スタッドレスタイヤは何年使えるのでしょうか。なかには、あまりすり減っていないけれど、製造年が古いタイヤを使っている、という人もいるかもしれません。経年の影響はどう考えるべきなのか、メーカーに聞きました。

スタッドレスタイヤ「使用期限」はあるのか

 スタッドレスタイヤは、何年使えるのでしょうか。交換の時期や経年の影響について、住友ゴム工業(ダンロップ)、トーヨータイヤ、日本ミシュランタイヤの3社に聞きました。

 住友ゴム工業によると、実績値として交換する人が多いのは、3シーズンから4シーズン(3年から4年)とのこと。ただ、メーカーとして使用期限を具体的には示していないそうです。トーヨータイヤは、「直射日光をどれほど受けていたかなど、使用中における気象の影響や、装着されていない期間の保管方法などでも大きく変わるため、使用可能な年数を具体的に定める事は困難です」と話します。


スタッドレスタイヤを使用中のクルマ(画像:Anna Grigorjeva/123RF)。

 なかには、製造から年数は経っていても、溝はあまり減っていないというケースもあるでしょう。日本ミシュランタイヤは、「単純に経年数でタイヤの使用可否を判断するのは正しくない」といいます。

 実際、2シーズン前(2年前)に製造されたタイヤでも、適正な環境に保管されていれば99%の性能を保つ、というタイヤ公正取引協議会の試験データもあります。同協議会は、「製造から何年も経過したタイヤは性能が大きく低下するのではないか」という消費者からの懸念の声を受け、2018年度に経年タイヤの氷上制動性能の検証試験を実施しました。上記の数値は、試験に使用した国内外5社製品の平均値です。

ゴムである限り経年の影響はある

 しかしながら、ゴム製品である限り経年の影響は避けられず、住友ゴム工業は「5年も10年も同じ性能を維持できるかといえば微妙です」といいます。トーヨータイヤは、夏用、冬用に関わらず「使用開始後5年を経過したタイヤは、継続使用に適しているかどうか販売店で点検してもらうこと」を推奨しているそうです。

 というのも、十分な溝があるか、外傷はないかなど、目視で点検できる項目はあるものの、ゴムのやわらかさなどはタイヤごとに異なり、経年の影響を素人が判断するのは困難だといいます。また、トーヨータイヤはひとつの目安として、「製造後10年を経過したタイヤは、新しいタイヤへの交換を検討すること」も推奨しています。

 なおゴムの品質ではなく、すり減り具合、すなわち目視で判断できる交換の目安は、スタッドレスタイヤの場合「溝の深さが50%まで減ったとき」です。スタッドレスタイヤの溝には、夏タイヤにもある「スリップサイン」と呼ばれる突起のほか、「プラットホーム」と呼ばれる別の突起があります。プラットホームは溝の深さが新品時の50%になったときに、スリップサインは、法律で定められているタイヤの使用限度である残溝1.6mmに達したときに現れるものです。

 各社ともスタッドレスタイヤの場合は、プラットホームが現れると性能を発揮できなくなるため、使用を控えてほしいとしています。

 ちなみに、一般的にスタッドレスタイヤは夏タイヤより寿命が短いとも言われますが、住友ゴム工業によると、ゴムの性質はタイヤごとに異なるうえ、夏タイヤより溝が深い製品もあるため、一概にそうとは言い切れないそうです。