国内外での拡大が止まらない新型コロナウイルス感染症(画像はイメージです。写真:makaron* / PIXTA)

東洋経済オンラインでは特設ページを設置して、新型コロナウイルス感染症に関するデータを随時更新しています。国内および各都道府県の感染者数、死亡者数、PCR検査人数などの情報を確認することができます。特設ページはこちら(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)。

国内外での拡大が止まらない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。厚生労働省の発表では4月14日時点で国内の感染者は7509名となった(武漢からのチャーター便帰国者、および空港検疫での感染者は除く)。

東洋経済オンラインでは2月27日から特設ページを設置し、厚生労働省の報道発表資料から随時データをビジュアライズしてきた。現在では都道府県の感染者数や死亡者数などの情報も確認できる。


特設ページで国内の感染者数や重症者数、PCR検査人数、年齢別の感染者数、および各都道府県の感染者数や死者数などを確認できる。

感染者は4月に入って増加が加速

国内の感染者数は、上で書いた通り4月14日時点で7509名となった。ここで感染者数とは、症状の有無にかかわらず「PCR検査で陽性が出た人数」を指す。2月からの推移を見ると、3月下旬ごろに一度緩んだ増加率が、ここにきて再び加速しつつあることがわかる。


特設ページからのスクリーンショット。

患者数も同様に加速度を増している。なお、感染者数と患者数の違いがわかりにくいかもしれない。感染者数は上で述べた通り「PCR検査で陽性が出た人の数」だが、患者とはその中で何らかの症状(発熱、咳など)が出ている人を指す。PCR検査はすでにわかっている感染者の濃厚接触者(たとえば感染者の家族など)に行うため、「症状は出ていないけど実は感染していた」というケースがありうる。


特設ページからのスクリーンショット。

ただし、感染者数と患者数の差分がイコール無症状感染者というわけではない。3月下旬ごろから、徐々に「確認中」が増え続けている。4月14日時点では2290名と、感染者全体の3割にのぼる。


新型コロナウイルス感染者における有症状者、無症状者、確認中の推移。インタラクティブなページはFlourishにて確認できる。

PCR検査は結果がすぐに出るわけではないため、検査で陽性だった場合のみ保健所などが連絡し、症状の有無や濃厚接触者などを確認する。「確認中」の詳細は不明だが、症状の有無すら確認できないということは実質的に感染者と連絡が取れていない可能性が高い。この「確認中」は全国に散在しているわけではなく、全体の8割超を東京都が占めている。


厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の国内発生動向」(2020年4月14日発表)より

注意が必要な「PCR検査人数」の読み方

特設サイトで感染者数と並んで注目度の高いデータがPCR検査人数だが、こちらも注意が必要だ。まず「検査数」ではなく「検査人数」であるため、たとえば1人に2回PCR検査を行った場合は「1人」とカウントされる。また、この数字は都道府県からの報告人数を単純合算したものであり、都道府県のデータ訂正によって大きく数字が上下する。たとえば検査件数と検査人数の取り違えが判明し、新規検査人数がマイナスになるパターン。3月19日や25日はこのケースだ。また、土日は報告がないケースが多く、休日明けに大きく数字がプラスになることもある。


特設ページからのスクリーンショット。

一方で、退院者数も日によってばらつきがあるとはいえ、1日10〜30名程度のペースで増えている。ここでの退院者とは「回復」と必ずしも同じではなく、たとえば無症状感染者が確認のために入院していたケースなども含む。


特設ページからのスクリーンショット。

重症者数や死亡者数も残念ながらペースを落とすことなく増え続けている。4月14日時点で重症者は152名だ。


特設ページからのスクリーンショット。

なお、死亡者は都道府県や政令指定都市など自治体も独自に発表していることが多い。厚生労働省の発表数字では4月14日現在で109名となっているが、各種の報道によると都道府県発表の合計はおおむね130名程度になる。厚生労働省の発表とずれがあるのは、自治体の報道発表と厚生労働省の発表にタイムラグがあるためだ。

感染症法により、自治体では感染者や死亡者が発生した場合には厚生労働省に報告する義務がある。しかし最近では自治体のプレスリリースと厚生労働省への報告およびその突合作業に時間差があり、最新の状況を必ずしも反映できていない。なお基準が異なるわけではないため、訂正がない限りは最終的に数字は一致する。


特設ページからのスクリーンショット。

新型コロナウイルスの感染状況は刻々と変化するため、感染者における「症状確認中」や、死亡者数のタイムラグなど、統計数字が実態をあますところなくすべて反映しているとは限らない。都道府県から発表されているデータの時点もあくまで「PCR検査の結果が報告された日」であり「症状が発現した日」でも「感染した日」でもない。統計に現れている数字は「現在判明しているもの」であり、決して「それ以外は安全」とは限らないことには注意したい。

70代以上では重症よりも死亡が多くなる

年齢別の感染者は以下の通りだ。20代では死亡・重症ともゼロであるのに対して、40代から死亡者が現れはじめ、70代以上では「重症」よりも「死亡」の方が多くなる。高齢者は重症化リスクに注意が必要だ。


特設ページからのスクリーンショット。

特設ページでは4月6日から都道府県別にデータを見ることもできるようになった。感染者数が最も多いのは東京都だ。3月下旬ごろまでは他の都道府県と大差ない人数で推移していたが、春分の日を含む3連休が過ぎたころから急増し、3週間弱で2171名(4月13日時点)と、10倍以上に増えた。


特設ページからのスクリーンショット。

毎日のように新規感染者数や死亡者のニュースが飛び交っているが、たとえば感染から発症を経てPCR検査で陽性が確認され、それが厚生労働省の統計数字に反映されるまでは少なく見ても2週間以上かかる。そして日々の数字は報告の遅れや休日などの関係で上下する場合がある。目の前の数字に一喜一憂するのではなく、長期的な傾向を見て現状を把握することが重要だ。