新R25では、これまで多くの著名人に取材してきました。

しかし一方で、「まだ世間に知られていない逸材」が、どこかにいるのではないか?という思いも常にあります。

そこで、さまざまなインフルエンサーに、最近注目している“埋もれ人”を推薦してもらうことに。

今回はどんな逸材が登場するのでしょうか?

…と思っていたタイミングで、人気凄腕編集者の箕輪厚介さんから「この人、絶対取材したほうがいいよ!」との連絡が。


【箕輪厚介(みのわ・こうすけ)】2010年に双葉社に入社。広告営業などを経て2014年より編集部に異動し、『たった一人の熱狂(見城徹)』『逆転の仕事論(堀江貴文)』などを担当。2015年幻冬舎に入社した後、NewsPicks Book編集長として『多動力(堀江貴文)』『人生の勝算(前田裕二)』『お金2.0(佐藤航陽)』などの話題作を生み出しつづけている

その人の名は、奥井奈々さん。

奥井奈々 (@nana_okui) | Twitter
https://twitter.com/nana_okui?s=17

@nana_okuiさんのInstagramの投稿

モデルとして活動しつつ、ビジネスWebメディア『NewsPicks』では「プロアナ」という肩書で、討論番組の進行役などを務めています。

一見、ふつうにキレイなモデルさんという印象しかない(失礼)ですが…どんな魅力があるのか?

箕輪さんにインタビュアーを務めていただき、奥井さんの魅力を引き出してもらうことにしました。



ほぼ詐欺!? 極貧すぎて「砂を売ってた」幼少時代

箕輪さん:
奥井さんは『NewsPicks』がやってる番組『The UPDATE』でアナウンサーを務めてて、そこで会ったんですよね。

奥井さん:
そうですね。箕輪さんのことは、会う前は「なんだこいつ」って思ってたんですよ。

箕輪? 何?って。

箕輪さん:
口悪すぎない?


なんか爆笑してる…

箕輪さん:
僕は、最初に奥井さんの生い立ちの話をちょっと聞いただけで「ヤバイ人じゃん」と思って

そこからくわしく聞かせてもらえますか?

奥井さん:
私、出身が淡路島なんです。淡路島のなかでも、生活保護を受けてるような人がたくさんいる団地に住んでて…

うちも貧乏で家がめちゃくちゃボロくて。雨漏りはするわ、クーラーはないわ、っていう生活をしてました。


全然そう見えないな…

奥井さん:
そのせいなのか、3歳ぐらいまでは自分から言わない限りは服を着ない生活でした。

保育園に入ってはじめて服を着る習慣ができましたね。

箕輪さん:
え…(絶句)。すでにエピソードがヤバすぎるね…

奥井さん:
貧乏だったので、子どものころから、自分でお金を稼ぐことに慣れてました。

庭に咲いてる花を首飾りみたいに編んで売ったり、砂場の砂をきれいなビンに詰めて「星の砂」って売ったりしてましたね。

箕輪さん:
いや、それ詐欺じゃん!


「え?」

奥井さん:
あと、私が子供のころ、モーニング娘。のプロマイド写真が流行ってたんですよ。

箕輪さん:
あったねー、今も原宿とかで売ってるやつ。

奥井さん:
淡路島でも人気で、当時150円で売られてたんです。

これもお金にならないかな…と思って、「写ルンです」でモーニング娘。が映ってるテレビの画面を撮って、1枚120円で売ってました。

箕輪さん:
それも完全アウトでしょ! めちゃくちゃすぎるって!


