コンビニ「元日休業」に萎縮広がる 東大阪セブン契約解除通告に「見せしめだ」の声
セブン‐イレブン・ジャパンは12月20日、今年2月から自主的に時短営業を始め、「コンビニ24時間問題」のきっかけになった東大阪南上小阪店(大阪府)に対して、本部との信頼関係を回復する措置をとらなければ、年内で契約解除すると通告した。
通知書によると、解除理由は客からのクレームの多さと本部を誹謗中傷するツイッターの投稿。セブン本部は同日、メディアに向けて、「深夜休業等の諸問題とは別次元の内容であり、一切関係ございません」とするコメントも発表した。
一方、同店が1月1日の休業を宣言していたことから、コンビニオーナーたちの間には「見せしめだ」との声もあがっている。「元日休業」を検討していた別のセブンオーナーたちに萎縮が広がっている。(編集部・園田昌也)
●「うちはやっぱりやれない」宮城県のセブン仙台長町駅前店は、元日休業を計画していた加盟店の1つ。店舗には「深刻な人手不足・働き方改革のため」として、12月31日の21時から1月2日の6時まで休むという張り紙をしている。
「松本さんへの対応を見ると、元日休業は厳しいと感じた。スタッフには休みと伝えているので、営業するなら一人でシフト(時短営業中のため6時から24時半)に入ることになりそうです」(オーナーの豊木茂さん)
全国のコンビニオーナーに元日休業を呼びかけていた「コンビニ関連ユニオン」の河野正史執行委員長は、「『元旦ストライキ』をやらせない見せしめ的なやり方。加盟店の動揺は少なからずあります」と語る。
同ユニオンは12月11日、元日休業についての記者会見を開いている。その席上、副執行委員長でありながら「検討中」としていた群馬県の前橋荻窪町店オーナー・永尾潤さんは、取材に対し「やはり、うちはやれない」と答えた。
「(認められていない時間の休業で)契約不履行による契約解除になるため、違約金を請求される恐れもあります」(永尾さん)
●本部は「時短・元日休業」での解除を避けるセブンが11月1日に発表した時短のガイドラインでは、元日など特定日の時短・休業は認められていない。
元日休業について、仙台の豊木さんは本部から「契約解除の理由になり、再考を求める」という趣旨の書面(11月11日付)を受け取っている。群馬の永尾さんも口頭で同様の説明を受けたという。
一方、事実上の契約解除を通告された東大阪のオーナー・松本実敏さんによると、本部には11月に元日休業の意向を伝えたが、今回の書面も含め、具体的なリアクションはなかったという。
松本さんの言う通りなら、本部側が解除の理由として、書面による合意を得ないまま時短していることや元日休業を避けてきたことがうかがえる。しかし、実際には、元日休業に対する強烈な牽制球になっている。
●客のクレームやSNSを理由とした弊害加えて、解除理由が客からのクレームとツイッター投稿によるブランドイメージの毀損とされたことで、接客や本部批判についての萎縮効果が生まれかねない。
別のオーナー団体「コンビニ加盟店ユニオン」の酒井孝典執行委員長は次のように語った。
「無断発注や残業代未払いなど、セブン本部の相次ぐ不祥事について、加盟店に対する謝罪が十分だとは思えない。本部の行為がブランドイメージを毀損しているのに、加盟店のことを言える現状にあるのか考えてほしい」
オーナーの言動が過激化する一因には、オーナーがまとまって本部と意見交換する場がほとんどないことや、本部の改革スピードが遅いことがあるとして、12月24日に本部を訪れ、元日休業などについての嘆願書を提出するという。