学生の窓口編集部

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バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)はバルト海の東側にある国で、豊かな自然に囲まれた3国は、魅力もたくさん。その中でも特にエストニアは、北ヨーロッパでも有数の美しさを誇る世界遺産都市タリンの旧市街地を有しているため、その景観を訪れる人達を虜にしてきました。ここではその北欧に開かれた"バルトの窓"、エストニアの魅力をたっぷり紹介します。


■治安

外務省によると、エストニアの治安状況はそれほど悪くないのですが、タリン旧市街は6〜8月の観光シーズンに多くの観光客で賑わうため、観光客をねらった窃盗事件等がこの時期に多く発生しています。日本人が犯罪に遭うケースは、スリ、置き引きで現金やクレジットカードの盗難が報告されています。

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犯罪が多い危険地域はタリン市内では中心部とラスナマエ、コプリです。エストニアとロシアの国境付近のナルヴァ等は、英語やエストニア語がほとんど通じないため(ロシア語が主)、観光で立ち寄る際は注意が必要です。

■時差

日本とエストニア(タリン)の時差は、日本が7時間進んでいます。エストニアはサマータイム制を導入しています。

■飛行時間

日本とエストニアを結ぶ飛行機の直行便はなく、ヨーロッパ、中東、アジアなどの経由地での乗り換えが必要になります。乗り換え時間を含んでのフライト時間はおよそ11時間〜14時間です。

■旅費

エストニアへの旅行は、乗り換えがあるため、2都市滞在のパッケージツアーが安価で設定されています。例えば、ヘルシンキ経由3泊6日(タリン2泊とヘルシンキ1泊)で成田発8.58万円〜(※ターキッシュエアライン利用)、フィンランド航空 指定4泊6日(タリン2泊ヘルシンキ2泊)で10.26万円〜など、経由地によっても料金と宿泊数に違いが出てきます。

贅沢仕様の自由行動エストニア旅をするなら、フィンランド航空指定ビジネスクラス利用4泊6日(タリン2泊ヘルシンキ2泊)42万円〜がありました。料金差はホテル代、飛行機代で大幅に変わってきます。自分の予算や希望に合わせてオーダーメイドしてエストニア旅行を楽しみたいですね。

■言語

エストニアの公用語はエストニア語です。

■その他注意事項

エストニアだけに限ったことではないですが、海外でスマホを日本にいるときのように普段使いしたいなら、やっぱりモバイルルーターのレンタルがおすすめ。1日1,000円〜だとしても10日間で1万円はお得でストレスフリーです。携帯各社の国際ローミングもいいですがLINEやSNS、Twitterへの画像のアップロードなど考えると、レンタルWi-Fiはやはり欠かせません。1個で複数繋げるタイプもあるため、同行する友だちとシェアして利用してもいいでしょう。各社それぞれにメリット・デメリットがあるのでよく比較して選んでください。

■エストニアのおすすめ観光地20選

エストニアのおすすめ観光地1.ラヘマー国立公園

4000年前から人の居住が確認されている場所・ラヘマー公園は、エストニア北東部ラクベレにある国立公園です。旧ソ連時代国として初めて作った国立公園でいくつかのトレッキングコースやサウナなどがあります。

エストニアの森は、鳥や魚、植物などたくさんの動植物の生息が確認されていて、整備された1本道を渡りながら湿地植物を観察したり、撮影したりしながらウォーキングを楽しむのがコツです! 公園内の広大な湿原ヴィル湿原は、水質が酸性のため、植物が大きく育つのが難しいそうですが、湿原特有の花や水草が見られるようです。日本の尾瀬のような雰囲気にも感じます。アクセスは、首都タリンからバスで40〜50分ほどの距離で、日帰り旅行も可能です。

エストニアのおすすめ観光地2.アレキサンドル・ネフスキー大聖堂


ポーランドにもブルガリアにもエストニアの首都タリンにもあるアレキサンドル・ネフスキー大聖堂は、トームペア丘の上にあるロシア正教会の主要大聖堂です。外観はロシア国内の大聖堂と比べると配色は地味目ですが、内部の装飾もきれいです。

クーポラ(天蓋)は玉ねぎ型のドームで、エストニアのタリン旧市街にある建築物の雰囲気とは違いますが、中世の空気を今に伝えます。

場所はタリン旧市街の南西の端にあって、トームペア城の斜め前にあります、塔の鐘がタリン最大の重さ15tのものを含む11個の鐘からなるようで、重厚な鐘の音は印象的です。(礼拝堂は撮影禁止です。)

エストニアのおすすめ観光地3.カドリオルグ宮殿

カドリオルグの海沿いの美しい地域にあるカドリオルグ宮殿は、ピョートル大帝の命によりバロック様式の宮殿と公園が1718年に建設を開始、5年の月日をかけて完成しました。

