「カウンター焼き肉」の快進撃が止まらない!!その背景に”予約疲れ”現象が!?
なぜ、人はこんなにも焼き肉に惹かれるのか。
肉が好きだから?ただ焼くというシンプルな調理法だから?それともみんなでワイワイ焼くというプロセスまでも楽しめるから?
今や、国民支持率NO.1メニューといっても過言ではないメニュー「焼き肉」の極め方を焼肉マニア小関氏が語りつくすこの連載。
ライター紹介
おひとり様歓迎!カウンター焼き肉の快進撃が止まらない
ワタクシはYAKINIKU JOURNEYとして、平均すると週2以上のペースで焼き肉店を巡っております。
焼き肉はいまだにブームと言える状況で、さらにすごいところはブームの連続性があるところです。
一般的にグルメのブームがあってもずっと継続されるのは難しいこと。理由は、どれだけ流行しても消費者は飽きるから。焼き肉(及び牛肉グルメ)が凄いのは、同じ牛肉を使って、色んな部位、別の食べ方が次々と流行し、結果ブームが継続されているという非常に稀有な存在のグルメという点です。私はこの現象を「ブームの連続性」と呼んでいますが、ブームの輩出源がそれぞれ、違っているのも焼き肉のポテンシャルであり、価値ある現象だと考えています。
以前の連載『タレ焼き肉がブームになる理由』では、年末から来年の年明けに向けて、タレ焼き肉のブームを予測しています。それは今の「牛肉×高級食材」というブームの潮目からアンチテーゼとして、昔ながらのタレ肉に回帰すると判断したためです。
タレ肉ブームは言わば、焼き肉の”肉”部分のブームですが、焼肉が面白いのは業態の変化もあることです。具体的にいうと、カウンター焼き肉店が最近、勢いを増してきています。
焼き肉は部位の流行を追っていくのも面白いのですが、焼き肉店の業態の変遷を追っていくのも非常に面白い!
例えば、ブームになるにつれてフルアテンドの高級店が登場したり、ヒロミヤ・肉と日本酒・GU3Fのように肉以外の酒やご飯までセルフにするセルフ焼き肉店、劇場型や、立ち食い焼き肉が登場したり…。そして、今増えているのが、おひとり様も歓迎のカウンター焼き肉店です。
そもそもカウンター焼き肉とは何なのか?長いカウンターに自分専用の焼き台が設置されたお一人様メインの焼き肉スタイルを「カウンター焼き肉」と定義します。
通常のボックス席や複数席にお一人様で入るのは、ハードルが高いと思われがちな焼き肉店。しかしカウンタースタイルであれば、気軽に立ち寄れて、人目も気にすることなく、焼き肉をカジュアルに楽しめると、最近絶賛されつつあり、増加傾向中なのです。
カウンター焼き肉が増加する理由、それは「予約疲れ」
最近の焼肉ブームの傾向として、人気店が異常に人気になる傾向があり、予約困難店になることがあります。予約は毎月一度の時間を決めて翌月の予約受け付けにする焼肉店も多く、人気店になるといまや1年待ちの予約は当たり前です。ある有名店は、オフィシャルの電話番号に予約電話をすると、キャンセル専用電話につながり、もはや予約の仕方がわからない状態です。
焼き肉店も良質のお肉をお客さんに提供したい、楽しんでもらいたいと企業努力を続けてきた結果なのですが、超人気店になり、予約が先になり過ぎて、顧客が予約を取ることに疲れてしまってきているのかもしれません。事実私の周囲でも、最近「予約疲れ」という言葉をよく聞くようになりました。
ここで登場する、カウンター焼き肉
予約疲れは予約に疲れているということであって、焼き肉と離れる理由にはなりません。日本フードサービス協会の発表によると、2018年4月の外食市場では、焼き肉が客数増により好調を維持しており、焼き肉は前年比105.8%で推移しています。
しかも17ヶ月連続で前年比プラスが続く好調の要因は、根強い肉ブームに加え、メディア露出による集客効果の後押しと分析しています。一方、最近不調だと言われる居酒屋形態から顧客が流れているとも分析しており、それだけ焼き肉に顧客を定着させるだけの魅力があるといえるのでしょう。
焼き肉人気は好調に推移、でも予約には疲れているとすると、焼き肉の店舗業態の中で、顧客が回遊していると考えられます。前もって数か月先の予約をし、構えて焼き肉を食べるというより、もっと気軽に食べたいという心理にはなるのは想像するに難しくありません。
