春キャベツを味わいつくす。お好み焼きや簡単な定番料理も<暮らしっく>
作家・作詞家として活躍する高橋久美子さんによる暮らしのエッセー。今回つづってくれたのは、旬な春キャベツについて。いろんな料理に使えるキャベツのレシピも教えてもらいました。
●気合を入れて材料を買いに行かなくてもできるのが「お好み焼き」
4月頭に、地元で農業をする妹が春キャベツを送ってくれました。生で食べても甘くて柔らかくて春の恵みを感じる瞬間。キャベツはみそ汁に入れても、炒めても蒸しても、お肉とも粉ものとも、何にでも合う百戦錬磨の食材です。
しかも、冷蔵庫に入れておけば一週間は保存できます。私がよくしているキャベツの保存方法は、芯の部分をくり抜いてそこに濡れた新聞紙を入れ、全体を新聞で巻いて乾燥しないように口を開けたナイロン袋に入れておく方法です。レタスやキャベツは芯の部分から傷んでいくので、くり抜いておくことがポイントです。
最初は生や、蒸して、そのままを味わって。さて次はなにをつくろう。そうだ、千切りにして簡単にお好み焼きにしようかな。お好み焼きは困ったときのお助けまん。
わざわざ材料を買いに行かなくてもキャベツと小麦粉と卵さえあれば、あとは冷凍庫を探索してチーズやお餅など、残りものをなんでも入れてそのときの味を楽しめます。あまっていた桜エビとネギを入れて…あ! そういえば妹からつくねイモが来ていたぞ。とダンボールを探る。つくねイモとはヤマイモの一種で私のふるさと愛媛県東予地方の特産なのです。お店でも家でもお好み焼きには必ず入っていました。
皮をむき、うわーきたきた、手が痒くなりながらもゴリゴリとすりおろしていく。とろとろのつくねイモ(ナガイモでもOK)を入れたお好み焼きはふわっふわになって最高においしい! あとは、冷凍にしていた豚肉があったので豚玉をつくるべく解凍。
そうそう、ひと手間かけられる時間があれば、カツオ節でだしをとっておいて水の代わりにカツオだしを入れるとうま味が際立ちます。もしくはカツオ節粉を入れても充分おいしくできますし、なければ水だけでも大丈夫ですよ。後でカツオ節をかければ充分おいしいので気にすることはありません。私はキャベツ多めの方が好きなので、小麦粉をあまり入れませんが、それこそお好みで。
ホットプレートを熱して、さあ焼きましょう。お好み焼きは焼き方が重要。失敗したら半生なんてこともありますよね。だからといって、あまりギュウギュウ押してしまうと生地が固くなってしまうので、始めはフタをして中火で中までよく火を通します。裏面に焦げ目がついたら、ひっくり返し、そこからはフタをオープンに。これが表面をサクサクにするコツ!
桜エビや、明太子やチーズなんかは生地に混ぜて一緒に焼いて大丈夫。豚肉は塩コショウで味つけして、生地の上にのっけて焼きます。
同じ要領でタコ焼きもできますよ。紅ショウガを刻んで入れるのがおすすめです。簡単そうに見えて粉もんは奥が深いのです。たこ焼きは、また別の機会に紹介しましょう。
【材料(6個分)】
・キャベツ 6枚 外側の大きめの葉の部分
・豚ひき肉 200〜250グラム
・タマネギ 2つ
・ナツメグパウダー(あれば)
・ローリエ1枚(あれば)
・ニンジンやマッシュルームなど余っている野菜
完成!!
