエビデンスは存在しない」と仰っているんですね。

鈴村:エビデンスが存在しないんですね!?

神庭:そうなんですよ。エビデンスが存在しないのにやめるということに、実はちょっと引っかかりを感じる部分もあります。良いように解釈すれば、四の五の言っていられない切迫した状況で、エビデンスが出てきてから対応したのでは手遅れになってしまう、ということなのかもしれないし、もちろん重く受け止める必要もあると思いますが。できれば感染症対策は、確固たるエビデンスに基づいて進めてほしいなと。今回はやむを得なかったと思いますが、「エビデンスはないんだけどね……」という論法が今後も繰り返されることになると、それはそれで危ういかなと思っています。

鈴村:そうですよね。そこはやはり良くないと感じます。ここで「エビデンスがない」と言ってしまうと、例えば、感染予防対策はきちんとしなければならない、何が原因か分からないけど、今はマズイのでとにかく外に出るな……などと言って、スケープゴート(責任を転嫁したり、不満や憎悪をほかにそらすための身代わり)になってしまう感じがしますよね。

神庭:そうですよね。スケープゴートは、もしかしたら言い過ぎかもしれませんが、ある種の象徴的な意味合いを背負わされてしまったというか。例えば、1人で旅行するとか、一緒に暮らしている家族と近郊に旅行することは、実は飲み会や会食と比べると、そこまでリスクが高いとは言えないのではと思うのですが。

今、感染者が増えているなかで「アクセルとブレーキを同時に踏むのはどうなんだ?」と言われ、心理的なメッセージも重視して、今回はこういう形で提言したのかなと。ただ、やはり雰囲気で進めるのは良くないなと。例えば、今年の春先にパチンコ店が槍玉にあげられて批判を集めましたよね? でも実際にはパチンコ店でクラスターが多発したという話は出ていなくて、「じゃあ、あれはなんだったんだ……」と。確たるエビデンスがないまま、「怪しい」とか「なんか良くなさそうだ」ということで規制に踏み切った場合、パチンコ店のときのように「冤罪」のようなことが起こったり、自粛警察がいっぱい出てきて……というような、あの空気が再発するのは嫌ですね。

鈴村:やはり数字で見るべきじゃないですか? そこと心情が混ざっている感じがしますよね。

神庭:そうです。だから、僕はコロナ禍になってから「コロナと道徳は混ぜるな危険だ」ということをずっと言っています。基本的に、規制は科学的・医学的なエビデンスに基づいてやるべき。そこに1ミリでも「この非常時にパチンコなんて!」「旅行なんて!」「飲み会なんて!」という、“なんて”は混ぜないほうが良いと思っています。

鈴村:難しいですね。もともと「Go To」は「ステージ2以下」で進める前提のキャンペーンですので、「ステージ3」に近づきつつある現状で止めないと指針がおかしくなってしまう、という考えは正しいと思います。ただ刻一刻と状況が変わっています。「Go To」が感染拡大の主要な要因であるというエビデンスが存在しないというところでは、経済をとめてはいけないと強く感じるようになってきました。

今やめて、とてつもないダメージを受ける人がたくさんいると思うと、今ここでやめていいのかな? と不安に感じます。やめた地域への別のアイデアなど、「Go To」をやめることの一歩先を考えてほしい。経済をとめずに感染も拡大させない。経済をどう動かすのか、その考えを今までよりも大きく持って生活してもいいのかなと感じています。

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番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月〜金曜6:00〜9:00
パーソナリティ:鈴村健一(月〜木曜)、山崎樹範(金曜)、ハードキャッスル エリザベス
番組Webサイトhttps://www.tfm.co.jp/one/ https://www.tfm.co.jp/one/