そこで登場するのが、気軽に入れる「カウンター焼き肉」ということなのです。特徴として、やはり回転が早いので、予約にこだわる必要はあまりないことが挙げられます。ふらっと気軽に一人飲み感覚で入店できるのも良いのでしょう。
最近はカウンター焼き肉と侮るなかれ、肉質が非常に良い部位を揃えているお店も多くなっており、年末に向けて、さらに人気が加速すると予想します。
カウンター焼き肉に女性客が増えている
カウンター焼肉の人気を加速する理由はもう一つあります。意外に思うかもしれませんが、ちらほら見かけるのが女性客の姿です。カウンターで、おひとり様でということで、どうしても牛丼店のように男性客を想像してしまいがちですが、良質のお肉を提供するカウンター焼き肉店では、女性客が3割を占める場合もあります。
カウンター焼き肉は、盛り合わせもありますが、場合によっては1枚から食べられるお店もあり、量を調整しやすいメリットがあります。焼肉ブームで複雑化する色んな部位を食べてきた人ならではですが、あれもこれも色んな部位を食べたい人にはうってつけです。
そんなカウンター焼き肉の醍醐味を、ぜひ堪能してほしいお店が次の三つです。
三軒茶屋の「赤と霜」
まずオススメしたいのが、三軒茶屋の「赤と霜」。三軒茶屋駅から徒歩1分、スズラン通りを入ったすぐにあります。2016年4月にオープンしました。立ち食い焼き肉店スタートが、お一人様で楽しむ方が多く、カウンター焼き肉屋に転換。店名は赤身肉と霜降り肉に由来し、今や、お客様の7割がお一人様焼き肉で、女性お一人様客も多数訪れます。
銘柄は、特定していないのですが、近江牛、松坂牛、山形牛、たまには超人気の田村牛も楽しめます。これは侮れません。
盛り合わせの方がお得なので、まずは盛り合わせからスタートし好みの単品で頼むのが、"通"。食べ放題等のキャンペーンもやっているので、「この肉質でこの価格。やっていけるのか?」ともはや、商売っ気を客が気にしてしまうほどのコスパ良店で、地元に愛されるお店として君臨しています。
実はハラミ、サガリも是非、味わっていただきたい一品。今やスター部位のハラミは、国産牛の入荷が難しいのに何と、殆ど山形牛で提供しているという驚くべきカウンター焼き肉の店です。
お好みで、卓上にあるタレ、塩コショウの他、ポン酢、醤油、レモン汁も用意しているので、スタッフに問い合わせてみてください。有料になりますが、山わさび(鼻にツンとこないので、食べやすい)とトリュフ塩もあります一枚から気軽にお一人様焼肉を味わえます。
(以上、撮影:榊智明 )
焼肉
池袋の「美そ乃」
お一人様焼き肉に特化した専門店として、2016年に池袋西口にオープン。西口から徒歩3分の好立地です。冷蔵ケースに収納された肉を見ながら、色んな部位をちょっとずつ試したいという焼肉ファンお待ちかねのお店です。
その部位数なんと55部位で、非常に細かく細分化されています。和牛の希少部位を気兼ねなく楽しめる為か、意外にも女性客も多いのが特徴。
9月中旬、19時台に訪れた時には、カウンター10席の中、女性客が3名。駅近で、盛り合わせもあるので、晩ごはんがてら一人でも入りやすいのかもしれません。
焼肉
博多・祇園町の「おのおの」
この夏、福岡遠征の際、立ち寄ったのが、2016年10月にオープンしたこちらのお店。街の中心地でもある博多駅の隣の福岡市営地下鉄空港線『祇園』駅より徒歩3分の好立地。
立ち食い焼き肉でもありますが、自分がオーダーした部位をカウンター前にある昭和レトロな冷蔵ケースから店員さんが取り出すのはまるでお寿司屋さん。色んな部位を少しずつ種類を沢山食べたい人にはうってつけです。お肉は、注文を受けてからカットするこだわりぶりで、上質な黒毛和種をちょっとずついただけます。
男性客が占領するかと思いきや、女性客や私のような観光客も多く、肉の暑さなども相談できます。当日は盛り合わせをオーダーしました。
毎月29日は肉の日と称し、いつもより、お得価格でお肉を味わえるお得なお店です。
焼肉
長い予約期間を待って、ようやく食べられる焼き肉は美味しくもあり、達成感があります。ただ、気軽に食べたい時にサクッとお一人様でという焼き肉こそ、自由度の高い焼き肉の本来の姿なのかもしれません。
気軽にカジュアルにふらっと立ち寄れる普段使いの焼き肉に自立した楽しみを確立したお一人様客は、この年末大注目です。忘年会前に、是非、自分ならではのカウンター焼き肉を見つけましょう。私も、忘年会の0次会、2次会、3次会で、フラッと立ち寄るれる店を現在、探索中です。