ポイントは、(1)のタマネギを炒めたときに、ちゃんと冷ますことです(時間がないときは冷蔵庫で冷ましましょう)。そうでないと、ひき肉と混ぜ合わせたときにお肉がゆるくなってしまい、キャベツでうまく巻けなくなります。
ということで、簡単なロールキャベツが完成です! ホールトマトを入れて、トマト煮込みスープにしてもおいしいですし、最後の5分くらいでブロッコリーを入れるのもおすすめです。
キャベツは優しい春の味。一日の数時間、料理に没頭することで鬱々とした気持ちも少しは紛れるといいなあ。
飲食店に再び明かりが灯る日まで、自宅でおいしいと楽しいを目指していたいなと思います。医療現場で頑張ってくれている方々や、宅配物を運んでくれている方、薬を開発するため昼夜研究している方、今回のことで自分がいかに多くの人に支えられて生きているのかを実感します。
私にできること、応援できることはなんだろう。そう考えたとき、まずは自分自身が健康で笑顔でいることなんだと思いました。
【高橋久美子さん】
1982年、愛媛県生まれ。チャットモンチーのドラムを経て作家・作詞家として活動する。主な著書にエッセイ集「いっぴき」
(ちくま文庫)、絵本「赤い金魚と赤いとうがらし」
(ミルブックス)など。翻訳絵本「おかあさんはね」
(マイクロマガジン社)でようちえん絵本大賞受賞。新刊の詩画集「今夜 凶暴だから わたし」
(ちいさいミシマ社)が発売中。原田知世、大原櫻子、ももいろクローバーZなどさまざまなアーティストへの歌詞提供も多数。NHKラジオ第一放送「うたことば」のMCも。サイン入り詩画集の予約やトークイベントなどの情報は公式HP:んふふのふ
第18回「春キャベツは、百戦錬磨」
●気合を入れて材料を買いに行かなくてもできるのが「お好み焼き」
4月頭に、地元で農業をする妹が春キャベツを送ってくれました。生で食べても甘くて柔らかくて春の恵みを感じる瞬間。キャベツはみそ汁に入れても、炒めても蒸しても、お肉とも粉ものとも、何にでも合う百戦錬磨の食材です。
しかも、冷蔵庫に入れておけば一週間は保存できます。私がよくしているキャベツの保存方法は、芯の部分をくり抜いてそこに濡れた新聞紙を入れ、全体を新聞で巻いて乾燥しないように口を開けたナイロン袋に入れておく方法です。レタスやキャベツは芯の部分から傷んでいくので、くり抜いておくことがポイントです。
最初は生や、蒸して、そのままを味わって。さて次はなにをつくろう。そうだ、千切りにして簡単にお好み焼きにしようかな。お好み焼きは困ったときのお助けまん。
わざわざ材料を買いに行かなくてもキャベツと小麦粉と卵さえあれば、あとは冷凍庫を探索してチーズやお餅など、残りものをなんでも入れてそのときの味を楽しめます。あまっていた桜エビとネギを入れて…あ! そういえば妹からつくねイモが来ていたぞ。とダンボールを探る。つくねイモとはヤマイモの一種で私のふるさと愛媛県東予地方の特産なのです。お店でも家でもお好み焼きには必ず入っていました。
皮をむき、うわーきたきた、手が痒くなりながらもゴリゴリとすりおろしていく。とろとろのつくねイモ(ナガイモでもOK)を入れたお好み焼きはふわっふわになって最高においしい! あとは、冷凍にしていた豚肉があったので豚玉をつくるべく解凍。
そうそう、ひと手間かけられる時間があれば、カツオ節でだしをとっておいて水の代わりにカツオだしを入れるとうま味が際立ちます。もしくはカツオ節粉を入れても充分おいしくできますし、なければ水だけでも大丈夫ですよ。後でカツオ節をかければ充分おいしいので気にすることはありません。私はキャベツ多めの方が好きなので、小麦粉をあまり入れませんが、それこそお好みで。
ホットプレートを熱して、さあ焼きましょう。お好み焼きは焼き方が重要。失敗したら半生なんてこともありますよね。だからといって、あまりギュウギュウ押してしまうと生地が固くなってしまうので、始めはフタをして中火で中までよく火を通します。裏面に焦げ目がついたら、ひっくり返し、そこからはフタをオープンに。これが表面をサクサクにするコツ!
