顧客に自衛隊施設も。ビルメンテナンス業者を倒産に追い込んだ「資格ランク」
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業績に比例するように増えていったのが取引銀行数だ。倒産時には実に22行の金融機関から約30億円を借り入れていた。この取引金融機関の増加は13年に銀行出身者が経理部長に就いて以降、加速度を増す。
それでも新規金融機関からの借り入れでしのいでいたものの、資金繰りは悪化。その後、17年5月に経理部長は退職し、8月に、金融機関へリスケを要請した。
リスケ要請後の資産査定の結果、約10年にわたる粉飾決算が発覚する。直近決算で20億円近い売り上げの過大計上などで財務は大きく毀損し、25億円超の債務超過に転落。さらに事業面でも大半の営業所で採算が取れていないことも判明。
一部金融機関はこの粉飾決算に激怒したものの、なんとか再建計画の同意を全行から得て事業を継続していた。だが、債務超過に転落したことで来年度以降、官公庁の入札に参加するために必要な全省庁統一資格のランクが大幅に低下する事態が発生。この資格ランクが低下すると今までのように入札することが困難となってしまうため、弁護士に相談して再建の道を模索していた。
結果として早期の債務超過解消は不可能であることから自主再建を断念し、6月11日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請した。
(文=帝国データバンク情報部)