新型コロナウイルスの感染拡大を抑止する対策の一環として、政府は「在宅勤務」を推奨し、その働き方に注目が集まっています。
ESSE読者250人にアンケートを実施したところ、本人、または家族が在宅勤務に切り替わったという人は33人。実際に在宅勤務をしてみたご家庭に詳しい実態を聞いてみました。


新型コロナウイルスの影響でテレワーク化が進みました(※写真はイメージです)

ポジティブな意見多数!やってみてわかった在宅勤務は超快適!



インターネットなどの情報通信技術を活用し、場所の制約を受けずに働く「テレワーク」。今回は小中学校の休校も同時に実施されたこともあり、在宅で仕事をしてみた家庭では多くの主婦が「夫や家族が以前よりも手伝ってくれた」と喜びを感じていた様子です。

●家族で過ごす時間増えて、ゆとりをもてる
「夫婦で平日ランチを一緒にできるのが少し新鮮に思えています」(東京都・主婦・36歳)

「夫の通勤時間がなくなったので、朝ゆっくり夫と娘が遊べて、その時間に私も家事ができるので、家庭内にゆとりがもてました。私も夫が家にいてくれると安心します」(東京都・主婦・37歳)

「夫の通勤時間が減ったぶん、家事を分担しやすくなりました」(東京都・会社員・35歳)

●通勤時間がないとすごくラク!

「テレワーク快適! 化粧しなくていい、通勤しなくていいのはうれしいです。子どもと過ごす時間も増えました」(愛知県・会社員・34歳)

「子どもは保育園、私がテレワークなのでいつもより手の込んだレシピ(ローストビーフなど)がつくれるので、食卓に豪華なごはんが並びます」(東京都・会社員・31歳)

●無駄な残業も減った

「テレワークはしていませんが、残業時間が気持ち短くなり、家族でゆっくり過ごす時間が増えました」(石川県・主婦・42歳)

在宅勤務がネガティブ方面に作用したケースも



一方で今回の在宅勤務で夫婦の関係に変化が生じたという人も。

●夫だけ在宅勤務だった人は…

「大会社勤務の夫だけがテレワークで私は毎日電車通勤なので、ものすごくイライラします。私がテレワークならもっと家事もちゃんとやれるのに…。家庭不和のもと。もう、働くのをやめようと決めました」(東京都・公務員・49歳)

●妻の家事負担が増えたケースも


「夫がテレワークで家にいると家事が増える」と言う人も(※写真はイメージです)

「夫がいるだけで昼食づくりをしっかりしなければならない。また、飲み会などがなく3食きっちりつくる日々はなかなかストレスです」(神奈川県・主婦・41歳)

子どもが休校となった家庭では、学校給食がなくなったことでお昼ごはんの準備に苦労をしたという意見も多く寄せられました。また子どもの相手をしながらの在宅勤務は、なかなか仕事に集中できなかったという声も。

●子どもがいると仕事どころではない!

「テレワークしているとしても、ごはんの時間を子どもに合わせたり、子どもの都合に合わせることもあって、落ち着いてテレワークできない方が多いと思います」(熊本県・会社員・36歳)

「仕事をしていても、すぐ子どもに声をかけられなかなか進みません」(滋賀県・自営業・41歳)

とくに小学生がいる家庭では、落ち着いて仕事ができないという声がありました。仕事と子育てを同時並行でこなすのは至難のようです。

●休日のように過ごしてしまう


休校中のテレワークは大変!(※写真はイメージです)

「夫がテレワークのため、子どもは休日との区別がつきにくく仕事の邪魔をしてしまいがち。そこで夫がイラついたりするのを見るとこちらもイラっとします」(神奈川県・主婦・41歳)

「長いお正月みたいで暇です。休みなのにどこにも遊びに行けず、子どもたちも近所の公園は飽きてしまいました。朝ごはんをゆっくり準備できるのはよかったです」(福岡県・主婦・38歳)

在宅ワークをやってみた人の多くが精神的な余裕が生まれたと感じている一方、業種や職種によっては、物理的な問題に直面したという意見もありました。詳しく聞いてみます。

在宅ワークを実践してみたらこんな課題も見つかった



もともとオリンピック・パラリンピック開催時の通勤困難対策として、かねてからテレワークを推奨していた都内の企業に勤めるAさん(30代)の職場では、今回も比較的スムーズに在宅勤務を実施できたそう。しかし、実際にやってみたことでわかった課題も多かったといいます。

●会社のサーバーに負荷がかかりすぎた…

リモートで仕事ができるようにシステム環境は整えていたのですが、いざ大人数の社員が外部からアクセスしてみるとサーバーやネットワークに負荷がかかってしまいました。
「作業が進まず、初日はあまり仕事にならない状態でした。結局午後から出勤した社員もいたほどです」とAさん。一週間ほどで、状況は随分改善されたそうです。

●秋葉原にノートパソコンを買いに行った社員は…

職務上、会社のPCは持ち出しNGだったので、自宅の古いパソコンをこの機会に新しくノートパソコンを新調しようと買いに出かけた人もいました。すると、秋葉原の家電量販店では軒並み、ノートパソコンが品薄状態になっていたそう…。

3月中旬には商品も入荷していつも通り販売されていたらしいですが、いきなり在宅勤務になってノートPCを必要とした人が意外と多かったのかもしれません。

●働く場所の制限があるケースも


カフェでテレワークも理想ですが…(※写真はイメージです)

不特定多数の人にパソコンの画面が見えるような場所での業務をNGとしていた企業も多かったようです。Aさんも仕事場所は自宅のみと限定されていたそう。
時間にも場所にも制約ない完全なテレワークはカフェやレストランなどでも働けますが、業種によってはさまざまな制限がかかっていたり、そもそもテレワークが向かない仕事もあった様子です。

●郵送物の受け取りや事務対応のために出勤した

「クライアントから来る急ぎの書類の確認などがあるときも、郵送物は会社に届いてしまうので、たまに出勤する必要がありました。ほかにも印鑑を押したり、請求書の処理をしたり、細かい事務作業もパラパラ発生。出勤日にまとめて対応するようにしていました」とAさん。
実際、当番制などで出勤人数を絞るなどの対応をとった会社も多かったようです。

●出勤した人にしわ寄せがいったケースも…

「テレワークする同僚が多く、会社でしかできない電話対応などが忙しくて帰宅も遅くなり、今まで以上に夕飯づくりが大変です」(神奈川県・アルバイト・44歳)

子どもがいる家庭が優先的に在宅になった反面、普通に出勤している人が業務過多となり、いつも以上に忙しい思いをしたという声がありました。
ほかにも在宅勤務へ切り替えることができないにも関わらず、子どもが休校となってしまって、対応に四苦八苦したという人も多かったです。

●在宅勤務の制度があっても利用しにくかった実情

「これまでは取得しづらい雰囲気だったが、これを機にテレワークへの理解が深まってほしいと願っている」(千葉県・会社員・34歳)

リモートで仕事をするということが難しい業種があったり、せっかく制度が整っていても「利用しにくかった」という声もありました。
今回は新型コロナウイルスによって、いきなり本格導入となったこともあり、対応に大あらわだった人もいたかもしれませんが、時間的なゆとりなどのメリットもたくさん見えてきました。

社会の理解が深まって、フレキシブルな働き方がメジャーになっていくといいですね。

<取材・文/烏丸莉也>