桜エビや、明太子やチーズなんかは生地に混ぜて一緒に焼いて大丈夫。豚肉は塩コショウで味つけして、生地の上にのっけて焼きます。
同じ要領でタコ焼きもできますよ。紅ショウガを刻んで入れるのがおすすめです。簡単そうに見えて粉もんは奥が深いのです。たこ焼きは、また別の機会に紹介しましょう。
●キャベツをおいしく味わう「ロールキャベツ」の簡単なつくり方
さて、キャベツ料理の帝王と言えば、ロールキャベツではないでしょうか。これは、ちょっと腰が重くなりますよねえ。めんどくさそうという気持ちがめきめき湧いてきます。ですが、せっかくキャベツのおいしい季節ですから、チャレンジしてみませんか? とびきりおいしいロールキャベツ、しかも案外簡単にできちゃいますよ。
【材料(6個分)】
・キャベツ 6枚 外側の大きめの葉の部分
・豚ひき肉 200〜250グラム
・タマネギ 2つ
・ナツメグパウダー(あれば)
・ローリエ1枚(あれば)
・ニンジンやマッシュルームなど余っている野菜
【つくり方】
(1) タマネギ1つをみじん切りにして、軽く炒め一度ボールにあげて冷まします。(これポイント!)
(2) その間にキャベツを下茹で、もしくはレンジでチンして柔らかくします。
(3) (1)にひき肉(塩コショウしたもの)を混ぜて、もしあればナツメグパウダーを少々。
(4) (3)の具材を、6等分しキャベツにくるみます。キャベツの端を巻き込んで崩れないようにします。難しいときは、乾燥パスタを5センチくらいにカットして刺して止めるのもいいです。
(5) スープをつくります。タマネギ1つを串切りにして少し炒めたところに、あればニンジンやマッシュルームなど好きな野菜を入れ炒めて、そこに水1リットルを加えます。塩ひとつまみ、ローリエを入れて10分ほど弱火で煮込みます。
(6) スープの中に、(4)のロールキャベツを投入! 弱火でコトコトと10分くらい煮込みます。
完成!!
ポイントは、(1)のタマネギを炒めたときに、ちゃんと冷ますことです(時間がないときは冷蔵庫で冷ましましょう)。そうでないと、ひき肉と混ぜ合わせたときにお肉がゆるくなってしまい、キャベツでうまく巻けなくなります。
ということで、簡単なロールキャベツが完成です! ホールトマトを入れて、トマト煮込みスープにしてもおいしいですし、最後の5分くらいでブロッコリーを入れるのもおすすめです。
キャベツは優しい春の味。一日の数時間、料理に没頭することで鬱々とした気持ちも少しは紛れるといいなあ。
飲食店に再び明かりが灯る日まで、自宅でおいしいと楽しいを目指していたいなと思います。医療現場で頑張ってくれている方々や、宅配物を運んでくれている方、薬を開発するため昼夜研究している方、今回のことで自分がいかに多くの人に支えられて生きているのかを実感します。
私にできること、応援できることはなんだろう。そう考えたとき、まずは自分自身が健康で笑顔でいることなんだと思いました。
【高橋久美子さん】
1982年、愛媛県生まれ。チャットモンチーのドラムを経て作家・作詞家として活動する。主な著書にエッセイ集「いっぴき」
(ちくま文庫)、絵本「赤い金魚と赤いとうがらし」
(ミルブックス)など。翻訳絵本「おかあさんはね」
(マイクロマガジン社)でようちえん絵本大賞受賞。新刊の詩画集「今夜 凶暴だから わたし」
(ちいさいミシマ社)が発売中。原田知世、大原櫻子、ももいろクローバーZなどさまざまなアーティストへの歌詞提供も多数。NHKラジオ第一放送「うたことば」のMCも。サイン入り詩画集の予約やトークイベントなどの情報は公式HP:んふふのふ