新型コロナウイルス対策のため、マスクやアルコール消毒液が、ドラッグストアの店頭から消えて2カ月ほど。不安の多い生活が続くなか、北里研究所が、新型コロナウイルスの消毒に効果のある市販製品のリストを発表した。

 同大・大村智記念研究所の「COVID-19対策北里プロジェクト」チームが、4月17日付で発表したリリースには、住居・台所用洗剤、衣類用洗剤などの製品名がずらりと並ぶ。調査に使用した製品は、結果の公開に異議を唱えないことを前提に、企業から提供を受けたという。

 製品を選ぶ際の基準は、一体どのようなものだったのか。調査の担当者である片山和彦教授が、こう話す。

「まず、医療現場のみならず、市場でもエタノールの入手が困難となっている状況を踏まえ、十分な供給体制を確保可能で、雑貨売り場に潤沢に供給されていること、一般の国民の皆さんが手に取って普通に購入できる製品を選択しました」

 調査は、試験管内で、分離培養された新型コロナウイルスのRNA(リボ核酸)の入った液体と、製品を接触させるもの。用途に応じて、接触させる時間は変えている。手洗いに使う製品や、拭き取り掃除・トイレ掃除に利用する製品は1分間、衣類の洗濯等に使用するタイプは10分間だ。さらに、製品裏面に書かれた使用方法に合わせて、原液のまま使用したり、水道水で希釈させたりしている。

 実際に、消毒効果の認められた製品は、以下のようなラインナップになっている。

【手洗い、拭き取り掃除、トイレ掃除を想定した製品】

・かんたんマイペット(原液)
・クイックルワイパー 立体吸着ウエットシート 香りが残らないタイプ(絞り液)
・クイックルワイパー 立体吸着ウエットシートストロング(絞り液)
・クイックル Joan シート(絞り液)
・クイックル Joan 除菌スプレー(原液)
・食卓クイックルスプレー(原液)
・セイフキープ(絞り液)
・トイレマジックリン 消臭・洗浄スプレー ミントの香り(原液)
・ハンドスキッシュEX(原液)
・ビオレガー ド薬用泡ハンドソープ(原液)
・ビオレu薬用泡ハンドソープ (3倍希釈)
・ビオレガード薬用手指用消毒スプレー(原液)
・ビオレガード薬用ジェルハンドソープ (3倍希釈)
・ビオレu手指の消毒液(原液)
・リセッシュ除菌EX プロテクトガード(原液)

【衣類の洗濯等を想定した製品】

・アタック高浸透リセットパワー(3.5g/L)
・アタック ZERO(3000倍希釈液)
・クリーンキーパー(100倍希釈)
・ワイドハイターEX パワー液体(100倍希釈液)
・ワイドハイターEX パワー粉末(5.0g/L)
・ワイドマジックリン(10g/L)

 調査に使用された全製品のうち、唯一消毒効果が認められなかったのは、洗濯用洗剤の「アタック抗菌スーパークリアジェル」だったという。片山氏によれば「原因はわかっていませんが、ひとくちに界面活性剤といっても、いろいろな種類があります。製品によって効果が異なることは考えられます」とのことだ。

「これらの製品は、皆さんが正しく使用すれば、キチンと新型コロナウイルスを消毒することができます」と片山氏。 「消毒液、今日も売ってない……」といった悲鳴も聞こえるなか、選択の幅が広がる調査結果となった。

 ただし、消毒効果を狙って製品を購入する際、一つ注意点があるという。

「医薬部外品や雑貨は、メーカーが、ウイルスの消毒効果を記載したり、宣伝したりすることは、薬機法違反にあたります。製品が法律を順守していることを確認し、適正な価格で販売されているものを選んでください」(片山氏)