by Perfecto_Capucine

電子書籍リーダーにはAmazonが開発するKindleや楽天のKoboなどがありますが、いずれも特定の企業のエコシステムに組み込まれたデバイスです。そんな中、「企業に縛られることのない、無料でオープンソースの電子書籍リーダー」を開発するプロジェクト、「The-Open-Book」が進行中と報じられています。

GitHub - joeycastillo/The-Open-Book

https://github.com/joeycastillo/The-Open-Book

The Open Book - An Open, Feather-Compatible eBook! - Hackster Blog

https://blog.hackster.io/the-open-book-an-open-feather-compatible-ebook-2011bffe9ddc

Anyone Can Build This Open Source, DRM-Free Kindle Alternative - VICE

https://www.vice.com/en_us/article/7x5kpb/anyone-can-build-this-open-source-drm-free-kindle-alternative



近年では読書の際に電子書籍リーダーを利用する人々が増え、書籍の売上に電子書籍が占める割合も上昇傾向にあります。その一方で、オープンソースの電子書籍リーダーを入手することは困難で、ほとんどの電子書籍リーダーはAmazonや楽天といった大手テクノロジー企業が提供するデバイスです。

企業が提供しているデバイスは当然ながら企業のエコシステムに組み込まれる存在であり、たとえばAmazonで購入した電子書籍は、Amazonが自由にユーザーのKindleから削除することができます。2019年7月には、Amazonが著作権上の問題からジョージ・オーウェルの「一九八四年」や「動物農場」といった書籍をKindleプラットフォームから取り下げ、既に購入済みのユーザーが所持するKindle端末からも、該当書籍が削除されてしまう事態が発生しました。

同様の問題は他の企業が提供する電子書籍リーダーにも存在しており、GoogleやAppleのタブレット、書籍チェーンのバーンズ・アンド・ノーブルが提供する電子書籍リーダーも例外ではありません。そこでエンジニアのJoey Castillo氏はこの問題を解決するため、無料でオープンソースの電子書籍リーダーのシステムを作り出し、プラットフォームによる制約から解放された電子書籍リーダーを開発するプロジェクトを始めました。



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Castillo氏は誰でも自分で自分のやりたいように再設計、再コーディング、カスタマイズできる電子書籍リーダーを目標にして、ソフトウェアからハードウェアに至るまでのプロトタイプを構築中です。完成した電子書籍リーダーでは、EPUBやMOBIなど、あらゆる形式の電子書籍が読めるようになる予定だとのこと。

プロトタイプではユーザーフレンドリーなオープンソースハードウェアを製造・販売するAdafruitが提供する、FeatherWingという拡張ボードシリーズを用いて、電子書籍リーダーのハードウェアの設計を行っています。設計中の電子書籍リーダーが単に電子書籍を読むだけでなく、オーディオを聞くためのヘッドフォンジャックや、SDカードスロットなども搭載されており、多機能なデバイスが目指されています。

記事作成時点ではまだプロトタイプの設計段階ですが、Castillo氏はいつの日か、多くの人々がオープンソースのデバイスで電子書籍を読む日を望んでいます。2019年9月中には基本設計を完了させたいとCastillo氏は考えており、オープンソースのプロジェクトが完了すれば、はんだごてを持っている人なら誰でも部品を入手して、シンプルな電子書籍リーダーを自作できるようになる見込みです。



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