横浜が16得点で大勝!多くの選手が昨秋から進化を示す塩原 陸(横浜)

 16対1で大勝した横浜。良い方向性でチームが動いていると実感させられる試合だった。

 昨秋、能力が高い選手を揃えながらも、昨秋県準優勝、関東ベスト8に終わった横浜。試合内容を見ても、荒削りで、チームとして完成するまで時間が置く必要があるチームだったが、冬の過ごし方が非常に良かったのだろう。多くの選手が昨秋から成長がみられる試合だった。

 まず1番に入った万波 中正は、昨秋よりも体つきがスマートになった。プレーにキレが生まれ、走り方も良くなったことで、ドタバタ感がなくなった。いきなり体が泳いだ形で、右中間を破る当たりを放った万波は一気に三塁へ。昨年では三塁に到達できない当たりだった。また守備を見ていても、一歩目の反応、カバーリング、スローイングの型、コントロール、スローイングの強さと全てにおいて成長がみられ、野球選手として大きく成長を見せている。まだ打撃は変化球の対応、ボールの見極めなど課題は多くあるが、横浜の首脳陣が我慢強く育てようとする意志が見えた。

 先発の塩原 陸も、昨年に比べて格段に良くなった。昨年から135キロ前後の速球を投げていたとはいえ、制球力は不安定で、打ち込まれる試合も多かった。だが、この日の塩原は、制球力、球威ともに抜群。横浜の投手らしい上半身と下半身の連動したフォームから繰り出す速球は、常時130キロ〜136キロを計測。昨年と同じ135キロでも、まったく勢いが違う。そして手元で鋭く曲がる120キロ近いスライダーの切れも絶品。フォームの土台が良いので、大学・社会人に進んで体づくりがしっかりできていけば、驚くような速球投手になるかもしれない。そんな可能性を見せてくれた投手であった。

 この日は4回まで被安打0と素晴らしいピッチング。ただ初安打、初失点となった5回裏は、ややスピードの勢いが落ち気味だった。試合通して、切れのある投球ができるか。それが課題となるだろう。

 今大会の横浜は多くの1年生を試している。この試合でも、小泉龍之介、内海貴斗が適時打を打ち、黒須大誠が登板した。どの選手もポテンシャルが非常に高く、2・3年生を脅かす可能性を持った選手たちばかりだ。横浜は1年生の存在が、チームをうまく刺激している。

 良い方向性でチーム作りができているので、あとは夏まで成長曲線を描くことができれば、今年も、夏の甲子園出場の最有力候補となるチーム力は十分に持っている。

敗れた平塚学園は、先発右腕・柿木拓海が躍動感あるフォームから常時130キロ〜135キロを計測。ここぞというときのストレートは勢いがあり、魅力があるが、制球力が課題として残った。ぜひ制球力、投球術を磨いて夏に飛躍してほしい。敗れた試合だったが、外野手の守備力の高さは県内ではハイレベル。総合力を高めて、夏に向かってほしい。

(取材・写真=河嶋 宗一)

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