守りからリズムを作った神村学園がベスト4へ進出俵森大輔(神村学園)

「とにかく守りからリズムを作っていくぞ。」序盤、アンダーハンドの美来工科・比嘉 太陽の前に苦しんだ神村学園打線だったが、小田大介監督は打撃のアドバイスをするのではなく、守りを冷静にし必ずやってくるチャンスを待つことをナインに伝えていた。「美来工科さんの打線は凄い。ほころびから大量失点につながることだけは避けたかった」ことを念頭に置いていたからだ。初回こそ三者凡退だったが、2回、3回と二塁へ進める。4回には二死からとはいえ、島中 大輔と田中祐大に連続ヒットが生まれるなど、徐々に捉えつつあった。

5回、神村学園は先頭の俵森 大輔がライト前ヒットで出塁。直後にパスボールで二塁まで進む。しかし送りバントで進めたかったがキャッチャー前でバウンド。美来工科・神山 諒介が捕球し二塁へ転送し挟殺プレーとなった。互いにミスが出て痛み分けかと思われたが、1番後藤拓真の死球が明暗を分ける。次打者の羽月隆太郎がレフト前へ運び満塁とすると、田中 怜央那がスクイズをきっちりと決めて1点を先取。ここで4番前畑太壱が4番打者として最高の仕事を果たす。センターの奥を深々とやぶる2点タイムリー三塁打で一挙3点を先制した。

 投げては2年生のサウスポー俵森 大輔が好投。「東海大福岡さんの試合ではコールドだったこともあって80球。一日空いたし疲れもないようなので投げさせたが、狙いは別にある」と語る小田監督。俵森は次世代のエースを背負う投手として期待を込めている左腕。

 

 2018年、3年ぶりの選抜出場を果たすには、今秋の九州大会出場が前提となるが、その目標を達成するには、俵森の活躍が不可欠。そのときに、各県の上位校が来る大会で連投連勝してこそ、大きな目標を成し遂げることが出来ると考えている。常に上を念頭に置かなければ、激戦鹿児島を勝ち抜くことは出来ない。そういう意味で、小田監督は俵森に高いレベルを求めている。ライバル・鹿児島実が同日、三季連続優勝を目論んでいた福岡大大濠を破っており、ライバルも強さを発揮している。

 その俵森は8安打4三振2四死球で完封。また、9回裏のレフト・島中 大輔のフェンス際のスーパーキャッチが飛び出した。「攻める守りを見せろ!」と激を飛ばし続けた指揮官の思いに、ナインたちがファイト溢れるプレーで、見事に応えた。

(文・写真=當山 雅通)

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