朝食を抜くと体重が増えるのは体内時計の異常の為 名古屋大学の研究
朝食を抜くと体重が増える事は経験的にはよく知られている。この原因が、肝臓の時計遺伝子、脂質代謝、体温のリズムなどに異常をきたすためである、という事実を、名古屋大学大学院生命農学研究科の小田裕昭准教授を中心とする研究グループが発見した。
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朝食を抜くことは、肥満、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、そして冠動脈心疾患などの原因になることが知られている。20歳代の4人に1人は朝食を食べないと言われており、国民の健康を維持する上で深刻な問題となっている。
また余談に近いが、特殊な事情で体重を増やさなければならない場合にあえて朝食を抜くという方法論も古くから知られている。例えば相撲取りの食事は(基本的には)1日に2回であるとされている。
さて、本研究では、まず同じカロリーの高脂肪食を朝から食べさせる群と、4時間遅らせてから食べさせる群で比較が行われた。やはり経験知の通り、朝食を食べないラットにおいては体重の増加がみられた。
問題はこのとき、肝臓の時計遺伝子や脂質合成系の遺伝子発現リズムも4時間遅れていたことである。また、体温も、朝食を食べ始めるまで上がらなかった。
端的に言えば、朝食を食べると体全体の代謝が朝早くから高まるため、同じカロリーを摂取する前提であれば起きてすぐに食事をした方がカロリーを燃焼し、肥満が防がれるということであるらしい。
この研究の結論は言うまでもなく「朝食は食べた方がよい」というものである。情報としては既知のものに過ぎない。だが、これまでは経験知に過ぎなかった「朝食は食べた方がよい」という前提に、科学的な裏付けが与えられたことの意義は大きいと言えよう。
なお研究の詳細は、アメリカの科学雑誌「PLOS ONE」に掲載されている。