文:オリヴァー・ハルトマン(訳:kicker日本語版)

今となってみれば、ラルフ・ハーゼンヒュットル監督がライプツィヒを後にする報道を耳にしても、決して驚きを覚えることはないだろう。クラブ首脳陣との今回の退任劇は、数ヶ月にも及ぶものだった。だが一体なぜクラブ側が通例とは異なり、契約年度があと1年残されているにもかかわらず、あえて退任という道を選択したかについては特に明かされておらず、納得のいくような説明がミンツラフ代表やラングニックSDの出されることはなかった。

ただチームにとってリーダー的存在である主将ヴィリ・オルバンや、ディエゴ・デメといった選手たちからも残留を希望する声が寄せられていたものの、結局はその願いがクラブ首脳陣へと届くことはなかったということである。

確かなこととして1つ言えることは、これまでの成績が監督不信へとつながったとは考えにくいということ。今シーズンにライプツィヒが見せていたものは、昨季のようなセンセーショナルなものとまでは言い切れなかったとはいえ、それでも6位を確保しヨーロッパリーグへの出場権を獲得。さらに初の国際舞台となった今季のELでも、ベスト8入りまで果たしているのである。おそらくは開幕前にクラブが掲げていた目標を上回るものだっただろう。

しかしながらハーゼンヒュットル監督自身が、このまま契約最終年度に突入したくはなかったという考えならば理解できる。おそらくはその考えに、ラングニックSDも驚くことはなかったはずだ。そもそも同氏自身も今年のはじめに、延長のないまま来シーズンに臨むことは避けたいとの考えを示しており、その考えをハーゼンヒュットル監督は最後まで貫き通したまでのこと。曖昧なクラブ首脳陣の戦略のなかでは、自身の権威が損なわれ職務遂行の妨げとなる可能性があることを理解していたのだ。

若く、才能あふれるチームで指揮をとっていく中で、シーズンを通して自身の進退問題が付きまとっていくことへ、如何に対処すべきだというのだろうか。不振になれば即座に、常に自身の進退問題と関連づけられることは容易に予想される。だからこそハーゼンヒュットル監督は、今回はそれに先駆けて、先手を打つ形でチームを後にするという行動に出るこという決断を下した。