この宮殿はエカテリーナ皇妃のために造った宮殿で現在は美術館になっています。噴水や庭園など、当時の生活を想像させるようなそのままの光景が残されていて、広々とした庭の季節の花々が心を癒してくれるスポットです。

カドリオルグの意味は「カドリの谷」で、カドリはエカテリーナ妃のエストニア読みです、2018年に建立300周年の節目の年を迎えます。

エストニアのおすすめ観光地4.トーンペア城

タリン旧市街にあるトーンペア城にはいつもエストニアの国旗がはためき、通称「のっぽのヘルマン」の名で知られています。海抜50mの崖の上に13〜14世紀に建てられた背の高い塔のトーンペア城は、宮殿のようなピンクの美しい建物で、今は国会議事堂として使われています。

エストニアの神話では、カレフという古代王が眠る墓陵であるといわれています。町を見下ろすことのできるこの街は、もともとはドイツ騎士団の城として建設されましたが、時の支配者が要塞として利用し、日の出とともに国旗を掲げ、日の入りとともに国旗をしまうというスタイルで生活をしていたため、今も国旗が毎日風にそよがれ、伝統として受け継がれています。

お城と国会議事堂はガイドツアーが可能なため、ゆったり見学したい方はオプショナルツアーへの参加をおすすめします。

エストニアのおすすめ観光地5.聖ニコラス教会

エストニアの首都タリンの旧市街に残る歴史的遺産、聖ニコラス教会は、およそ13世紀前半にドイツ商が船乗りの守護聖人ニコラスを奉って建てた教会で、リューベックの画家・彫刻家ベルント・ノトケによる15世紀の絵画「死のダンス」が有名な教会です。

第二次大戦時ドイツに占領されると、ソ連は聖ニコラス教会を空爆してしまい、その半壊写真の展示を現在聖ニコラス教会で行っています。1981年の再建です。

内部は美術館のようにきらびやかですが、今は教会としてではなく博物館やコンサートホールとして利用されています。

エストニアのおすすめ観光地6.クム美術館

※写真はイメージです

クム美術館は2006年2月に開館した美術館で、アートの観点から各時代のエストニアを知ることのできる美術館です。2008年にヨーロピアン・ミュゼウム・オブ・チェアーに輝き、表彰されてから国際的に有名となりました。

展示している作品は基本的にエストニア出身の作家の作品で、旧ソ連時代の流行を色濃く残し、それに影響されている作品もあり見応えがあります。フロアごとに18世紀初期〜エストニア美術の収蔵品、他の階は現代美術画廊や第2次世界大戦以前の美術、そしてソ連占領時代の作品が展示されています。

外観もクールで、エストニアを文化の面から勉強できるすばらしい場所となっています。

エストニアのおすすめ観光地7.マッツァル国立公園

※写真はイメージです

エストニア・ラーネ県にあるマッツァル国立公園は、ラムサール条約に指定された美しい湿原が広がる自然保護区で、北ヨーロッパの中で最も動植物の種類が多いと言われています。一説によると、ヨーロッパの渡り鳥が秋を過ごすのに最適で重要な場所のひとつです。

作家サラ・バクスターは著書「365日、今日行くべき世界で一番すばらしい場所」の中でマッツァル国立公園を「バードウォッチ天国」と紹介しています。エストニアの国土の1/2の森、2割を占めるマッツァル国立公園の湿原は、ここでしか見ることのできない華麗な花や、野生生物に会える湿原です。

エストニアのおすすめ観光地8.太っちょマルガレータ

現在、エストニア海運博物館として船具などが展示されている愛称「太っちょマルガレータ」はタリン旧市街の出入り口にあり、要塞、建設当時は砲台として作られた太い外観が印象的な、かわいらしい塔です。

1511年〜1530年に建造された塔は、以前は沿岸に建つ外壁の「門」の一部でしたが、今ではタリンに残る唯一の外門となり、屋上からは港が眺められる観光スポットとなっています。

エストニアのおすすめ観光地9.タリン城壁

「時間が足りん……」とダジャレが出るほど美しい、そして何時間でも見ていたい景色が広がるタリン城は、その城壁が要塞として活躍してきました。1.85Kmの塀沿いにはトーンペア城、ヴィル門、塔の広場、セーターの壁などがあり中世のままの街並みを残しているところが見所です。

石畳の街が続き、教会やお城が見えてくると「なんてかわいい街にいるのだろう」とワクワクしてしまいます。城壁の上は歩くことができ、インスタグラムにはここからの風景がたくさんアップされています。港から歩いて10分の北側入口門が旧市街の入り口で、ここから散策をスタートする人が多く、石畳の道を歩き、旧市街を散策することができます。