普段は型破りな狂犬・箕輪さんがツッコミにまわる一方である

福沢諭吉を読んで衝撃。「学ぶことで未来を変えることができる」

奥井さん:
小学校の夏休みとかは、家にクーラーがないから1日中図書館に行ってて、そこで読書に目覚めたんです。

図書館にある本を片っぱしから読んで、福沢諭吉と渋沢栄一にハマったんですよ。

箕輪さん:
いやどんな小学生? すごいね…

奥井さん:
福沢諭吉の本には「人間は学習することで未来を自ら変えることができる」っていうことを学んで、衝撃を受けたんですよ。私のまわりでは「19歳でデキ婚して、一生島から出ない」っていう人生が当たり前だったので。

「一身独立して一国独立す。そして、立国は私なり、公に非ざるなり」っていう言葉もすごく覚えてる。一人一人が学んで独立することが、国が本当の意味で独立することにつながると。

あと、映画『GO』の「広い世界を見ろ」っていうセリフにもすごく感動して、「私も大学に行って、広い世界を見たい」「海外に留学してみたい」って思ったんです。


※『GO』…2001年に公開された映画作品。監督は行定勲、脚本は宮藤官九郎。主演は窪塚洋介。在日韓国人である主人公の苦悩を描く


そこから、交換留学プログラムのある関西外国語大学に進学したとのこと

箕輪さん:
でも、砂売るほど貧乏だったんだよね? 大学の学費はどうしてたんですか?

奥井さん:
ほぼ毎日バイトしてましたね。

「昼は学校の受付、夜はガールズバー、深夜から朝までは漫画喫茶」って感じで。

箕輪さん:
ガールズバー終わってから漫喫で働く人いる?

だいぶハードモードな学生だったんだね…!

奥井さん:
ハードモードでしたね。ハハハ!

勉強も必死にやって、なんとか3年生からフロリダ大学(1853年設置。アメリカでも有数の名門大学)に留学できたんです。大学では成績が「B+」より下だと日本に強制送還されるので、そこでもハードに勉強して…

卒業してからはユニクロに就職しました。店舗で、リサイクルボックスに入った服を貧困地域に送る活動もしてて、私のやりたい活動に近い部分もあったので。


恵まれない境遇のなか、パワフルに進路を切り拓いていった奥井さん。すごい

モチベーションは高いが、解像度はめちゃくちゃ低い…!

奥井さん:
あと、スリランカでヨガの先生になりたいと思って、クラウドファンディングでお金を集めたこともあるんですよ。

箕輪さん:
へえ! なんでスリランカに?

奥井さん:
え? 友達が「スリランカいいよ」って言ってたから。

スリランカでビジネスをしてる友達がいて。


「そんな理由…?」(箕輪さん)

奥井さん:
スリランカに行ったんですけど、2週間ぐらいで「君みたいな子が必要だ」って日本のコンサル会社の人に誘われて、帰国しました。

箕輪さん:
2週間じゃ旅行じゃん!! 展開早いな…

会社はどうだったの?

奥井さん:
完全にムリでしたね。そういう一般的な仕事が向いてなさ過ぎて、楽しくなくてびっくりした(笑)。

私、「報連相」ができないんですよ。それで怒られまくって、研修期間の3カ月で辞めました。

そのあとは、「フリー」とかカッコいいこと言いながら、動画編集をやってましたね。

箕輪さん:
また全然脈絡ない。なんで動画編集を始めたの?

奥井さん:
え? 「動画が来る」ってみんな言ってたから。


そんなピュアな瞳で…

箕輪さん:
奥井さんすごいね。『NewsPicks』見てる大学生みたいなことやってるね(笑)。

「次は動画っしょ!」みたいなノリが「みの編」(=箕輪さんのオンラインサロン、箕輪編集室)にいるヤツみたい(笑)。

モチベーションと行動力がすごいのに、解像度がめちゃくちゃ低いところが超面白いね!

奥井さん:
そうなのかなあ…

結局、「タッパあるからモデルでもいけんじゃね?」と思ってモデルの事務所に入って、今の仕事につながってますね。


志は高いのにノリが超軽い人

箕輪さんの考える「面白い人」の定義とは?

箕輪さん:
奥井さん、せっかく面白い経歴があるんだから、絶対それ生かしたほうがいいよ! もったいなさすぎる。俺だったらすぐ「砂場の砂売ってました」ってアピールしてるよ!

内面をあんまり知らずに動画で見てると「お高くとまってる女が、遊びでアナウンサーやってるのかな?」みたいな印象じゃないですか。こんなに野性味があって面白い人だとは思ってなかった。


「そんなふうに見えますか!?」

奥井さん:
でも、箕輪さんに面白いって言ってもらえるのはすごくうれしいですね…!

