「べっぴんさん」74話。もやもやしたままの年越しはやめて!

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連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第13週「いつものように」第74回 12月27日(火)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:新田真三


74話はこんな話


紀夫(永山絢斗)が入社してからというもの、規則によって窮屈になってしまうキアリスだったが、ベビー服とベビー用品の総合商店にしようと思い立ったすみれ(芳根京子)たちは、まず食器をつくろうと工場探しをはじめる。

一難去ってまた一難はいいけれど


ドラマですから、次々、イベントごと(刺激)が起こさないといけないでしょうけれど、先週あんなにいい感じだったのに、今週のこのイライラはいったい・・・。
紀夫を悪者にしないであげて〜。

名前の呼び方ですごく変わる


紀夫は朝礼を毎朝やることと、社内では名字で呼ぶことなど、社内の取り決めをする。
小澤さん(良子) 村田さん(君枝) 小野さん(明美) 坂東さん(すみれ)
名字で呼ぶとがぜん堅苦しい。
しかも、良子と君枝の場合、小澤さん、村田さんと呼ばれると、勝二(田中要次)と昭一(平岡祐太)の顔が浮かんできて、良子と君枝がなんとなく夫に帰属した存在のように感じられる。なにかと勝二と昭一がいわゆる夫風を吹かせて、上から目線だからだ。

唯一の救いは、君枝が「村田さん」と呼ばれて、「あ、む(村田のむ)、あ 問題ないです」と困っている口調。君枝はおとしなしいキャラ設定のため、あまり変わったことをやる機会はないだろうが、土村芳は演技に幅があると思うので、ちょいちょい技が必要なところを用意してあげてほしい。

紀夫は勘違いをしている


74話では、何かをすぐに決めたいのに、たくさんの許可をもらわないと進まない苛立ちという、仕事あるあるが出てきた。
すみれたちが勢いで食器をつくろうと考えて陶器の工場を見つけて契約してきたことに対して「ええとか悪いとかやなくて、そないなことは動く前に相談してもらわないと困る言うとるのや」と文句を言う紀夫。
そもそもキアリスは、すみれたちが好きなこと楽しいことを自由な発想で実現化していく会社だったから成功しているにもかかわらず、ありきたりな型にはめこんでしまおうとするなんて。
「思い込んだら、“こう”というところがあるからね」とゆり(蓮佛美沙子)がフォローするように、決して悪い人ではないのだが、融通が利かない。

せっかく、クリスマスエピソードで株もあがり、「うわあ〜」となるものをつくった70話は視聴率も22.2%と74話中最高を記録したというのに、このままでは、紀夫の株はだだ下がりだぞ。

一方、すみれたちは、陶器の工場を探すとき、矜持のある職人・武藤(蟷螂襲)と出会う。2ミリのずれを許さない職人も、つくりたいもののデザイン画と紙粘土のサンプルに意気込みを感じて共鳴し合ったのだろう。それこそが紀夫が好きな「愛にあふれてる」すみれが生き生きすることなのだと、早く紀夫に気づいてほしい。

年内の放送は28日(水)まで(29日〈木〉は総集編)だっていうのに、もやもやしたまま年を越させないで、お願い!
(木俣冬)