エストニアのおすすめ観光地10.カタリーナ通り

世界遺産タリンの石畳の道、石造りの壁、アーチ型の柱など中世の雰囲気が残る素敵な小路が、カタリーナ通りです。白夜の季節は、夜8時を過ぎても十分に明るく逆に観光客がほとんどいないため、カタリーナ通りを自由に散策できるポイントとなります。

この石畳の南側にある「カタリーナ・ギルド」がこの通りをさらに素敵にしている一因で、女性職人のギャラリーや工房、手作り工芸品を扱うお店がたくさん並んでいて、旧市街で一番美しいと評判です。昔はここに聖カタリーナ教会があり、15〜17世紀にかけて宝石や陶磁器、ガラス細工、帽子、などのエストニアの工芸品を作る工房が軒を連ねていたそうです。中世にタイムスリップしたような気持ちになります。

エストニアのおすすめ観光地11.タリン


タリンはフィンランド王に面するエストニアの首都です。この街は支配されていた時によって名前を幾度も変え、ソビエト連邦の支配下にあったときに現在の姿として確立しました。市内の中心にあるタリン歴史地区は、世界遺産として指定され歴史的価値も高いです。山際の町トームペアには特に歴史的建造物が多く、トームペア城を中心に観光資源が多く集まります。石灰岩でできた丘にはこの地で起こったドイツ騎士団との攻防戦の際亡くなった兵士たちの石碑が立っています。

フィンランドよりも物価が安いため、ヘルシンキ市民がこの場所へ買い物客として訪れることもしばしばあります。オーランド諸島、ストックホルムなどドイツへ向けてのフェリーの定期便があるため、旅の中継地としても利用できる場所です。

エストニアのおすすめ観光地12.ヴィル門


旧市街の東側の城壁に作られた門がこのヴィル門です。長い歴史を超えてなお、力強くそびえ立つその姿は見る者を圧倒します。19世紀初頭まで、この門には華美な装飾が施されていました。アーチのついたゲートや塔など、美術的に価値のあるものも多く存在していたものの、北口のスールランナ門以外はほとんど破壊されてしまいました。南側には、当時の美しさを表すように少しながら塔の形を残しています。そのような歴史はあるものの、今では新市街から旧市街に行くメインゲートとして大勢の人が行き来しており毎日とても賑やかです。

エストニアのおすすめ観光地13.ラエコヤ広場


ラエコヤ広場はエストニアの首都タリン、世界遺産に指定された歴史地区旧市街の中心にあります。広場からは四方八方に石畳が広がり、その周りをレストランやカフェ、雑貨屋など小さなお店で埋め尽くされており、とても賑やかです。数々の飲食店は昼間から賑わいを見せ、街を歩けばテラス席でヴィルを飲む人々の姿が見えることでしょう。中心部には大きな塔がそびえ、この広場の目印となっています。広場はタリンの中で1番広く、迷子になってしまうかもあるかもしれません。しかしこの塔を目印にすれば迷うことはないでしょう。冬にはクリスマスマーケットが開催され、夜にはクリスマスツリーとその周辺に飾られたイルミネーションが楽しめます。

エストニアのおすすめ観光地14.聖オレフ教会


中世ではこの教会は世界で最も高い建物として知られていました。13世紀に作られた後、落雷で建物が焼失してしまいましたが、16世紀に再建されました。その荘厳な佇まいと尖塔の大きさに驚かされますが、内部もそれらに劣らず美しく高い天井に白で統一された内装はとてもシックです。教会内部では、ミサや演奏など現地の人々へ向けての催しが行われており、西洋の教会の雰囲気を鑑賞することができます。この尖塔は旧市街最高峰の展望台であり、その大きさは約140メートル。4〜5ユーロを払い入場し、20分ほど登ると旧市街を見渡せる展望台に着きます。季節、時間によってはすばらしい灯りを目にすることができ、人気のスポットです。

エストニアのおすすめ観光地15.ナルヴァ城



13世紀、エストニアがデンマークに支配されていた頃に建設されたのがこのナルヴァ城です。現在ではロシアとの国境を守る城として整備されており、どこを見ても軍服を着た兵隊たちが凛々しく立ち、職務に励んでいます。建物の内部は博物館になっており、この城やそれを取り巻く人や環境の歴史を辿ることができます。建物の目の前に流れるナルヴァ川の向こうには、目的を同じくして建てられたロシアの城が立っているのが見えます。ここまで来たのなら足を使い、ぜひそちらにも向かってみましょう。城の中庭はかつての手工業をほぼ完全に再現し、若々しい緑の中には丁寧に剪定された薔薇達が咲き乱れます。当時の隆盛が感じられる、趣のある場所ではないでしょうか。

