三本松vs高知
最速141キロのフォーシーム。「動画サイトを見て覚えた」宜野座カーブ。香川県大会3回戦・高松一戦では17奪三振の原動力となった縦スライダー、横スライダー。深めに握るカットボールにスプリット。つかんで中指で抜くチェンジアップ。縫い目にかけないスローカーブ、ツーシーム……
「練習では投げている」ワンシームこそ投げなかったが、この日も三本松先発・佐藤 圭悟(3年・右投左打・174センチ66キロ・東かがわリトルシニア出身)が「顔の前でリリースすることを心がけ」投ずるボールはホームベースを軸に縦横自在な変化を見せた。
加えて、この試合では対応力も目を見張るものがあった。本人も日下 広太監督も「最近の練習試合では調子がよくない」と認め、序盤は固めのマウンド対応にも苦慮。しかし「中盤以降はマウンドが掘れるので、投げやすくなるよ」。ルートインBCリーグ・石川ミリオンスターズと新潟アルビレックス・ベースボール・クラブでも捕手として活躍した指揮官から的確なアドバイスを受けると、5回までは勝負どころで計6三振を奪いにいく剛腕系を継続。
転じてマウンドに慣れた6回以降は「それまでの打者の反応を見て配球を考えて」6回裏二死以降の10人を奪三振2・内野ゴロ6・外野フライ2に打ち取る軟投系で、高知打線をパーフェクトに抑えた。
「チェンジアップやカーブがよく決まっていた。さすが香川県で勝てているだけある」。歴戦の敵将・島田 達二監督も兜を脱いだ佐藤の「自在型」。これが夏の香川大会までに、さらに言えばその前、6月18日(日)10時からレクザムスタジアムで早稲田実業(東京)と対戦する「香川県高野連招待試合」までにどのような進化を見せてくれるのか。楽しみでならない。
(取材・写真=寺下 友徳)
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