久米田vs泉陽
昨秋のスコアは9対1。ちょうど7ヶ月後の再戦となった久米田と泉陽の試合は、再び久米田が大差で勝利した。 久米田は初回、押し出しにより1点を先制。2回には二死から安打で出塁した1番・坂口一生(3年)が盗塁を決め、2番・川本晃宏(3年)の適時打で生還を果たし効率よくリードを広げた。
序盤で2点を失った泉陽だが、3回の攻撃で相手守備の乱れもあり無死一、二塁のチャンスを作る。しかし、バントの構えを見せる1番・米津諒(3年)が高めのボール球を見送った際、二走の後藤大和(3年)が飛び出してしまい二、三塁間に挟まれタッチアウト。その間に一塁走者・合川和希(3年)は二塁に進みチャンスは続いたが後続が倒れ無得点。
泉陽の古川晃監督は最終的には大きく点差の開く試合で、この場面を何よりの反省点に挙げていた。「もうちょっとやれると思ってました。ここというところでミスが出る。あそこで1点でも取っておけば。そういう流れを読み切れないですね。飛び出して流れ手放したのが全てやと思います」
絶好の同点機を逃すと、直後の4回に1回途中からマウンドに上がっている後藤が3失点。先発した谷口和真(3年)は緩いスライダーでカウントを稼ぎ、ボール球を振らせて凡打に打ち取るスタイルを得意とし、秋には河南から白星を挙げている。その実績を買って古川監督は先発に抜擢したが、早々にリリーフを仰ぎ、柱不在の投手陣の中で最も調子の良かった後藤がつかまるともう試合を立て直せない。
後藤は5回に適時三塁打と押し出しでさらに2点を失い、サードを守っていた平山晃大(2年)がマウンドへ。二死満塁のピンチは凌いだものの、イニングを跨いだ6回に打者一巡の猛攻を浴び大量6失点。
対照的に久米田の先発・水光葵(3年)は終始安定した投球を続けていた。初回を三者凡退に抑えると、得点圏に走者を背負った2回と3回も無失点で切り抜け、4回以降許した走者は四球による1人だけ。スライダーを得意とし球に力のある左腕、泉陽打線は昨秋にその球筋を打席で見ているはずだが最後まで寄せ付けなかった。
攻撃で目立ったのは機動力。出塁すれば足が売りの1番・坂口、2番・川本晃はもちろんのこと、3回には先発の水光も盗塁を決めている。6回には無死一塁から6番・川本恭宏(3年)の打席で仕掛けたエンドランが一塁線を破る適時三塁打となり、大量点のきっかけになった。この日の仕掛けは選手の判断ではなく、全てサインによるもの。
「どことやってもそこそこ点は取れる」福島悟監督は打線に自信を持つ一方、積極的に試合を動かした。走って、振らせて2桁安打を放ち13点。ただ実はこれでもベストメンバーではない。本来4番を打つ水上大輝(3年)が疲労を考慮され、大事を取って欠場。主砲不在で試合に臨んでいた。
「秋の16強より上に行きたいので次をクリアしたい。チームとしていい感じで来ているので4番が出てくれれば勝負出来ると思います」福島監督が見据える次戦の相手は関大一。初戦では昨秋ベスト4の初芝立命館を破っている。泉陽に対しては、秋に8点差をつけての7回コールドゲームが、春は13点差をつけての6回コールドに。冬の成果を1つ示した。強豪私学との一戦は、現在の実力を試す絶好の機会だ。
(文・写真=小中 翔太)
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