エストニアのおすすめ観光地16.パルヌ

※写真はイメージです

パルヌはバルト海のパルヌ湾沿いにあるエストニアの都市であり、この地域屈指のリゾート地として知られます。街にはパルヌ川が流れ、端々に巡らされた橋を多くの人々が行き交います。港湾都市としての機能を果たしておりほか、エストニア屈指の観光都市として知られ、フィンランドやドイツなどからも多くの観光客が訪れます。付近にはエストニアとラトビア間の国境があり、旅行者の中継地点としてこの町を通る人も多いです。

おいしいエストニア料理のお店が多くあり、料理を目当てにこの町へ足を運ぶ人も少なくはありません。エストニア料理はフィンランドの料理に似ていて、ニシン、ウナギ、カレイなどの魚が多く使われます。ドイツ騎士団の影響を受けてきたことから、ヴィルを使った料理が多いのも特徴の一つです。

エストニアのおすすめ観光地17.アレクサンドゥリ教会

※写真はイメージです

ナルヴァ駅とバスターミナルから旧市街地に向かうと、目に入ってくるのがこの教会です。この教会の特色は正面の高い塔で、ロケットのような形が特徴的です。この塔は教会ではなく、裏手に回ったところにある建物が教会なので間違えないようにしましょう。外観からはキリスト教のどの宗派に属した教会であるかがわかりづらいですが、名前から正教会の教会と考えられます。

元々の教会は19世紀に建築されたもので、建設者でありこの近辺で暗殺されたと歴史の残るアレクサンドゥリ2世の名前からその名が取られています。かつての建物は20世紀中頃の戦闘で破壊され、戦後再建されています。しかし戦闘の爪痕は大きく、内部にはむき出しのまま残る部分もあります。

エストニアのおすすめ観光地18.ナルヴァ


ナルヴァはエスト二アの東にあるロシアとの国境のまちです。ナルヴァ川を境とし、橋を渡ればロシアの土地と人々の行き交うエストニア第三の都市として知られます。旧市街地は半日もあれば回ることができ、支配される以前の隆盛の姿が思い浮かぶでしょう。

港湾都市であり、周辺でオイルシェールが産出されることもありエストニア屈指の工業地域としても栄えています。かつては「バルト海の真珠」と称される美しい街並みを誇りましたが、18世紀前半には大北方戦争の、また第二次世界大戦において主戦場となり、その歴史的な街並みの多くは失われてしまいました。現在では旧市街の旧市庁舎のみがかつての栄光の面影を伝えています。

エストニアのおすすめ観光地19.エストニア歴史博物館


エストニア歴史博物館では、10000年以上にわたるエストニアの人々の戦争や生活の歴史を見ることができます。博物館の建物は15世紀に大ギルドとして建てられたもので、ライオンの頭部を模して作られたドアノッカーからはかつて栄えたエストニアの威厳を感じます。博物館としてはめずらしく、歴史の中でもエストニアのコインや支払い方法等の経済史を知ることのできる部屋があります。他の博物館では味わえない、不思議な側面から歴史を見てみましょう。また、この建物の隆盛の象徴として、柱の数々には龍が彫られています。博物館の展示を楽しむだけでなく、遊び感覚で龍を探してみるのも楽しいかもしれません。

エストニアのおすすめ観光地20.バラステの滝

※写真はイメージです

エストニア最大の滝、バラステの滝は、冬になるとその激流を黄土色の美しい氷のオブジェに変えることで有名です。凍ってしまうのは滝だけではなく、強い寒波によって風が吹き、飛ばされた水しぶきが村や建物、施設を巻き込み氷に包みます。標識やベンチなどありとあらゆる物が氷に包まれ、まるでテーマパークの一部のようです。氷に包まれたその美しい光景は観光客にとても人気で、国外からも多くの人が訪れます。建物だけでなく足元の小道も氷に包まれているので、歩く際は滑らないように注意しましょう。


エストニアの観光地をご紹介しましたが、いかがでしたか? 過去の歴史を伝える趣ある街、エストニアは魅力あふれる中世の風景がかわいい都市です。女子旅にもぴったりの新しい発見ができる国で、ヨーロッパとロシアの両方のいいとこ取りができます! インスタ映えする古都の風景もおすすめですよ。エストニアに訪れた際に時間があれば、バルト三国を全部めぐるのもいいでしょう。

執筆:つかさあおい

学生の頃から趣味だった旅行は、いつしか仕事になりツアーコンダクター歴は15年。日本国内(47都道府県制覇)と海外(12カ国40都市)を旅するように。現在は旅行ライターとしてまだまだ日本人が知らない現地ネタを情報発信中。ディープでおもしろい国内旅行、その土地ならではの海外の歩き方をご紹介します。