山崎育三郎 撮影/廣瀬靖士

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「12歳でデビューしてからずっとミュージカルにしか興味がなくて、当時は“ミュージカルしかやらない”って勝手に決めつけていました。でも、ドラマに出演させていただくようになってから、自分をきっかけに劇場に足を運んでくださるお客さんも増えて。

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 “ミュージカルというジャンルを多くの人に知ってほしい”という強い思いがあったので、そういう意味でも今、すごくやりがいを感じています」

 “ミュージカル王子”の異名をとり、類いまれなる歌声と表現力で魅了してきた山崎育三郎(31)。2015年の『下町ロケット』をきっかけに立て続けにテレビドラマに出演してきた彼が、7月28日から始まる『あいの結婚相談所』(テレビ朝日系 金曜 23時15分〜 ※一部地域をのぞく)で、ついに連ドラ初主演! 

 強いこだわりを持っていたミュージカルから、ドラマに出ようと思ったきっかけは?

「僕は小さいころから『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『エリザベート』『モーツァルト!』という、この4大ミュージカルと呼ばれる作品に出ることと、帝国劇場で主演を張るというのを夢見てやってきたんです。それが全部叶(かな)ったのが29歳のとき。そのタイミングでドラマの話をいただいて、ちょうど役者として幅を広げていきたいと思っていた時期だったので、出演する決意をしました」

 ひと言で“俳優”といっても、ミュージカルとドラマではまったく感覚が違うそう。

「まず、普通の格好で芝居をすることに違和感がありました。これまでは王子様みたいな衣装だったのが、『下町ロケット』ではいきなり作業着に無精ヒゲですから(笑)。あと舞台では何時間も前に会場に入って、ストレッチをしたり発声練習をしたり。でもそれをドラマの現場でやっちゃうと、本番で妙に“いい声”が出ちゃったり(笑)。むしろ普通の日常を送っていたほうが芝居になる。だから撮影前は“何もしない”というのもひとつの課題です」

 さらに、映像は“はじめまして”ですぐ本番!

「舞台は1〜2か月、同じ役者と同じシーンを何百回と重ねて稽古をやる。でも映像の仕事だと現場で“はじめまして”ってお会いして、2〜3回リハをやって本番、そしてすぐに放送されるんです。相手がどういう方なのか、どういうお芝居をされるのかわからないまま演じるというのは、全部がその場で作られていく“ライブ感”がありますね。その緊張感は、今でもシビれるものがあります」

連ドラ初主演作は歌って踊る所長役!

 そしてつかんだ連ドラ初主演作では、成婚率100パーセントを誇る「あいの結婚相談所」の所長・藍野真伍を演じている。突然歌いだしたり、踊ったり、自分と似ている部分も……!?

「だいぶ山崎育三郎に寄せていただいている気がします。でも藍野さんはミステリアスな部分が強いので、僕とは違うというか……僕はもっと普通の人です(笑)。でも、身体の使い方とか姿勢とか、これまでの経験が生かせればいいなと思います」

 劇中では数々の男女を結びつけていく山崎。それはプライベートでも同様で、“先輩”として仲間の背中を押すことも。

「親友が恋愛にすごく臆病で。告白もなかなかしないから、家から引っ張りだして“今日、言え!”って言って、告白するところを藍野さんみたいに端からコッソリ見ていました(笑)。

 結局その女性とは付き合って、最近結婚まで行ったんです。そしたら今度は“指輪どうしよう”って。しかたがないので、お店までついていって一緒に選びました」

 そのとき、今回の役のように突然歌いだしたりは……?

「歌はちょっと(笑)。でもその親友とは古い付き合いで、彼の前では昔からよく歌っていたんです。僕が音大を受験するときには、彼が遊びに来てもず〜っと歌っていたので、それがトラウマになっちゃったみたいで。“2度と聴きたくない!”って、僕が歌いだすといまだに逃げ出します(笑)。そうやって人前で歌ってしまうところは、まさに藍野さんソックリかもしれませんね」