――豪ドル/円も強いが、今後の見通しは?

 オーストラリアは雇用統計など労働環境が良くなってきた。また、懸念されたほどには中国経済が悪くなっていないことも豪ドルの追い風になっている。少なくとも、利下げの可能性はなくなったとみていい。そうすると、豪金利が一時より低くなったとはいえ、円との間には1.75%の金利差があり、キャリートレードも動きやすく、豪ドル高に振れやすい。

 オーストラリアは、シドニーやメルボルンなどで住宅価格の上昇が懸念されている。豪中銀は利上げによって、住宅価格の高騰に歯止めをかけたいだろう。資源価格の急落などのようなことがなければ、豪利上げが現実味を帯びてくることになるだろう。当面は、1豪ドル=86円〜90円程度を見ている。

――今後の市場を見通す上で重要なポイントは?

 クロス円が全て円安になってきた。これは、2008年のリーマンショック以来の世界的な金融緩和策から、9年が経過し、米国が金利正常化に向けた動きをはじめ、カナダも利上げに追随、欧州も量的緩和の縮小を検討し始める中、日本だけが取り残されていることの結果だ。主要な投資家が夏休みを迎え、「夏枯れ」といわれる期間に入って大きな方向転換は考えにくい。

 今後の市場の流れを左右しそうなのは、今年は8月24日〜26日の日程で開催されるジャクソンホール会議(経済シンポジウム)だ。ECBのドラギ総裁の講演が予定されている。米FRBのイエレン議長も出席することは公表されており、この会議を通じてどのようなメッセージが発せられるかは、年後半の市場を考える上では重要なポイントになるだろう。(文責:モーニングスター)