相洋対横浜商、乱打戦を制したのは―伊藤寛(相洋)

 春の強い風が吹くサーティーフォー保土ヶ谷球場。さらには4月とは思えないほどの強い日差しも照り付ける中、この試合は両チームによる点の取り合いとなった。

 横浜商の先発は背番号10の上野、相洋はエースの伊藤寛をマウンドに送り込んで始まったこの試合。1回は両チーム無得点に終わり、試合が動いたのは2回表。一死一塁から6番・伊藤寛の当たりはセンターへのポテンヒットになりチャンス拡大。そして続く7番勝呂もまたライトへのポテンヒット、相洋が一点を先制。

 追いつきたい横浜商は3回裏、先頭1番の櫻井が初球をライト前に運ぶと、二死二塁と得点圏に進み、迎えたのは4番・恵。1回のチャンスに二ゴロに倒れている主砲は、その悔しさを晴らすかのようなライトオーバーの適時三塁打を放ち、1対1の同点に。

 しかし追いつかれた相洋は4回、すかさずヒットと四球で1死満塁のチャンスを作り、8番・西海の左前2点適時打などで再び4対1に。その裏の横浜商も負けてはいない、8番・内田のセンターへの二塁打で1点を返し、相洋へ傾いた流れを再び引き戻した。ただそれでも相洋はさらに突き放す。二死二、三塁のチャンスで打席に入った6番・投手の伊藤寛が自らを助けるセンターへの二塁打で6対2。

 点差を4点に広げられた横浜商は、6回裏に一点を返し、さらに7回裏の先頭・3番山口の当たりは強い風に流されてポテンヒットに。そして5番・八幡のライトフェンス直撃の二塁打で2点差に詰め寄り、その後二死となるも、7番の近村がレフトへ運び6対5の一点差とする。

 どちらのチームが試合を制してもおかしくないと思われる、そんな流れの中、8回からの相洋の攻撃が試合を決定づけた。この回には特に風の影響が強く出たのか、横浜商にとっては不運な当たりが続き、3点を失う。そして相洋は9回表、先頭の3番小栗のソロ本塁打で横浜商に引導を渡した。横浜商は9回裏に一点を返したものの、及ばなかった。

 結果的に12対6、両チームともに2ケタ安打の乱打戦となったこの試合だったが、風と日差しの影響を両軍の外野手が強く受けてしまい、目測を誤るなど苦戦を強いられた。だが両軍ともに、中軸だけでなく下位打線もしっかりランナーを帰せるという得点力の高さを見せてくれた。

 相洋の先発・伊藤寛は6回3失点で役割をしっかり果たし試合を作った。6回裏には二死満塁の大ピンチを招くも、フルカウントから直球で見逃し三振を奪い、窮地を切り抜けた。これが試合の一つの分かれ目になったのは間違いない。横浜商はこの試合に5人の投手が登板。どの投手もそれぞれしっかりとした投球を見せ、ブルペンの層の厚さを見せた。ただ、この試合のように守備が難しい状況の中で、どうピンチを切り抜けていくかというのは、夏に向けて重要課題になるだろう。

(取材・写真=編集部)

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