箕輪さんってどういう人を「面白い」と思うんですか?

箕輪さん:
ひとつは、オリジナリティがあって、“作られていない”人。

よくいるじゃん、プロダクション側がエピソードで売り出そうとしてて「ああ、仕上げてきてんな」っていうタレント。奥井さんは作り物じゃないからいいよね。

奥井さん:
自分ではそんなにオリジナリティがあると思ってないから、「へえ、そうなんだ…」って感じですね。

箕輪さん:
本物ってだいたい自分の面白さに気付かないのよ!

前田裕二(SHOWROOM代表)の「路上で弾き語りして金もらってた」っていうエピソードだって、我々からしたら「それは戦後の焼け野原でやってたの?」みたいな“時代が違うレベル”の話じゃん。

でも、前田裕二にせよ落合陽一にせよ“異常に突き抜けてる人”って、本人は「これってそんなに面白いですか?」みたいなノリなんだよね。



箕輪さん:
もうひとつは、本業に打ち込んでて、成果出してる人。

本業があいまいな感じのタレントだと「全番組でこのエピソード話してます」みたいになって、一周したら終わりじゃん。

やるべきことがある人って、本業で成果を出してれば“消費”されないんだよね。つまんなくならない。

SNSでファンをつくるには「ピンチの連続」になること

箕輪さん:
奥井さん、ムリにフォロワー増やそうとする「ツイッター芸人」みたいになる必要はないけど、もっとSNSやったらいいと思うよ。

奥井さんみたいな人にはファンがつくし、ファンがつくと情報が集まって、人生のステージが変わりますから。

奥井さん:
SNS、マジメなことしか書いてないですね(笑)。

何をやったら「ファンがつく」んですか?

箕輪さん:
SNSって“リアリティショー”なのよ。『テラスハウス』観てるような感覚。

だから、「自分のショーのストーリー」をつくることだよね。ここまではみんなよく言うんだけど、「自分をショー化する」ってどうすればいいのかわかってる人は少ない

ストーリーとは何か?ときかれたら、イコール「ピンチ」のことなんですよ。


学びあることを言い始めた箕輪さん

箕輪さん:
漫画とかドラマがなぜ面白いのか?っていえば、毎回「いったいどうなってしまうのか!?」で終わることを繰り返してるから。

つまり、自分が今できる以上のことにチャレンジして、「ピンチの連続」という状況をつくっちゃえばいいんだよ。

まわりで見てる人は、それを面白がってファンになっていく。

奥井さん:
なるほど…!

箕輪さん:
それってけっこう理にかなってて、ピンチに直面するってことは、「成長すること」と同義なの。「今できないことをやる」って、自分のためにもなるんだよね。

だから、永遠に自分ができないことを繰り返していくといい。


「今できないことか…」

箕輪さん:
奥井さん、これからやりたいこととかはあるの?

奥井さん:
南アフリカに行きたいんですよ。

箕輪さん:
また〜! それも「なんとなく」みたいな超解像度低い理由で言ってるんじゃなくて?

奥井さん:
違うんですよ!

南アフリカってアジア人女性がすごい少ないって聞いて。だったら広告モデルの仕事でも需要あるのかなと思ったんです…!

箕輪さん:
なるほどね! じゃあ、1人で南アフリカ行って、「今日のごはん代をSNSで支援してください!」みたいに応援を募ろう!

奥井さんって、ピンチが好きな人でしょ? 向いてると思うよ!



奥井奈々さんは、圧倒的なモチベーションと行動力、そして解像度の低さをあわせ持った、ヤバイ人でした。

果たして彼女は今後、単身南アフリカに渡っていくのでしょうか!?

「ピンチの連続をつくれ」とアドバイスされたSNSとあわせて、今後も注目していきましょう!

奥井奈々 (@nana_okui) | Twitter
https://twitter.com/nana_okui?s=17

〈取材・文・撮影=天野俊吉(@amanop)〉

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